境界確認の根拠となる法令について


 法17条地図の地域において境界の鑑定、地図訂正(境界線の訂正・筆界未定地の解消)に
ついては、当事者同士の境界の確認は勿論の事、国土調査前の資料の収集をして本当の境
界を知る必要があります。

 また、裁判所の国土調査成果に対する対応は、地籍調査の段階で筆界線は関係当事者の
合意に基づくものであるとの理由で、これをもって境界認定の基礎とすることに躊躇する向き
が多いようです。

 それは国土調査は一筆地の筆界調査を主なる目的としていない事にあります。

 地籍調査作業規定準則30条 筆界は慣習、筆界に関する文書等を参考とし、かつ、土地の
所有者その他の利害関係人又はこれらの者の代理人の確認を得て調査するものとする。

 この準則30条によって、境界は合意で良い。と判断され、筆界線(原始境界)に十分な注意
が向けられなかったものと思われる。

 それでは国土調査実施地区の調査士はどうすれば良いのだろうか。まず当事者の境界につ
いての説明が真実であるかどうか判断するためにも、土地の境界はいつ頃、どのような法令
のもとに生まれたのかを知っておく事が大切です。

 とはいっても、すでに廃止され、訂正されて現行六法に収録されていないものや、文献のない
ものが多く、理解する事が難しいのですが、土地の境界線はこれら過去の法令によって生ま
れている以上過去を知らなければ地図訂正や境界鑑定を受託することはできないだろう。

 そこで主に境界にかかわる過去の法令を列記してみる(法令文献の多いものは列記のみで
注釈は省きます。)。




1.地租改正事業によるもの

  明治6年から明治22年頃まで明治政府は貢租制度を改革して、 土地の民有施策が実施
され、一筆ごとの地籍調査が行われた。

 この調査結果が明治22年3月制定された、土地台帳規則の基となり、昭和35年廃止され
た土地台帳にまで至っている。

 又、同時に作成された野取絵図は現在も不動産登記準則第29条の公図として立派にその
役割を果たしている。この時の土地境界線にかかわりのある地租改正条例細目などを読む
と、現在の登記準則とほとんど大差がありません。又、一部地域でみられる二線引畦畔地図
(旧公図)の国有か民有かの問題についても、次の条文を見れば多くは民有であると判断出
来るものと思います。

明治17年4月5日大蔵省号外

地租条例取扱心得第6条 

 田畑ノ畦畔其地主自由ニ変更スヘキモノハ之ヲ本地ニ量入シ其常ニ変更セサルモノハ除去
ス(除去セシ畦畔ノ歩数ハ之ヲ本地ノ外書トシテ反別帳ニ記載スへシ)畑宅地ノ一筆ノミニ用フ
ル通路及ヒ一筆内ニシテ其所有主便宜ニ設クル小逕ノ類ハ総テ本地ニ量入スヘシ

 崖高ノ地其崖脚中ノ鍬入ニ必要ナル土地ハ之ヲ本地ニ量入シ崖脚ニシテ多少ノ牧判アル土
地ハ之ヲ本地ニ量入若クハ一筆ニ丈量スヘシ




2.耕地整理法

 明治32年4月13日施行 昭和24年廃止

 この耕地整理法による確定図も数多く残っております。


3.土地区画整理法

 明治30年土地区画改良に係る法律

 明治32年の耕地整理法が適用され、ほとんど法律の役をなさなかったと言われる。

 その後昭和29年に新たに土地区画整理法が制定された。


4.土地改良法

 昭和24年6月6日制定


5.農地法

 昭和27年7月15日制定

 農地法第9条以降には、国の農地の買収及び売渡の規定があり、これらの登記手続きは第
77条で別途土地台帳法の適用の特例を次のとおり定めている。

 昭和28年8月14日法務省令64号

 『農地法に基づく土地台帳の特例に関する省令』

 旧土地台帳にこの法務省令64号の記載があると必ずといっていい程登録地成による確定
図が出てくる。




6.自作農創設特別措置法

 昭和21年12月27日施行

 一般には農地開放と言われ、昭和の大改革でありながら、あまりその実態を知られておりま
せん。しかし、旧土地台帳を閲覧してみて下さい。そのほとんどの筆に、自作農の記事がみら
れます、そして、これが土地の境界と深いかかわりを持っております。

 皆さんも知っての通り、この自作農(自創法とも言われている)は政府が地主から小作地を
買収し小作人に売渡したもので、その際、多くの農地を分筆したり、又買収をして登記簿を閉
鎖し、新たに生じた土地として登録地成を行っております。

 この時の土地台帳処理は昭和23年5月14日大蔵・農林省令第2号「自作農創設特別措置
法の施行に伴う土地台帳の特例に関する省令」に基づいて行われており、多数の分筆図面や
地形図、新規登録の確定図が現存しております。

 公図と現況が相違する場合の地図訂正を要する土地は、この時の分筆図面や地形図、確
定図によって解決する場合が沢山あります。

なぜなら急を要する手続きであったため、旧公図の訂正まで手が加えられていないからです。



 皆さん旧土地台帳を閲覧して、大蔵・農林省令第2号第何条の記事がありましたら(沢山あり
ます)必ずその手続記録や地形図等が官庁に保管されております。一度調査をしてみて下さ
い。この資料調査も調査士の地位向上と、業務の拡大に必ず役立つとおもいます。

 その他まだまだ境界線にかかわる法令があるようですが、詳しくは姉妹編であります第1部
をご覧いただきたいと思います。



第 8 章
     
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