平成17年2月12日・GPS観測


集合前の一仕事

 本日も、朝7時40分ごろに集合場所に到着。まだ渡部氏と大野氏は到着していないようだ。

 通行止めのチェーンをはずし、行き止まりの市道に車を停めていると、続々とみんながやっ
てくる。渡辺氏と大野氏がまだやってこない。おかしい。

 野本氏の携帯に大野氏から「渡部さんと私は三等三角点本山に登ってGPS受信機を据え付
けていますので少し遅れます。ちょっと待ってください。」とお断りがある。

 8時10分ころ渡部氏と大野氏が到着。本日の参加者は15名。


昼飯前の一仕事

 「四等三角点道後公園の偏心観測をGPS観測の前にやってしまいます。」

 偏心観測に必要な光波測距儀と反射板・1素子のミラー、さらに光波測距儀を2台・三脚を3
つ、それぞれに手分けして背負いながら四等三角点道後公園を目指す。

 小高い山の遊歩道を300メートルほど登り、標高50メートルほどの展望台に出た。

 「道後公園の三角点はいきなり行ったら、場所は解らないでしょうね。」と先日の説明会で大
野さんが話していた。

 小高い山の頂上に展望台があり、このあたりで視通の良い場所とは展望台の上しかない。

 しかし、渡部氏と大野氏、一向に展望台の上に登ろうとしない。

 どこに三角点があるというのだ。展望台から3メートルほど離れた茶色に塗られたコンクリー
ト製の柵の付近の土を渡部氏がスコップで掘り始める。

 20cmほど掘り下げたところで地下埋設のためのコンクリート製の蓋が出てくる。

 「なんで、こんなに下に埋まってるの。」

 「公園の整備で、後で盛り土をしたみたいよ。」

 ここは見晴らしの良い場所なのだが、高さ6メートルほどのコンクリート製の展望台が3メート
ルほどしか離れていないため三角点の視通を邪魔している。

 また、展望台を囲むコンクリート製の柵の外側は、観光のため植林された5メートルほどの高
さの桜の木が密生している。


偏心観測・4等三角点道後公園本点にて

 この本点の位置では、TS観測は勿論、GPSでの観測も出来ないだろう。

 偏心点を一体どの場所に作るつもりなのだろうか、展望台につくることまではわかるのだが、
仰角の関係もあるので、その場所を決めるのは難しいはずだ。

 展望台を挟んで三角点と反対側の位置に展望台の外部階段の上り口がある。その途中の
踊り場であれば、三角点から10メートルほどの距離も確保出来て、鉛直角もひどくない。上空
の視界もアンテナを1メートルほど高くすれば確保できる。

 このあたりかなと、外部階段の踊り場に行ってみたのだが、それらしい形跡は無い。

 一体どこにしたのだろうか、渡部氏は三角点本点に光波測距儀を設置し、大野氏は三脚を
担いで展望台の上に登って行く。

 観測はすべて木脚で行うと渡部氏が説明会で説明したはずなのに、大野氏はなぜか金属脚
を背負っている。

 「床を傷つけたらいかんというので、石突き部分が丸まっているものを使用しろということで
す。」と大野氏。


 三角点と展望台の最短距離と思われる場所に、展望台の鉄製の柵をまたいで三脚を設置し
始めた。

 その位置が偏心点とすれば、三角点本点から偏心点まで水平距離は6メートルも無い。地上
から展望台の高さは5.6メートルもある。

 とてもすごい仰角になり、普通の姿勢では光波測距儀を覗き込むことは出来ない。

 本点の機械高1.831メートル、偏心点1.530メートルの目標高となった。

 「俺や日下氏みたいな顔のでかい人間には観測は無理よ。」

 「小野さんあたりなら大丈夫ですよ。」と野本氏。

 渡部氏、ごそごそとポケットを探ってヘチマの形をしたような5.6センチほどの長い棒を取り出
し、光波測距儀の接眼部に取り付け始めた。

 ダイアゴナルアイピースのようである。

 光波測距儀の横からアイピースを使って覗き込み、観測を開始する。

 さすがの渡部氏も通常の目標の定め方ではないため、目標を視準するのに手間取ってい
る。それでも正方向の鉛直角は終了し、反方向での鉛直角の観測に入る。

 「これは、回らんのかな。」

 アイピースの長さが反転する際に邪魔になり、望遠鏡を反転することができない。

 やむを得ずアイピースをはずし、反転した後に再度とりつけ観測を開始する。


鉛直角の観測は正 37度59分15秒、
          反322度00分57秒

で常数点検の結果も360度0分12秒と359度59分53秒で19秒差となり制限に入っている。

 距離も短く、52度前後という仰角のきつい場所での難しい観測をきちっと入れてしまう観測の
技術はいつみても感心させられる。


心 配

 偏心点の観測はこのままでは柵の上に上がり、伏角が38度の角度で6メートル下の目標物
を観測することになり、下に吸い込まれるような恐怖心との戦いになる。

 並の神経では観測不能と思っていると、渡部氏またも動き出す。

 GPS用のポールの先端にアタッチメントをつけ、ピンポール用の三脚と気泡管を使用して標
石から垂直に設置しているのを確認した後、今度は木製の三脚に光波測距儀の下盤を残し整
準台をとりつけ、1メートルのGPS用のポールを2本つなぎ、その上に1素子のミラーを取り付
けた。

 GPS用のポール4本つなぎのうちの1本が透明になってしまったような格好である。

 一番上に取り付けた1素子ミラーの角度は、あらかじめ40度の角度で切り取ったダンボール
の角度にミラーの傾斜を合わせ、展望台の上の偏心点にある光波測距儀に向けた。

 下見を行った段階で、このミラーの傾斜の角度は概算で計算していたのだという。

 何と準備の良いことと感心していると。

 「大野さんはこっち、岡田さんは展望台の中でこのポールを見てください。」

 三角点を挟んで90度の方向に2台のトランシットをそれぞれ設置するように指示を出す。

 突然、「岡田さん、芯を見るのじゃなくて、GPSのポールは直径3cmだから半分の1.5cmの位
置を見て、そのまま一番上のアンテナと接続しているポールの一番上の外側の端を見てくださ
い。」

 渡部氏がコンベックスを横にして目盛を見せながら、「今10cmの位置を基準点の 十字にあ
わせてますから、8.5cmか11.5cmのところに合わせて、そのまま上のポールの端を見てくださ
い。」
 そういえば、岡田氏は今回基準点作業に
はじめて参加しているのでトランシットでのポ
ールの確認は初体験である。

 何の指示も無く、自分の判断でいきなりポ
ールの端を見る人なんていない。

 下の標石に直接立てたポールの外側部分
と三脚を据え整準台からたてた2本のポー
ルの先端の外側部分が同一になっているかどうか、90度開いた2台のトランシットにより確認。

 整準台の整準ねじを調整して端の方向をあわす。

 これを順次繰り返すことにより目標高3.717メートルの反射板が設置された。


偏心点での観測

 第1方向、三等三角点本谷、第2方向四等三角点道後公園で展望台上での偏心観測が始ま
る。

 三等三角点本谷は約1.2キロ離れた位置にあり、距離も遠く観測が難しい。

 第2方向の四等三角点道後公園にいたっては6メートル程度と短い距離の上、目標高を高く
したといっても伏角が30度近くあり、機械高も1.601メートルである。

 それぞれ単独での観測でも難しい観測である。

 それが組み合わされた今回の偏心観測はかなり難しい。
 176センチの渡部氏といえども通常の姿勢
では観測できない、道後公園の三角点本点
を観測する際には、展望台の鉄柵の下の段
に足をかけ、浮き上がった状態で観測を開 始する。

 こんな観測は、はなから我々には無理で
ある。
さすがの渡部氏も苦戦している。

水平角
 0度輪郭
  正 第1方向 本谷      0度00分01秒
     第2方向 道後公園  211度51分55秒   211度51分54秒
  反              31度51分48秒   211度51分51秒
                179度59分57秒
 90度輪郭
  反             270度15分40秒
                122度07分21秒   211度51分41秒
   正             302度07分57秒   211度51分73秒
                 90度15分44秒

     観測差 29秒 倍角差 9秒である。

 偏心観測の制限には十分入っているが、日頃の渡部氏の実力を知っている大野氏
 「再測しますか。」とすかさず渡部氏に声をかける。

 渡部氏も結果に満足していない。

 再測を行うと観測差4秒、倍角差3秒、そして高度常数も7秒と日頃の実力を十分に発揮した
結果になった。


3級基準点「松法3−25」にて・アンテナを高くあげる

 午前中の最後の仕事として、全員で神社の裏山の浄水場跡地に作られた3級基準点「松法3
−25」に登る。隣接の神社のご神木が、5メートル以上の高さで邪魔をしている。

 長脚の脚を伸ばし高さ3メートルほどに伸ばしたところで、渡部氏が脚立に乗り、ある程度の
求心と三脚の脚の位置決めを行い、更に石突きを踏み込んで固定。

 三方向の脚を一人ずつ担当して、脚立に乗り整準台の円形気泡管を見ている渡部氏の指
示にあわせ、それぞれの脚の長さを上下に調節する。

 円形気泡管と三脚の脚の調節でおおよそ水平になったら、今度は棒状気泡管を見ながら整
準ねじを調整。求心と水平の確認を繰りかえす。


 まだ、この整準台の高さでアンテナを設置してはご神木が障害になってしまう。


 真鍮鋲に刻まれた十字の刻印に直接アタッチメントを使用してGPS用の1.5メートルポール1
本に水準器をつけてピンポール用の三脚で垂直にたてる。

 長脚の上の整準台からも2本のGPS用のポールを継いでその上にアンテナが取り付けられ
るとやっとご神木の上に出た。

 「ケーブル、この長さでいいんですかね。」と大野氏。

 「12メートルのケーブルそこに持ってきてあるけん。」と
渡部氏

 アンテナに12メートルのケーブルをつなぎ受信機と接
続する。

 更に、風のために転倒したりすることのないようにポー
ルを三方からロープで引っ張り、地面に打ち込んだプラ
スチック杭をアンカー代わりにして固定する。

 アンテナを中心に2台のトランシットが90度の角度で10
メートルほど離れた場所から、ポールがまっすぐに設置
されているか確認を行う。

 2台のトランシットを使い2方向からの確認を行いながら、ロープの張り具合の強弱により調
整を行いアンテナ高6メートルが完成した。


展望台・寒い

 偏心観測が終了し、神社の裏山も全員で長脚を設置した後、本日のGPS観測は2セッション
の予定である。

 どの観測点も障害物があるため偏心観測を行なうか、長脚やポールを使用しなければなら
ない。

 3級基準点でもあるにもかかわらず、観測時間は余裕を持って1時間45分となっている。

 第1セッションは11時10分から12時55分までである。

 GPS受信機5台を使用しての観測であるため3、4人が一組となり各自担当する観測点に向
かう。

 私の受け持ちは道後公園の展望台の偏心点である。

 松山の岡田直人氏、岡山会の水田氏、徳島会の古川氏と三脚とGPS受信機を持って移動し
ようとすると、渡部氏が「展望台で機械の据付出来る、大丈夫?」とえらく心配している。

 あのくらいの広さがあれば柵をまたいでの機械の据付はいつもやっていること、何も問題な
い。渡部氏も知っているはずなのだが、私のことを全く信用していない。

 もう一度、「大丈夫。」と念を押されてしまう。

 えらく信用されていないなと思いながらも「何とか、大丈夫よ。」と答える。

 「それじゃあ、この三脚使ってください。」と石突きの丸まった金属脚を渡される。


 展望台に到着、偏心点は床を傷つけることが出来ない為、展望台の鉄柵の横の床に鉛筆で
十字が書いてある。

 三脚を据付にかかるが鉄柵の外側はまだ50センチほど展望台のコンクリートの床の部分が
あり余裕がある。

 鉄柵をまたぐようにして三脚を据え付けるため鉄柵の外側に出て、柵を片手で持ちながら柵
の外に設置した三脚のうち二本を踏み込み、GPSの受信機を設置する。

 岡山会の水田氏に「渡部さん、うまく偏心点に機械を据付ることが出来るかどうか、えらく心
配していましたね。」と言うと、

 「午前中の偏心観測では、二人とも柵の外には出なかったよ。三脚の脚一本を柵の外にだし
て、内側から踏み込んでいたよ。」と教えてくれた。

 なるほど、危ないと心配してくれていたのか。

 私も水田氏も学生時代の経験から、この高さまでならば平気なのだが・・・。

 50を過ぎると年齢的にも体型的にも心配されても仕方がないのかもしれない。

 だが、技術的に本気で心配されていたとしたら、ちょっとつらいものがある。

 展望台での観測は12時55分まで続き、その間寒風をじっと耐える。
 見晴らしが良いということは、障害になるも
のが何も無いということ。

 風よけになるものがなく、顔に直接当たる
風がとにかく寒い。

 寒さしのぎのため口を動かし、時間まで各
県の土地家屋調査士の業務について話し
合うが身も心も〇〇になった。


会館にて

 11時10分から12時55分の第1セッション、そして15時30分から17時15分までの第2セッション
の観測が終了した。

 現地で解散した後、本日のGPS観測データを取り込むため、合同会館へと向かい、会館に
は6時に到着。

 3階会議室で、受信機5台の2セッション分のデータ渡部氏のパソコンに取り込む。

 まだ与点となる都市基準点の成果が公表されていないため最終的な計算はできないのだ
が、本日の観測状況を知ることは出来る。

 5台分のデータが順次取り込まれ、アンテナ高のチェックを行った後、プロジェクト解析を行う
と、全体の解析結果を表している誤差楕円は0.6ミリと非常に良い成果だ。

 しかし、1本ずつ基線を確認していた渡部氏、

 「おかしいな。」

 「どうしたの。」

 「大体良いのだけど、法3−24と法3−23の基線は距離が近いのにあまり良くないのよ。」

 「なぜだろう。」

 「恐らく、法3−23の西側の竹林が原因ではないだろうか。点検計算をこの基線でやることに
しょう。点検測量の方の結果がよければ、入れ替えることにしましょう。」

 点検測量の場所が決まった。


道後基準点作業日誌
     
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