平成17年2月11日・埋標


 全員での作業初日、朝8時の集合予定。

 テニスコート裏の市道に8時集合である。

 少し時間に余裕を持って出発したところ7時30分に到着。

 チェーンをかけ通行止めにしてある集合地の市道の前には、もう委員長の渡部氏と班長の
大野氏の車がある。

 ドライモルタル・砂利・一輪車・木枠等は既に新設する3級基準点「松法3−25」の登り口であ
る神社の階段横に準備されていた。

 チェーンをはずし、市道の行き止まりの場所に駐車して待っていると集合時間の頃には17名
になった。


3級基準点「松法3−25」

 準備を終え、作業服に安全チョッキを着たむさくるしい男たちがずらりと並んだため、裏山に
住みついた仔犬が数匹今から何が起こるのか不安げな顔をしてこちらを見ている。

 「本日はこの上の法3−25から順次基準点を設置して行きます。」と渡部氏の説明があり、各
自体力に合わせモルタル、コンクリート杭、砂利、三脚、GPS用のポール、光波測距儀、木材
をそれぞれに背負い神社横の階段を登る。

 100メートル程階段を上り平坦な場所に出る。ここが浄水場跡地のようだ。

 整地がされた平坦な場所なのだが、しばらく使用されていなかったため2メートル程の雑木が
ところどころはえている。

 3級基準点でGPS観測が必要なら平坦な場所の中央付近であれば上空の視界も良いので真
ん中のあたりだろうと歩きながら思っていると、渡部氏、そのまま横切って浄水場の端と思わ
れる高さ1メートルほどのコンクリート擁壁の場所まで移動して行くではないか。

 この場所は下の神社の土地に生えている4、5メートルほどの高さの樹木からは3メートルほ
どしか離れていない、GPS観測の研修の為わざわざ障害物のある場所を選んだのだろうか。

 実際はこの浄水場跡地は神社の駐車場として整備する計画があり、平坦な場所の中央に3
級基準点を設置することにはならなかったようである。

 この3級基準点「松法3−25」から4級基準点の路線を開始するため、最短で経済的な路線の
ためには神社の通路に4級基準点を作る必要があり、その場所と視通の効く場所を選ぶ必要
があるという。

 また、この神社の木は御神木ということで、枝を切ることについてはまかりならないと言われ
るのを、「御神木には一切手をつけませんから、何とか測量させてください」と頼み込んで、こ
の場所になった経緯があるようだ。
 何とか、この位置からご神木の枝を切った
り、押さえたりしないで視通の確保の出来る
場所を探さなければならない。

 上の浄水場で、ご神木が障害物として
影響が小さいと思われる場所に3級基
準点
「松法3−25」の位置を決めた後
上からと
下の道路からお互いに視通が
出来る場所を
探っていく。

 下から「ここ見えるか〜。」と大きな声。「見えんぞ〜。」

 また、下から「ポールを大きく振ってみてくれ〜。」

「ポール振っているけど、見えるか〜」

 「わからん、もう一度。」

 上から見ていた一人が
 「あっ、あそこにおる。」

 指差す方向を見れば、渡部氏の顔がぽ っかりと見える。
 下の道路にいる渡部氏に

 「もうちょっと右に移動したら良く見えるぞ〜。」と指示。

 移動した渡部氏「見えた、見えた。」お互いの顔が見える空間を発見。

 数回、繰り返して4級基準点D4064の位置が決まった。


 後は3級基準点の設置である。

 コンクリート擁壁に沿って65センチ四方の深さ30センチほどの穴を開け、さらに穴の中央部
に20センチ角ほどの範囲を双手グワで更に40センチほど掘っていく。

 横では野本氏が、長さ1メートル、幅25センチの板をノコギリで切り、釘で打ち付け65センチ
角の木枠を組み立て、日下氏も40キロのドライモルタルに砂利と水を混ぜて練っている。

 穴を掘り終えると、その中に10センチ角、長さ60センチのコンクリート杭を垂直に注意深く入
れ、コンクリート杭の頭の部分が水平になっているか、まえもってコンクリート杭に入れられた
「松法3−25」の刻印のある真鍮鋲の基準点の文字が北の方向を向いているのを確認する。

 20キロ程のモルタルでコンクリート柱の下部を固定し、さらに20キロのモルタルを追加。2段
階に掘った下の穴の部分の3分の2程度が埋まる。上部の大きな穴の部分まで土を入れ、つき
固めていく。

 「天圧をかけるのなら、任せてよ。」

 巨漢の日下氏、自慢の巨体を揺すらせて踏み固める。

 下の段の穴は土できれいにならされ、完全に埋められた。

 上の段の穴では、コンクリート杭と周囲のモルタルとは引っ付かないようにとコンクリート杭を
囲むように20cm四方のダンボールの区切りを入れ、コンクリート杭とダンボールとの間に土を
詰める。
 ダンボールと木枠との間には少し大きめ
の石を敷き詰めモルタルで固めていく。

 ここで運び上げられた40キロのモルタル
袋の中身全部が消費され、急いでモルタル
を追加購入に走り、更に10キロほどを使っ
たところで地面と上部までの高さがようやく
一緒になった。

 最後に表面をコテできれいに形を整えていく。

 「本当はコンクリート杭との間は水抜きのため砂がいいんだろ。」と十川氏。

 「うん。後で砂に詰め替えるけん。」と渡部氏。3級基準点「松法3−25」の完成である。


3級基準点「松法3−24」

 3級基準点松法3−25から順番に、次の3級基準点へと向かう。

 古い由緒のある町だけに迷路のような道ばかり、地元の人であれば、「ちょっと、ごめん」と
軒先を近道にして、簡単に行き着く場所なのだろうが道路を通ると、とんでもない遠回り。

 市道をぐるりと300メートルほど歩き、山手のほうに続く竹林の横の小道を登る竹林の中は
「勝手に入るな。」「竹を勝手に動かすな。」と賑やかに看板がたててある。

 小道の終わりの家のほうに進んでいく。

 渡部氏「こんにちは。」と家の方に挨拶をしながら、そのお宅の外部階段のようになっている
コンクリート階段をすたすたと登っていく。

 このお家の屋上にでも基準点を作るのだろうか。和風の家で、屋根は陸屋根ではないから、
どこにするのかなと思いながらついていくと、外部階段を上りきり再び外のほうに歩き始める。

 かなり傾斜のあるみかん畑の中を30メートルほど登ると、みかん畑の中に高さ30センチ、20
センチ角の石が埋まっている。大きさは三角点のような石なのだが、雰囲気が少し違ってい
る。近寄って石を覗き込むと、横に一本の線が刻まれている。


 その石よりも2メートルほど低い場所に、渡部氏があらかじめ選点した印があった。

 先程のお家の屋根の高さよりもずっと高い場所に来てはいるのだが、西側には20メートルほ
どの位置に3階建ての洋風の建物があり、その2階部分が同じ高さである。その横には7,8メー
トルに伸びた竹が10本ほど生え、風になびいている。

 北側は山の斜面の登りが続き、7、8メートルほど離れた場所には蕾をつけた高さ3メートルほ
どの梅ノ木がある。その後ろにも同じような高さの木が連なっている。

 もう少し上の場所では駄目なのかなと思っていると、地主さんも登ってこられて、先程の石を
指差し、「その石までが、うちの土地だから、それ以上は他人の土地の中だから駄目だよ。」

 なるほど、これがこの場所になった理由なのか。

 2メートルほどアンテナを高くする必要があるだろう。
 早速、コンクリート杭を設置するために 穴を掘り始める。

 今回は上段の穴の部分は直径70センチ
程度の円形のようである。

 黄色い段ボールの切れ端で枠組みがす
でに用意されている。

 丸い上部の穴、深い2段階目の下部の
 穴、そしてコンクリート杭を固定するために大量のモルタル、砂利を使用。

 日下氏の天圧の効力により、今回も無事3級基準点が設置された。


3級基準点「松法3−23」

 みかん畑から車の通る広い道路に再び戻る、といっても3メートル巾ほどの市道なのだが、そ
の市道を北へ進むとホテルの裏の緩く曲がった道路巾も広いガードレールのある場所に出
た。

 道路の断面的な説明で言えば、ホテル側からは1.5メートルほど市道は高く、道路のためのコ
ンクリート擁壁が築いてある。
 コンクリート擁壁には80センチ程度の高さ
のガードレールが設置され、その擁壁の道
路側に現場打ちのグレーチングの蓋付きの
巾50センチ程度のコンクリート水路そして4メ
ートルほどの幅員のアスファルト舗装があ
り、また蓋つきの巾50センチ程度のコンクリ
ート水路。
そして民地側の駐車場のために1.5メートル
ほどの高さの石垣がある地形である。

 ホテル側には生垣に4メートルほどの針葉樹が植えてあり、その木の高さが、最終的に道路
よりも2メートル程度高くなっている。

 比較的、車の往来はない場所であるが、ここでもアンテナを1メートルほど高くする必要があ
る。

 3級基準点「松法3−23」はグレーチング付のコンクリート水路のホテル側に設置することとな
り、充電式ドリルで穴を開け、真鍮鋲を設置することになった。

 刃先7ミリのドリルを使用して、少し深めに穴を開け、真鍮鋲のエラの部分についてもコンクリ
ート擁壁を削って高さを一緒にする。

 コンクリートの削りかすを、削った穴から吹き飛ばし、更に丁寧に穴を開け、水で湿した後、
モルタルを入れて真鍮鋲を固定する。

 真鍮鋲に刻印された基準点の名称が北を向いているか、磁石で確認しながら整えていく。

 最後に、削ったコンクリートの破片については掃除して、ビニール袋に入れて持ち帰る。


私有地の通路

 3級基準点「松法3−23」の設置が終わり、更に北に向かって歩き始める。

 道後温泉本館の臨時駐車場の前を通り、大きなホテルを半周して、墓地の階段を登り、墓
地の並ぶ路地を通りすぎ階段を降り右折して小道を進む、北側に畑と空き地があり、それを横
切ると階段がある。その階段の下はコンクリート舗装され、赤茶けた色で塗られている。
きれいな道路である。

 50メートル程向こうに見える道路の抜け口には、鉄骨の車庫があり生垣に門柱が見える。

 向こうにアスファルト舗装の4メートル巾の市道が見えている。

 「えっ、ここ道路じゃないの。」

 どうもこの場所は門柱の内側で、個人所有地のようだ。

 車庫にはエンジンをかけ出発しようとしている車がある。

 この家の奥さんらしき女性が乗っている。

 渡部氏、急いで駆け寄り。

 「すいません。ここの通路に測量のための基準点を打たせていただけませんか。」とお願いし
ている。

 「それじゃあ、火曜日にまたお伺いします。」

 どうもご主人でないと返事が出来ないと言われたようで、ご主人の在宅の日を聞いたようであ
る。


 基準点の設置場所一つ一つに気を使いながら、許可を取っていかなければならない。

 当たり前といえば、当たり前なのだが、その労力が大変なことを知らされる。


3級基準点「松法3−22」

 100メートルほど北に進むと三叉路にある
平屋の二軒長屋のようなお家の前に着い
た。
 その建物から1メートルほど横にある市道
の水路枡の角に3級基準点「松法3−22」を 設置するとの事。

 傷をつけないようにと玄関先に置いてある
スクーターを移動する。

 ただ、この場所であればテレビアンテナが真上にあり、障害物になる。基準点の位置をもう
少し横に移動させるか、テレビアンテナを越えて設置する必要がある。

 コンクリート構造物も、そう都合の良い場所にはない。

 そのため長脚を使用すると説明していたのか。

 本当にこんな場所じゃないと駄目なのかなと思わず気になり、近所をうろうろ。
 2階建ての建物が立ち並ぶ場所なのだ
が、結構空き地もある。

 その空き地の前の道路擁壁であればも
っと上空視界も良いはずとじっくり見渡す
のだが、駐車場や、通路の入り口を塞ぐ
形になる場所しかない。

 どの場所でも上空の視界は完全ではな
い。
 なるほど仕方がないのか、と自分で納得して現地に帰ると、もうコンクリート水路枡に充電式
ドリルで穴を開け、モルタルで真鍮鋲が固定されていた。


4級基準点打設

 午後からは4級基準点の設置開始である。

 各班、15点程度の割り当てとなり、長さ5.5センチ直径7ミリのステンレス製の鋲と直径50ミリ
の登記基準点と記載されているステンレス製の座。

 登記基準点の座には手作業で1枚ずつポンチを使って通し番号を刻印したものが配布され
た。

 既に、渡部氏の手によって選点作業は終了しており、現地の設置場所には赤いペンキで十
字の印がつけられている。

 先に配布された網図を頼りに、現地の赤い十字を探し、充電式ドリルを使い、刃先6.5か6.4ミ
リで深さ6cmほどの穴をあけ、座にボンドを貼り付けた後打ち込んで行く。

 打ち込む際には鋲が飛んでガラスや車を傷つけることのないように、段ボールや画板そして
自分の身体で、鋲が飛ばないように細心の注意を払って設置していく。


 時々、赤い十字の印が見つからないところがある。

 そんな時は先に前視点、後視点を探した後、双方の見える場所を探しだす方式をとる。自分
ならここに選点するという場所を探すと赤い十字がうっすらと出てくる。

 道後地区は古くから整備されていたためと思われるがコンクリート構造物は古く老朽化して
おり、もろくなっているものが多い。

 今回の4級基準点設置予定であるL型水路、水路枡もひび割れて壊れている場所がいくつも
ある。

 赤い十字の位置にドリルで穴を開けていると、深さ2,3センチのところからスポッと抵抗なく穴
があくところや、鋲を打ち込む際に周りのコンクリートがぐらつく場所がある。

 そんな時には携帯電話で渡部氏に「48番はコンクリートがもろくなっているけど、この場所で
良いの。」と問い合わせる。

 「48番。L型側溝のところですね。後で補強するから大丈夫です。そのまま設置しておいてくだ
さい。」と待ち構えていた様な返事が直ぐに返ってくる。

 今回の115点の4級基準点設置場所がすべて頭の中にインプットされているようだ。


コア抜き

 コンクリート構造物に4級基準点を設置出来ない場所については、アスファルト舗装を直径6
センチ程度の円形にくり抜き、モルタルを詰めて金属鋲を固定することにしていた。

 前回の高浜地区では、西条の工藤さんがコア抜きの工具とドリルを持っており、発電機ととも
に使用すると、時間的にも短時間で見た目にきれいに仕上がったので今回もそれを利用して
いる。

 だが、大野氏それだけでは無く、コア抜きをした穴の下側をたがねで広げるようにした後モル
タルを詰めている。
 「前回の高浜地区でコア抜きをしたままで
設置したら、ブルドーザーに表面をさらわれ
て基準点が飛んでしまいました、こうしてお
けばよかったんです。」と丁寧に穴の下側を
広げて、「鉄筋でも入れておこうかな。」とつ
ぶやいている。
 コア抜きをした後のアスファルト舗装のか
けらを丁寧にほうきで掃きとってビニール
袋に詰めこんで持ち去った。

 前回の高浜地区からの基準点への思い入れが伝わってくる。


怒られた

 コア抜きのためD4070に向かって移動していると街区多角点(20B41)があった。

 街区多角点を覗き込みながら通り過ぎようとしていると、近所で客寄せをしている店員さんか
ら、「あなたたちは、それを作った関係者の人たちか。」と尋ねられる。

 「いえ、この基準点を作った者とは直接は関係がないのですが、後日これを使って測量はし
ますけれど、どうかしましたか。」と重松氏。

 「いや、それを作ったときコア抜きをしたアスファルト舗装のかけらをそのままにしていたので
子供たちが蹴って遊び、危ないと思っていたのだ。」

 「そうですか。後始末をしていなかったんですか。いかんですね。」

 そんなやり取りの後、渡部氏がやってきた。

 「どうしたん。」

 「街区多角点作った時のコア抜きをしたのをそのままにしていたらしいのよ。それを子供たち
が蹴ったりして危なかったらしいわい。」

 「いかんがね。」
 その街区多角点はコア抜きをして設置して
あるものの、その後をきれいに修復もせず、
ただ入れただけのような状態にもなってお り、見た目も悪かったため見るに見かねた のであろう、

 モルタルを持って、その街区多角点の補
修を始めた。


番外偏・60番がない

 ちょっと番外偏。

 各班に手分けした4級基準点の設置が始まり、5個ほど設置したころ渡部氏より携帯に電話
が入る。

 「60番の座知らない。」

 「後の班が持っていると思うけど。うちの班の受け持ちは30番から50番までのようだよ。」

 「解った。」と電話は切れる。

 受け持った分の4級基準点の設置が完了し、集合場所に帰ろうとしていると、また渡部氏か
ら携帯に電話がかかる。

 「60番の座知らない。」

 「うちの班は全部終わったけれど60番は残っていないよ。」

 「そう、おかしいな。」と電話が切れた。

 4級基準点のステンレスの座に、ポンチで連続番号をあらかじめ渡部氏が刻印してくれてい
る。4級基準点を各班に振り分けたときに、座を1〜10までを1組に括ったものを渡してくれたの
だが、刻印のされた60番の座がみつからないらしい。

 仕方なく60番の場所には、刻印されていない座を設置したようだ。

 朝、集合した場所に解散するためにもう一度集合。

 ドリル、ハンマー、鋲の仕舞のため、車の停車場所に向かうと、道路上になにやら銀色に鈍く
光るものが一つある。

 近づいて見るとステンレス製の座で登記基準点と書いてある。

 手にとってよく見ると60と刻印がある。朝方各自に分配するときに、そのまま残ってしまったら
しい。

 若い番号から順番に担当の番号分を受け取って各班それぞれに五月雨式に現場に行った
のだから、かなりの人数が道路上に60番の座があったことを見ていたはずなのだが・・・。

 だれも気づかなかった。


道後基準点作業日誌
     
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