|
国土調査施行令別表第5には、位置・距離(辺長)・面積の三種類の許容誤差(公差)が表示 されている。 この三種類の許容誤差の中で一番厳しいと思われるのは面積である。 ●国土調査時の面積算定 国土調査においてどのような面積の算定の方法がおこなわれたのか。これを知らなければ 比較も出来ません。 数値法であれば、観測した境界の座標値を使用して、座標法により算出すれば良く、座標値 と面積との関係は何ら問題がないでしょう。 ところが図解法によるものは、図根多角点に平板を据付し、境界を平板とテープで観測。そ の場で人の手により平板にプロット。1筆地の形状を作成した後その平板に描かれた形状をプ ラニメーターなりデジタイザーで改めて読み取って面積を計算します。 さらに、その一筆地の合計と1平板全体の合計を考慮して、面積を確定していきます。 これほど、たくさんの過程を経由するにもかかわらず、その面積の公差については何故か厳 しいものがあります。 ●具体例 ここで、現実的に地図では20m四方の正方形の地形で登記簿面積が400uの土地について 簡単に考察してみます。 位置・辺長・面積について500分の1の地図の許容誤差は下表のとおりです。
ここで、乙1の精度区分で考えてみましょう。まず4つの境界点について、四角形の本来の位 置が土地の中心からすべて10p外側に向いて相違すると、正方形の辺長については20m14 pになります。位置誤差、辺長誤差とも、これは十分すぎるほど各々の許容範囲内にはいって いますが、面積は405u61となり、乙1の面積の公差5.58uを簡単に超えてしまいました。 実際に面積で公差範囲内であるためには、位置誤差、辺長誤差がすべて平均二乗誤差の 範囲にあるものでないとその公差範囲に入ることは難しいようです。 ●測量器械による差 今度は、同様の土地について、図解法による平板測量と現在のトータルスティションによる観 測を単純に比較する条件として、この正方形の土地の真ん中(同一点で図根多角点と考える) に平板なりトータルスティションを据えて観測したとしましょう。 説明するにはトータルスティションで観測した状態から話をはじめたほうがわかりやすいと思 いますので、トータルスティションで測って399.04uの土地という前提とします。 この観測角については、北を後視点として45度、135度、225度、315度で水平距離がそれぞ れ14.125mとします。そうすると辺長19.976m四方の面積399.04uの土地の形状が出来上がり ます。 ここで、上記した観測の条件を平板で測った時と同じようにするために、逆に修正してみま す。 角度については習熟した測量士であって誤差がないとしても、距離について国土調査実施当 時は5p単位で読んでいましたので、14.125mを14.15mと読んだとすると、正方形の実際の辺 長は20.011mとなり、実際の面積は400.44uですが、平板で表示されるには辺長20mで面積 400uの土地となっても不思議ではありません。 また、わかりやすくするために角度の誤差はないものとして説明しましたが、角度も当然誤差 が考えられる訳です。 同一の距離を単にmmと5p単位で読むことだけで、このように単純に1.40uから0.96uもの 差が生じてしまいました。 これは位置誤差も辺長の誤差もほとんどありません。 簡単な形状でもこういった差が生じますので、複雑な形状になればもっと相違が生じることに なると思われます。下手をするとこれだけで公差を超えてしまいそうに思いませんか。 これは、時代による測量器械の進歩による差としか言えませんが、こういったものを補正す る考え方は、地図を作成する時には関係のないことで、出来上がった地図を整備、保守する 時には改めて考えなければならないことだろうと思われます。 ●地図用紙の老朽化 図解法による地図の場合、地図用紙はアルミケント紙で作成され、その老朽化が問題になっ ています。 地図用紙の伸縮による変則的な歪み、そのため図郭線が縮尺に合った距離の表示が出来 ていない。 こういった問題はありますが、国土調査で面積を算定した時は地図の老朽化はなかったは ずで、この用紙自体の老朽化については読み取りを行い、境界の座標値を求める場合には支 障をきたし、その座標値を使用して面積を計算した場合からなりの誤差を生じることになります が、今回の面積については、現地で本来の境界を測って1筆地の面積を算出しますので、国 土調査時に本来の境界を測って面積を算定した登記簿の面積との間には、地図用紙自体の 老朽化による影響はありません。 ●現実的な問題 図解法による国土調査の場合、1筆地を観測し土地の形状を地図の縮尺により作成した後 に、その結果の図形をプラニメーターやデジタイザーで読み取り、数回の計算を行い、その平 均をとり、面積を計算するようになっています。 この過程において、1筆地の観測、地図の作成までと図形から面積を計算する過程は担当 が専門化しており、それぞれに専門の業者が別の業務として扱っているようですので、面積の 算定時に同一の図形から読み取りを行い面積の算定をするときの誤差と考える方が本当なの かもしれません。 面積については、時代の測量技術を反映するので、地図作成時の測量器械と現在の通常 用いる測量器械との差を考慮する必要が生じるのはいうまでもありませんが、それを理論的に また数値的に証明することは難しいものがあります。 そのため、図解法によるものについては法17条地図の備え付けをした後、10年以上経過し たものについては面積について地図の精度区分を1つ下げて運用すれば、地図作成時とほと んど同様の運用が出来るのではないでしょうか。 ●双方求積の推進 法17条地図地域において、一部求積が認められています。 それは全体を一度測かって面積も出ているのだから、今回わざわざ全部測る必要はありま せん。必要なところを測って、後は差し引き計算でいいですよ。残地の方も正しいものから正し いものを引くだけだから問題は無いはずですよ。という考え方です。 調査士、依頼人にとっては大変ありがたい制度なのですが、ここで1歩踏み出していただきた いと思います。 現在、片側求積を行っているものには、広大な土地に対して、道路の隅切り程度を分筆する というものもあります。 しかし一般的なものは、残地を求積してしまうと公差をわずかにはみ出てしまう。地積更正ま ではどうも、それだったら必要なところだけを求積してくださいということになるのが普通でしょ う。 やむを得ずこの方法をとっている事はわかりますが、残地には当然そのしわ寄せがきます。 差し引き計算をした残地は、どんどん登記簿の面積から相違していきます。 分筆の双方求積と地積更正との間にどう相違があるのでしょうか。 まず地積更正はどんな時にする必要があるのか。 当然面積が登記簿の面積と実際の面積が該当の精度区分の公差よりも相違した場合。形 状が相違したために地図訂正の必要があり、面積も相違した場合ではないでしょうか。 分筆時の双方求積は、その面積の総和が公差の範囲内であるときには許されています。 ここで、その公差をもう少し緩やかに運用できるとしたらどうでしょうか。 地図訂正を必要としない場合で、地図の該当精度区分からわずかに越えてしまう場合、これ は本当に地積更正なのでしょうか。 法17条地図を作成当時の精度区分を20年以上たっても守りつづけるのでしようか。その間 に肝心の測量器械はものすごい進歩をしているのです。 分筆時の双方求積をもっと推進できるように、法務局も調査士ももっと考えてみましょう。
|