最 近 腹 の 立 つ 事


● 下見

 先日、友人から自己所有地の分筆を依頼された。友人と一緒に下見に行くと、依頼地の近
所にはかって私が図根三角点同士を結合トラバース測量で結んだ際の多角点がある。
 1点のみ器械点をつくれば依頼地は測る事が可能である。しかも、平坦地で準市街地であ
り、コンクリート擁壁やブロック塀で土地が明確に区画されている。更に最近、県道の拡幅の
ため、県が依頼地を含む関連地を分筆し所有権移転登記をしている最中であり、県の土木事
務所が作成した地積測量図が提出され、現地には買収位置を示す用地巾杭が残っており、隣
接地との境界にも用地巾杭が、しっかりと入れてある。
 「これはいいぞ、簡単に出来るぞ」そして依頼人でもある友人に隣接地所有者と面識がある
か尋ねると、面識が無いので調査士のほうで連絡をとってくれとの事。県が入れた用地巾杭の
黄色い木杭は、誰の目にも境界のように見える位置にあり、友人も、「まぁ、この位置なら少し
うちの土地寄りだとは思うけれど納得出来る位置だ」。





● 辺長チェック

 大体の位置を知っていた方が境界の立ち会いもやりやすいと考え、一応確認の意味も含ん
で県の既提出の地積測量図に基づいて、用地巾杭間の辺長をチェックしていった。
 地積測量図には分筆した新設点の座標と引照点(準拠点の金属鋲)の座標及び点の記が記
載されている。本日は現地の下見であったので簡単に、一番北側の分筆点と思われる点@に
金属鋲があり、準拠点1からの距離も合致していたのでそこから辺長をチェックしていった。
 2点目A、3点目B順番にテープでチェック。そして7点目Fへとすべて辺長距離の相違は1
センチ以内であり、さすがに測量会社だけあって測量は真面目にやっている。安心して先程友
人に確認した隣接地と県そして依頼地の三者境界でもあるはずの木杭Gへと距離を確認す
る。



● おかしい

 おかしい、FとGは20センチほど距離が長い、再度計測するがやはりおかしい、依頼地に
20センチ食い込んだ位置を測量図では境界として扱っている。この位置はおかしい、友人は
まだ若いが、父親である土地所有者も私は古くから知っており、土地の管理はきっちりしてお
り、信用のある人物でもあり、更にこの土地には古くからの建物が建つているがこの建物位置
にさえ入りこんでいる。



● こんなはずはない

 こんなはずはない。隣接地にも用地巾杭が残っているのでついでに確認してしまえと、隣接
地も辺長のチェツクを行った。そうすると隣接地の最初の木杭Hと先程の20センチ食い込ん
だ位置から測ると辺長はピッタリ合致。しかし、その木杭から隣接地の更に北側の土地と県と
の三者境界についても、丁度コンクリート擁壁の基礎部分に木杭Iが入れてある。やはり、常
識的に境界と思われる位置である。辺長は先程と同様に15センチほど長い、やはり位置が相
違している。更に北方の土地も同様であった



● 印は押された

 友人に現地の立ち会いはしたのかと尋ねると「いや、現地ではしていない。測量会社が測量
をはじめる前に工事の承諾書に印鑑をついてくれと言ってきたけれど」、「えっ立ち会いもして
いない。」こりゃ登記なんか本来出来ないはずだ、いくらなんでもひどい、県に言って訂正しても
らわなくては、現在も県への所有権移転登記とそのための分筆登記が進行中であるため、早
速対処してもらわないと、県自身も大変な事になって収集がつかなくなる。
 友人と別れて事務所に帰るなり、県の土木事務所に電話でこの事について、連絡をいれる。
担当の用地係長に事の次第を説明し、電話で説明するよりも、現場で実際に来て見ていただ
けませんかとお願いすると、「忙しいので現場にいけない。国土調査どおりにやっているんだか
らそれでいいじゃないですか。国土調査は合っていると思ってます。境界確認の承諾の判もも
らっているからそれでいいじゃないですか」との返事。
 何を考えているのやら。いくら承諾の印をとっているといっても用地測量を開始するに当たっ
て、国土調査どおりでよいかとみとめ印をもらっているにすぎず、現地での立ち会いは全くなさ
れていない。用地測量後に木杭を打った後、所有者にこれで宜しいですね。と確認し、全員が
承諾しているのであれば、立ち会いをしているといっても良いだろうが、今回のようなやり方は
問題外である。



● 読み取り

 ましてや、この地域は昭和50年には国土調査が終了しており、現在のように数値測量では
なく、図解法による国土調査の地籍図が法17条地図に指定されている地域である。したがっ
て国土調査どおりという事になると、法17条地図を読み取り、現地に近い国土調査に使用し
た図根多角点なり三角点を使用して、読み取りの座標値により、その位置を現地に復元する。
 当然読み取りによる位置の誤差が考えられ、現地の恒久的地物等との兼ね合い、現地での
当事者同士の立ち会いにより始めて境界が確定されるものである。当然その場合公差内によ
る位置のずれを容認する事もありえるわけである。



● 耐える

 電話で話をしても無駄なようである。仕方なく土木事務所に再度その担当係長と話しをする
ため出かけていった。「公共座標でやっているので絶対に間違っていない。私は研修を受けて
いるので調査士に言われなくてもこんな事は分かります。」と断言までされる。間違いを指摘さ
れているのであるから、現場で確認をし、即座に対応しなければならないはずであるのに、現
場にも来ず、こんな事ばっかり。
 更には、1件違っていればこの1件だけ直せば良いのだとも言われる。冗談ではない。一筆
地の中で納まる境界が違っているならばそれでも良いが、一連の路線で買収のための分筆登
記を同一の公共座標で表示しているのだから、三者境界が間違っていれば、依頼地の境界の
座標と同じく隣接する土地の同一の地点の座標が異なることはあり得えず、少なくても依頼地
と隣接地は訂正しなければならない。ましてや、今回のようにチェックしたところが全部がずれ
ていれば路線を全部修正しなくてはならない恐れさえある。事の重要性も全然分かっていな
い。それも原因はこちらにあるような事までいわれる。腹に据えかねたが、友人の事もあり、じ
っと耐えて、内部の資料を調査して再度、現地を調査しますと約束をしてもらい土木事務所を
後にした。



● 約束

 1週間後、今度は、土木事務所の用地課長、工務課長、工務の担当者の3人が私の事務所
に来訪され、どういう事だろうか。と尋ねられる。一応、用地巾杭間の辺長についてはチェツク
されている様である。しかし、依頼地と隣接地そして県の三者境界については木杭は単純に巾
杭の意味であり、測量図の位置で正しいはずだと主張される。ましてや印をもらっているんだ
から正しいとまでいわれる。
 じゃあ立ち会いはしていただいたんですかと尋ねると、予算との兼ね合いもありそこまでは出
来ませんとおっしゃる。予算なんか関係ありません。それは、工事をするという立場からは分か
りますが、人の財産を扱うという事からはその様な事は関係ありません。
 我々調査士の報酬が高いと言われるけれど、登記をすれば後は全部我々が責任を負わなく
てはならないんです。登記に関しては、県が負う責任も1調査士が負う責任も同じなんですよ。
しかも、地積測量図は永久に残りますから、一度境界を決めたら今後それに拘束される訳で
す。誤りがあれば訂正していただかねばなりません。
 関連の土地所有者全員に立ち会ってもらって、この位置で正しいという事であれば問題あり
ませんが、先に、私が隣接者に立ち会いをお願いをし、県はこの位置を境界にしていますよと
言った後、もし県の決めた境界と違った位置が境界であると関係者が主張すれば、それこそ
問題が大きくなって県は信用がなくなるのではありませんか。と説明すると、今度測量会社と隣
接地の所有者を呼んで確認すると約束されて帰っていかれた。



● 承諾書

 承諾の印鑑については友人は工事の承諾印だと思い、土木事務所は境界の承諾印である
と言う。確かに書類には図面も座標の記載もなくB5一枚の用紙に単純に承諾しますという文
面の書類であった。
 承諾を得る人に対して十分な説明もせず、みとめ印でその程度とは・・・。後で実際に見せて
戴いたとき、こんな雑な承諾書でよくも承諾書ですと言えるなとおどろいた。しかし、県のやる
事だからこのようないいかげんなものでも法的な効力が有るのだろう。(それだったら、県の境
界査定もこの程度にしたらと意地悪く考えてしまった。)



● 勝手にしろ

 しかし、私もいろんな事を言う以上きちんと測量だけはしなくてはならないと思い、現地の長
狭物に囲まれた1ブロックについて現況測量と、現地に残る用地巾杭および引照点(準拠点の
金属鋲)について、すべて私の多角点を使用して測量を行った。県を徹底的に追い詰めること
は、この資料があれば簡単な事である。しかし、そこまで追い詰めるのは本意ではないので、
ざっと測量はしました程度ですましておいた。
 1週間後、今度は現地において、依頼者である友人と、土木事務所の工務の担当者と工務
の係長、用地の担当者そして測量会社による確認を行った。隣接地の方の立ち会いは無いん
ですかと尋ねると「本日は呼んでいない」との事、やれやれ、何のための立ち会いなのか。
 測量をして残地の面積があるかどうか確認するという。確かに残地に登記簿上の面積があ
るかどうかも大事なことではあるが、境界が明確になってもいないのに残地の面積を出すとい
う。勝手にしろとあきれてしばらく傍観。



● 立ち会い結果

 しかし、土木の職員は一向に動く気配すらない。先日、私がいった事が少しは分かったのか
残地の隣接地となる方は一応呼んでいる。今度分筆を行う時は立ち会いをしてもらうはずの方
なので再三足を運ばせては悪いと思い、仕方なく残地の境界の確認を行う。ここでも県は一応
残地も測量して面積について確認したと言っていたが、どうもおかしい。測量会社が以前つけ
たペンキは今回の立ち会い結果とは別の位置になってしまった。現況測量のように立ち会いも
せずザッと測っているだけである。回りを見渡すと残地部分と立会者との境界はコンクリート擁
壁の打ち方がおかしい、すぐに疑問に思うことである。依頼地の方が高く、残地隣接地の方が
低いのである。通常であればコンクリート擁壁は依頼地の所有分である。しかし、立ち会いの
結果は土が落ちて困ると残地隣接者が自分の土地の部分にコンクリート擁壁を造ったとの事
であり、周囲を見渡してもその事が容易に分かる事であった。



● 立ち会いが無い

 更に、測量会社にどこの三角点を結ばれたんですかと質問すると遠方の図根三角点を結ん
でおり路線長は2キロを越している。また、調査士のように1筆1筆調整する事は出来ない、ブ
ロックの大枠では丁度だったので、そのまま正しいとしてやりましたとの事。これは工事測量の
考えであるだろうし、少なくとも用地測量がこのような考えで行われているとは思いたくない。
 読み取りの座標値を現場で誤差の調整もせず、遠方の三角点同士を結んで、その多角点か
ら復元したと言う。林道などの広大な山を抜いている場合で境界も不明なところであれば便宜
このような方法に頼る場合もある。しかし、現地は準市街地である、いくら土地の単価が安いと
は言え立ち会いが無いのはどうも不都合である。
 おまけに、測量会社に地積測量図を作成させるのは立派な土地家屋調査士法19条違反で
ある。



● 分からせる

 土木の職員に一番手っ取り早く現実を知らそうと、依頼地の一番南側の町道と依頼地と県買
収地の三者境界について、目で見せる事とした。
 地積測量図のコピーを見せながら、この準拠点はこの位置とこの位置ですね。そして、現在
一番南側の点はこの鋲になりますよ、町道の中にある水路は全部個人所有地にしてあります
よ。少しおかしいんじゃないですか。依頼地の町道を挟む反対側にはL型側溝があり、その位
置から国土調査での町道巾をとると水路は町道部分となる。土木の職員も全体がスライドして
いる状況と立ち会いが無かった事が分かられたようなので、何とか善処してくださいと言ってそ
の場は別れた。





● 当たり前の事

 しかし、1ヶ月たっても何も返事は無かった。友人である依頼者に「土木事務所あれから何も
言ってこないかい」会う度に挨拶のように話していたところ、年度も迫ったころ突然、土木事務
所に他の境界確認の書類を提出中、事務所から電話が入り、土木事務所の担当課長さん達
が来訪されており、すぐに土木事務所へ帰るので、そのまま待つようにという連絡があった。土
木事務所で待つているとやがて担当課長さん達は戻って来られ、土木事務所の応接室で話し
合いとなった。
 しかし、開口一番「境界の位置は正しいと思っています」「調査士さん、固い事言わんでくださ
い。」「いや、私は間違っていると思います。何等かの修正をして下さい。」こんな押し問答を1
時間繰り返す。私は腹芸になんか関係したくない。立ち会いもせず正しいかどうかの「たら話
し」しかしようとしない。立ち会いを行えばすぐ分かる事である。



● 問答の末

 「町道との境界について町の建設課に確認しましたところ、水路は町道であると言うことでし
たよ」。私は前日、町の境界確認の担当課である建設課に出向き、口頭ではあったが一応確
認をとっていた。建設課も最近水路の底打ちをしたという事で写真をみせると、すぐ担当者は
確認してくれた。まあ、土木事務所も買収の交換用地として依頼地を分筆する必要があるので
しょうから、私はこのままでは分筆しませんが、他の業者に依頼されたらどうでしょうか、ただ他
の業者も地積測量図からの復元と隣接地との立ち会いは必ず行いますから誰もやらないと思
いますよ。こんな問答の末別れた。



● 現実には

 一昔前の「登記さえ出来れば良い、あとは知らない。もし間違っていても自分は転勤して関係
ない。仮になんかあったとしても買い足したり、戻したりすれば良い。」といった役人の体質が
チラチラのぞく。現実には買い足す事はあっても、戻すことは皆無に等しい。登記が出来てしま
えば、途端に土木は高飛車になり、今度は土木が決めた境界であるにもかかわらず、境界確
認申請を出させ、現地を復元させ、その位置が管理境界に不都合があると境界の確認をしよ
うとしない。また、今回のように徹底的に責任を逃れようとする。土地の提供に快く応じた人が
最後に泣きをみるのが現実である。
 私も友人の依頼人も、結果的にはこのままで終わったら、分筆を必要としているのは土木で
あり、困るのは土木である。更に間違った境界については一連の関係者を呼んで全員に真実
を言えば良いのではないか。ここまで我々が誠意を尽くして言っている事を無視するのであれ
ば、それでどうなろうと我々の知らない事である、しばらく冷却期間をおこうという話になった。



● メンツ

 しかし、その日の17時頃、今度は町の建設課の課長から事務所に電話が入る。「先日の境
界確認の件ですが、水路は民有地です。以前に町が立ち会いをして水路は民有地であるとの
承諾をしております。依頼者は土地所有者の息子さんという事ですから、きっちり事実を把握さ
れていないんじゃないですか。」と失礼極まる電話が入る。「はい?、了解はしますが、この水路
は延長が100メートル以上ありますけれど、この全部に対して水路は民有地という事で処理し
ても宜しいですか。」「他については知りません」無責任だ。明らかに土木と町の電話連絡によ
る調整である。この連中は個人の財産を何とも思っていない。自分達のメンツだけを気にして
いる。更には傷口を広げても分かっていない。クダラナイ、責任という言葉は彼らの辞書には
無いのだろう。



● 友人との話

 翌日、友人に事情を説明、折角、土木も町も水路はお宅のものだといってくれているんだか
ら貰っておけば良い。しかし、あの人たちは水路が個人所有地になれば地積測量図での隣接
地境界の位置はまだ、南に下がって、尚更誤差が広がるという事すら分かっていない。1つう
そをつくとどんどんうそをつかないと物事を隠せなくなる。こんな事は自分の子供にだってしつ
けている事だろう。隣接地との境界と町道との境界は別々に独立した問題なのだから、それぞ
れに言えば良い事だ。と話し合う。
 しかし、根が善良な友人は、土木の工務の担当者が自分の同級生である事も手伝って、「ど
うも、本当は間違っているのは分かっているようだ、彼はどうしょうかと頭を抱えている。今度二
人だけで会ってやってくれないか。」「いいよ。前向きで話せるのならいつでも会うし、対処する
方法も教えてあげるよ。しかし、ここまで来て、まだ土木が正しいと言うならば、違っているとい
う事を認めさすまで話しをするしかないし、それなりの対処の仕方を教える訳にはいかないん
だよ。」



● 話し合い

 翌日、工務の担当者が事務所にこられた。誠実な人柄に見受けられる彼は正直に、境界の
立ち会いは行っていない事、水路の話も、私の話の後で、調査をしたら以前にそういう事があ
ったと初めて分かった事でそれが本当に正しいかどうか分かっていない。分筆した時点では何
も分かっておらず、単純に国土調査の読み取りの座標値をそのまま現地に落としただけであ
ると話された。
 しかし、彼もこの町の国土調査は図解法という事を知らず、座標値があるという事で数値測
量の国土調査実施地区と考えていたようである。当然この座標値は測量会社が読み取った私
的な値で、他の測量会社が読み取ればまた違った値になる。更に先に述べたように近隣の図
根三角点を使用せず、遠方の図根三角点を使用しているための誤差もある。
  この町の図根三角点同士の距離誤差は
大体10センチから15センチある、したがっ
て遠方の図根三角点を使用すればそれ以
上の誤差を生じるわけである。               
現実に私が法17条地図を読み取り、近隣
の図根三角点を結合した私の作製した多角
点から、問題となっている境界を復元すると
全体に10センチほどすべての境界はスライ
ドして、木杭の位置とはほぼ5センチ程度の
ずれになる。しかし、これとてもピッタリという事では無い。



● 次善策

 一般の方は役所が国土調査どおり復元すると言えば、当然国土調査の時に示した境界を測
ってくれると思われるし、それだけ信用しているわけです。しかし、現実的には現在のこの町の
国土調査ではそれは不可能な事であり、そのためにも境界を復元し、現実にそれを立ち会い
し、目で確認してもらってこそ始めて境界が復元されたということです。
 これらの事を話しているうちにどうやれば訂正する事ができるでしょうか。と切り出されたの
で、本来であれば分筆を抹消して 
 きっちりと境界確認した後、確定測量をして地積測量図を再度作製し、再分筆をする事で
す。
 しかし、これはもう現実的には不可能でしょうから、ここからは登記所には聞かせたくない話
しをするのですが、現在、民民と県買収の三者境界については、木杭がそれぞれ本来の境界
とおもわれる場所に入っており、土地所有者の立ち会いをしても恐らくその位置から2.3セン
チ程度のずれでしかないだろう、それについては、測量誤差といっても良いずれである。民地
の中の用地買収杭については、巾杭だけの意味合いとして扱い、すべてX軸の正方向に20セ
ンチ程度移動させれば、現地がスライドして、地積測量図と現地がほぼ一致する。



● 極意

 しかし、境界の座標値を変えると面積も変わる恐れがあるため座標値を変える事が出来な
い。しかし、準拠点の位置と座標値については地積測量図の訂正の範囲であるため比較的容
易に変えることが出来る。そこで準拠点を違った準拠点を使用した事にして、本来の座標値か
らX軸の負の方向に20センチ移動した位置の座標値にしてやると、現場全体の座標での位置
関係は20センチX軸正方向に移動したことになり、地積測量図の内容は準拠点の位置と座標
の更正のみで済む事になる。後の現場については依頼地を誤差範囲を上手に使用しながら
全部境界確定をした後、全筆求積の形で分筆をすれば最終的には本来の境界が生きる事に
なります。と説明すると担当者は納得されその方向で上司と相談してみますといって帰られた。



● 境界確認

 2日後、担当者は再び来訪され、前回教えてもらった方法で訂正しますとの事、測量会社に
その処理をやらすとの事であったので、何をされるか分からない恐れもあり、こちらで地積測
量図を作製してあげますから、資料を出して下さい。後々こちらがそれによって境界確定をし
なければならずやむをえず私が作製する事とした。
 そして、町道の問題もはっきりしていただかないとこの方法は使用できませんよ。現実に友
人の土地に水路があるようにしても、水路の継続地の方からみれば友人が水路を取りこんで
いる様にしか見えず、彼の評判を落とすだけです。国土調査の町道巾どおり、水路は町道とし
て扱って、町に境界確認をおろすように言ってください。と担当者に説明、担当者も了解し用地
課長から町の建設課長に連絡をするとの事であった。帰られた後、電話で町には了解がとれ
たという連絡が担当者より入った。
 1週間後、準拠点の位置、座標値を変えた地積測量図4枚を土木事務所の担当者に渡し、
その登記も完了したとの電話連絡が入る。
 そして、私は、依頼地の境界確認を行う。土木の担当者は隣接地の方は国土調査後土地を
購入された方なので境界を知らないと思うと言っていたが、とんでもない、「コンクリート擁壁は
双方立ち会いでつきましたのでコンクリート擁壁の基礎部分でかまいません、私は土地を取り
込む気も控える気もありません。」と明確である。もし、仮に土木が地積測量図の訂正をしてい
なければどうなっていたことか。



● 腹の立つ事

 境界の、立ち会いにおいても、一応土木はここを押さえている様ですがと何気なく、木杭の位
置が合っているように誘導していく後ろめたさ、何で県のためにここまでしてやらなければなら
ないんだ、これほどまでしてやっているにもかかわらず、いまだに土木事務所の担当の係長、
課長連中は礼さえ言おうとしない。そして、町の建設課長に至っては土木の口車にのり、町民
のための奉仕者である事さえ忘れ、あれほど無礼な口先だけの対応をしたにもかかわらず何
も連絡さえしてこようともしない。別に金銭が目当てではない。気持ちの問題である。
 現実に、官公庁のおこなった分筆等のからみのある土地の残地部分の測量については、必
ず大なり小なり起こっている問題であり、調査士であれば1度は必ず経験されていると思うし、
県の対応も同じ様なものだろう。私の場合、事件数が少ないにもかかわらず、最近の2年間で
も県の分筆買収絡みの事件(6件)は全部少なからず同様の問題があリ、明らかに県に原因
があり誤りが地積測量図から明確であり、再三の申し入れにもかかわらず2件しか解決してい
ない。また、それに要した資料作製や登記費用等についても一切費用負担の話さえないし、担
当者以外に「すいません」の一言さえ言われた事もない。



● ケジメ

 県の用地担当もこんな事を改めない限り、今後このような問題が出たときは誰もかばってく
れない。これは当たり前だ。現在の状況だと登記をするたびに問題を巻き散らしている。信用
は地におちっぱなしだ。
 こういった現実をうすうす知っていながら法務局は県や市町村に対してどのような対応をとら
れているのだろうか。
 現実の問題として、自分の名前で地積測量図を作成し、登記をおこなっていても、自分で調
査能力や測量技術が無く、その責任を本気で取る気のある職員など皆無である。
しかし、自己の良心とケジメだけは明確に我々にも示してほしいものだ。



● ペンネーム

 そして4月、年度が変わり、官公庁は人事異動。町の建設課長は助役へと昇進し、提出して
いた町と県の境界確認もそれぞれ交付され、依頼地の分筆が完了した。
 私の気持ちの中に県と町への不信感が残り、地積測量図には私の名前が残った。調査士
は名前を二つ持つ事が許されていないのだろうか。



国土調査地域の実務
     
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