方   位

( ちょっとした事で )

● 方位マークは

 最近、勉強会に出席して、思わぬ事を聞いた。それは地積測量図に何気なく記入している方
位の事である。愛媛会の場合ほとんど100パーセントに近い数字で、座標法による求積が行
われている。しかし、そのうち7割が任意座標によるものであり、たまに、座標の値と方位が一
致しないものを見受ける事がある。作成者に訳を聞くと、適当に測量しておいて、方位につい
ては後で住宅地図等を参考にして記入するという。
 せめて棒コンパスを使用して磁北を0度として観測を開始してみては言うと、「棒コンパスを持
っていない、方位がどちらでもその土地の面積に変わりはないだろう。建築屋さんが必要とす
るのなら、磁石で改めて方位を記入すれば良いのだ。」
「しかし、測量は北が上になるのが常識というか一般的なのであり、依頼人も当然そう思ってい
るはずだから、誤解を生まないためにも、北を上として、座標もそれに関連付けして測量し作
成すれば。」と言ったものの、私自身も一筆地の測量において何故北を上にしなければならな
いのか、また座標をそれに関連付けしなければならないか、測量の教材に北をX軸の正方向
とするとあるからだとしか理解していなかった。



● 勉強会での話

 しかし、その誤差論の勉強会のなかでの三角関数の話の際、方位に関連した角度の影響に
ついて講師の体験談があった。土地測量の依頼を受け現地を測量後、依頼人が面積につい
て土地の売買金額の決定のためすぐ知りたいとの要望があり、たまたま現地は多角点1点を
機械点、他の多角点を後視点として使用。現地は見通しも良く、すべての境界点は機械点1点
から放射測量により測れている。公共座標にしようが、任意座標で計算しようが面積に変わり
はないと判断。
 その場で任意座標により座標計算をして、依頼人に面積を告げて現地から帰った。しかし事
務所で再度、正式に公共座標により計算をしたところ、愕然となる。
 普段であれば、同一場所を2回測っても、こんなに誤差は出ない。全く同一の観測データであ
るにもかかわらず、何故こんなにも違うのかという程面積に差が出た。データの入力ミスでは
ないかとチェックしてみたが、誤っていない。一体どうしてだろうと考えたところ、任意座標から
公共座標に直すときに生じた回転の角度が原因であったとの事。三角関数の角度の関係であ
るという。
 この時はこれ以上の詳しい事は私の頭では理解出来ず、そんなものなのかなと漠然と思って
いた。しかし、私もついに、身につまされる羽目になった。



● 明日はわが身

 不動産屋の依頼を受け、土地の実測と境界確認を行った。丁度現地は私が既に図根三角
点同士を単路線ではあるが結合したさいの多角点があり、すぐ測量にかかれる状態で、現地
の立ち会いも、二人であり、境界も明確で、法17条地図(国土調査図面)とも現況は一致して
いる事は素人目でも解る土地であった。そんな事もあってすぐ測量したのが悪かった。
 最近、作成した多角点であったため、事務所に保管してあるデータを確認せずに、自分で名
称をつけた多角点番号を頭の中に浮かんだ番号でそのまま観測してしまった。現地は近傍の
多角点に機械を据えつけ、他の多角点を後視点として放射測量ですべての境界を観測する事
が出来た。事務所に帰り製図してみると、形状はきっちり国土調査どおり、地積についても公
差範囲にばっちり入る。少し変だな、とながめていると、どうも方位がおかしい。あれっ、と思っ
ているうちに、不動産屋から電話。「建物の設計のため図面がいる、建築確認申請を急いで取
る必要があるので、至急図面をくれないか」。
 方位だけおかしいんだ、辺長なんかは全部あっているし、面積まで違う訳が無いと思い。すぐ
に事務所に来られた不動産屋に、「図面の方位がおかしいんですが、本当はこの方向になり
ますよ。」と注意だけしておいて、図面を渡した。








● やっぱり面積がちがう

 格好が悪いので、きちんと方位を直そうと調査していくと、どうも多角点の名称を間違えたら
しい。2つ前の多角点をそれぞれ後視点と機械点に入力したために方位が90度近く回転して
しまった。まあ、面積は変わる事はないと安心していたのだが、正しい多角点の名称を入れて
計算をやり直すと同一の観測データを使用したにもかかわらず面積が違ってしまった。
 これはやばい、いくら0.03uの差とはいっても、一度図面を渡してしまっては信用問題だ、
すぐに連絡を入れ事無きを得たが一瞬血の気が失せる思いであった。
 日頃、甲1だ、甲2の精度だと精度の事ばかり気にしていた。
 500uで0.03uの相違である。同一の調査士が、現在の測量器材を使用して、見通しの
良い場所で機械点1点から総てはかれる状態で、しかも境界標識が全部みえているならば、
いかに500uであるといっても、再測しても、その差は恐らく最大限0.1u以内に納まるだろ
う。観測がいかに上手であったとしても、ただ方位を適当にしたばっかりに面積の相違が生じ
る。
 なにか、数字のトリックのようだが、測距、測角値以外に方向角により座標値は決定され、桁
数の制約があるため起こる事柄であり、我々がちょっと気をつけさえすれば防げる事である。



国土調査地域の実務
     
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