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● 失敗は日常茶飯事 調査士には失敗はつきもの、失敗をすれば再度同じ事を繰り返さないよい経験になる。と気 取ってみても、失敗はしない方がよいに決まっている。後で考えると、なんであんな失敗をした んだろう、と不思議に思うこともしばしばある。しかし、調査士は現場で即座に人との対応が要 求されるため、失敗も多くなろうというもの。 私の場合、失敗は日常茶飯事であり、いちいち数えたらきりがない。先日、境界復元の依頼 を受けた。依頼地は国土調査実施地域であり法17条地図に指定されている地域での事。 この地区は既に昭和45年に国土調査を完了。現地を測ったと思われる図根点は、未だかっ て探し出せた事がない地域であり、更に国土調査の実施にあたっては役場職員が調査、測量 を行っているため、非常に精度が悪い。 ● 大体このあたりですよ このような地区だから私はあまり境界の復元については積極的に業務を行っていない。「私 が国土調査の復元をしても、境界はここだという断言はできません、大体このあたりですよ、 としか言えません、後は当事者同士の合意で決めていただく事になります。 だから、当事者同士で最初から穏やかにお話しをなさって、役場に行かれて、国土調査の原 図から距離を読み取ってもらって、双方の反対側境界から距離をとり、双方が納得されて境界 を決めて、そこに杭を入れた方が良いのでは、私がやっても、ほとんど同じ事しかできません し、費用もかかりますよ」と申し上げる事にしている。こんな仕事は、私はあまりやりたくないし、 性格にあわない。田舎の事ゆえどちらかに有利になれば、当然片方からは怨まれる事となり、 割りにあわない。しかし、今回ばっかりは、依頼者が強引に依頼されるので、仕方なく、資料を 収集して、現場へと出向いた。 約束した当日は小雨であったが、依頼人は遠隔地から、法事のため一時帰郷しているの で、日程に余裕がなく、雨でも、現地で決定してくれと言われ、仕方なく、出かけたものである。 ● 円満に合意 まず依頼人と隣接地土地所有者挨拶を行い、依頼のあった時、合意の条件として、国土調 査時復元で良い、復元方法は双方の国土調査での読み取り辺長を反対側の土地境界から復 元し、縄伸び等については、その部分については、比例按分する事として合意ができており、 早速、反対側の境界から双方の距離を測った。 やはり総延長が30メートル程度であるにもかかわらず、30センチもの重複距離があった。本 来ならば、到底、合意の出来る距離の誤差ではないだろうが、先に強く約束をしていたため、 そこは円満に合意が成立し、境界の標識を入れる事となった。 境界の両端について、境界標識をいれ、これも双方の確認を得た。やれやれこれでお役ご めんと、帰りかけたが、依頼人の奥さんが、途中に目印程度で良いから鋲を打ち込んでくれと おっしゃる。仕方が無い、ご要望に答えて、鋲を入れることとした。 ● 小雨の現場 不精をしたばっかりに しかし、当日は雨が降っている。トランシットで睨んで真ん中の地点に鋲を入れようと思った が、依頼人の奥さんも目印程度で良い、大体目安として入れてくれれば良いとの事であったの で、私も面倒臭くなり、目印ですから、少しずれるかもしれませんよ、境界は両端をむすんだ線 ですよ。とお断りをした後、両端の境界標識をみず糸を張りその直線上に鋲を入れる事とし、 依頼人と隣接地土地所有者にそれぞれ糸の端を持っていただいて、鋲を入れた。しかし、境 界線上に障害物があったのを私は見落としていた。一応、双方によろしいですかと声をかけて 確認していたものの、私自身が標識とのずれを直接、確認しなかった。 依頼人達は標識から、上にあげた位置でみず糸を持っていた。我々でさえ、誤差が出る。つ いつい鋲を打つ事に気をとられ、そちらに気がまわらなかった。その場はみんな気がつかず、 これで良いという事で、納得して帰った。 ● 三ヶ月後 その三ヶ月後、突然、隣接地土地所有者から、電話がかかってきた。「あんた、とんでもない ところに鋲をいれているじゃないか。隣がブロック塀をついたが、曲がってついてあるぞ、あん たが指示したんか。1センチや2センチなら良いが4センチもうちに入り込んでいるぞ。」 「はぁ、一応、境界は両端を結ぶ線という事で私は、確認しております、途中の鋲は目印とい う事で入れたんですが、お宅も立ち会っていただいて事情はご存じのはずですが。ブロック塀 については私はどういう事なのかわかりませんが、鋲が間違っているならば私の責任です申し 訳ありません。」散々怒られるはめになる。 ちょっと不精をして手を抜いたばっかりに本日もほろ苦いビールを飲むことになった。
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