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●全員集合 十月中旬、与点の視通確保のための伐採、新点位置の確定、杭入れとなった。 二人で、与点に上がって大体の新点の位置を決定し、伐採の方向を決めていたが、やっと 現実の伐採となった。町の協力により、伐採については町から一言土地所有者へ伐採のお断 りを入れてくれる事となり、安心して伐採出来る事となった。 午前9時集合となり、現地には八名の有志が集まった。しかし、朝7時、私の自宅に既に電 話が入っていた。「今、現場にいます。9時30分に現場の小早津の林道の入り口で待っていま す」。前回の選点の時から彼は新点について、どうも不満であったらしい。「ちょつと、考えてお きます」と言って帰った事を思い出す。小早津から須ノ崎への新点を考えていたのだろう。先に 来て選点をやり直していたらしい。 9時丁度全員が集合、お昼の弁当を調達し、急ぎ待ち合わせの場所に向かう。林道入り口 に到着すると、W氏車の中で仮眠を取っていた。「早いね」「朝3時にこちらに向かって出発しま した。」体力もあるが、責任感もある。 ●方 向 即刻、与点の小早津へと全員林道を車に乗って移動する。林道の最終地点に到着、全員手 に鎌、斧、のこぎりを持って稜線の山道を進み、四等三角点小早津に到着、小早津から仁土、 新点観測のための偏心点、そして新点の三方向について視通を確保するために、伐採する事 となった。 ここから、仁土については、既に測量会社が数年前に伐採しており、仁土の山頂が雑木の 上から僅かに見えていた。これは改めて、同じ場所をきれいに伐採するだけで良く、そう問題 も無い。偏心点については、距離も近く、雑木の間から、うっすらと見えており、これも伐採の 方向は問題無かった。しかし、新点を直接見る方向については、雑木も多く、松も生えており、 以前の選点の際には木に登って見通しをつけていただけであるので、慎重に伐採の方向をき めなければ、とんでもない大伐採となりそうである。 地形図を眺めていたW氏、いきなり、「仁土の方向にテープをはってもらえますか」。用意して いた布テープを持ち出し、小早津の三角点を起点として、距離を取り始めた。「ええっと、ここ が7メートルだから、ここから直角に3メートル20の地点はと。」その地点に目印のポールを突 き刺した、「この方向ですから、伐採しましょう」。全員、「それっ」と伐採にかかる。私には一体 なにが起こったのか解らず、不思議な物を見てしまったような気がする。 後で気になり、こっそり彼に聞くと「小早津と仁土は、見通せる事が解っており、前回も見通し が出来ていたので、地形図上で、新点の予定地との角度を分度器で予め読んでおき、小早津 から仁土の方向にまっすぐ可能な場所までテープで測り、そこから直角に垂線を電卓で三角 関数のタンジェントで得られた答えの距離を取れば、大体方向が解ります。」聞いてみるとなる ほどと思うが、こんな計算の必要もなさそうなところでも彼は電卓を持つている。彼のリュックの 中には何がはいっているのだろうか。ちなみに、私が後で同様に分度器で測ると、内角25度 であった、タンジェント25度の値は0.4663であり7メ−トルの距離の地点で直角に3メートル 26センチの距離をとれば内角25度をとったことになる。 ●下の方を切って下さいよ 「ばっさり切ってしまう場合は、下の方からきれいに切ってくださいよ。上の方を尖った形に切 って、つまずいて刺さって怪我したら大変ですよ。なるべくのこぎりを使って切って下さい。」言 われる前に転んで、あわやという場面もあり、なるべく下の方を切ろうと心掛ける。さすがに、8 名も伐採要員がいると、仕事もはかどる。 おまけに今回は山仕事のプロが二人も参加している。さすがにプロらしく、「安全靴も持って 来ているんだけれど、木に登らなくてはならないと思って地下タビで来たんだ。」言う事が憎い。 伐採も最後の方は高い木の枝打ちになり、もう木のぼりのプロの独壇場である。 しかし、他の調査士も全員、品位ある調査士、伐採した木を持ち運び出来る程度の大きさに した後、整理しはじめた。何と、大変な量の伐採をしたにも関らず、一時間程度で完了した。 ●砲 金 取り敢えず、この後は国道沿いに選点する新点を設置する事となった。国道沿いのため、足 場も良く、おまけに片側は海であるため大変見通しが良い。 新点はほとんどコンクリート擁壁部分であるので砲金を入れる事としていた。当然、2級規準点 の規定による材料でなければならないだろうが、予算の関係もあり、新点は鋳鉄杭か砲金を 設置する事としていた。 最初の新点に移動、エンジン付きドリルで穴を開け、砲金の足の部分がすっぽり入る穴を確 保、傘の部分について円形にたがねでまわりを削り、えらの部分が埋没する様にした後、コン クリートボンドで接着した。 この時、以前私が林道を分筆登記した際、多角点として砲金を使用し、今回と同様の処理を していたが、ボンドのかわりに即乾性のセメントを使用しており、途中で水が無くなってしまい、 飲み残しの缶コーヒーを使って固めた話をすると、建築士の資格を持つS氏「あっ、それあきま せんわ、コンクリートに糖分が混じると、さくさくになって強度が出なくなります」うわっ、大変だ。 今度、現場を見に行っておかなければ。 私の反省とは別に、さすがに道路沿いに基準点を設置する事は全員、準拠点の設置で慣れ ており、次々と交代で手にたがねとドリルを持ちながら設置していく。 ●懐中電灯 16時を過ぎた頃、四等三角点須ノ崎(標高20メートル程)への丘の上の新点(標高100メ ートル程度)から取り付けの確認、そして方向角の取り付けを行う四等三角点渡江との視通確 認のため、丘の上の新点と須ノ崎の二手に別れ、視通の確認を行う。しかし、太陽がかなり傾 き、須ノ崎から丘の上の新点を見ると霞がかかったようになっている。反対に丘の上からは、 須ノ崎は舞台のスポットライトが当たったように鮮明に肉眼で捕らえる事が出来るとトランシー バーから連絡が入り、何故こちらが見えないのかじれったそうである。しかし、双眼鏡で一生懸 命にらんでも見えないものは見えない。やむをえず。「懐中電灯をこちらに向けて照らしてくださ い」。「了解」。「見えますか」「まだ、解りません、ちょっと動かしてもらえますか」。一生懸命探し ていた場所からだいぶずれた山の中腹の方に白い光が見える。「ああ、見えました。」思ってい た位置よりも、下の位置であったが、なんとか懐中電灯の灯を捕らえる。選点をする際の準備 品のうち何故懐中電灯が必要なのか、あまりわからなかったが、こういう現場に遭遇すると良く わかる。 ●再度伐採 そうこうするうちに視界も悪くなり終了。本日の疲れを取るためと証して酒盛りが始まる。翌 朝7時、全員、前日のお酒の飲みすぎを後悔しながら、出発する。 本日は、小早津との相手でもある仁土の伐採である。檜林の中の傾斜を登りながら四等三 角点仁土に到着、ここは既に伐採の方向も解っており。数年前に測量会社により伐採されて おり、その邪魔になる部分を伐採するのみのはずであった。 しかし、前日の伐採で要領を覚えてしまった調査士連中により、ばっさりと伐採されてしまっ た。「ここは、あまり伐採しないように」と注意をしていた私もついつい「ええいっ、切ってしまえ」 とばっさり。慣れとは恐ろしい。また、新点の方向を伐採していた連中も同様にばっさり。「あれ っ、えらく木が枯れていたもんだね。」「はい。だいぶ枯れていました。」涼しい顔。 この間1時間、要領を覚え、各人手際も良くなってきた。 ●座標計算と伐採 「どんどん進めましょう、次は権現です。」W氏の号令で、全員四等三角点権現の登り口であ る農林省の水槽まで車で移動。 後は、まっすぐ、ひたすらまっすぐな遊歩道の勾配を脱落者もなく登る。前回来たとき生い茂 っていた葉は、きれいに落ちて、陽射しも我々までとどくようになっていた。ここは、前回の単路 線での測量の際に使用した、鋲は残っていた。 そう言えば、ここに登ってくる前、農林省の水槽の前の位置にある前回測量時の金属鋲を見 てW氏「ここに機械を据えてもらって、730メートル飛ばした地点の道の中の金属鋲解ります か。1メートル程度違っても良いですよ。」日頃、鍛えた腕を見せなくてはと、前回観測した位置 はあの位置だったはずだからと、機械を覗きながら必死になって探す。「あった、あった」さす がだろうと鼻高々で報告。「それじゃあ、そこをバックにして、この地点の角度と距離お願いしま す。」しっかり、手にピンポールとピンポールプリズムを手に、W氏、農林省の水槽の上の新点 とする位置から声がかかる。「角度何度何分何秒、距離何メートル何センチ」即座に電卓で何 やら計算をしていた。 「この鋲の位置に機械を据えましょう」、前回、権現からの観測の偏心点として使用した鋲の 上に機械を据える事になった。 W氏、いきなり「四等三角点権現を0度にセットして、何度何分何秒の方向を見て下さい。」あ あ、なるほど今回はやっている事が解った。山を登る前に新点の仮の座標を計算し、山に登っ て現在の機械点の座標と権現の座標値を使用して、角度の計算を行い。伐採の方向を決め たのだ。 これならば、伐採が必要最少限度で済むはずだ。トランシットで方向を確認しながら伐採して いく。しかし、雑木林の中を伐採していくので、なかなか進まない。直線距離にして約60メート ル程の伐採であるが、そこは山の中、傾斜もかなりあり、実質延長100メートル程度の伐採と なったが、巾1メートル程の伐採で済んだ。 この距離をむやみに伐採していたら、かなりの広さを伐採する事になり、あげくの果てに、見 えなかったという事にもなりかねず、このような経験に基づいた周到な用意をする必要性を肌 で実感する事が出来た。 ●草刈り ここで、もう14時を過ぎており、最後の場所として、草の茂る新点へと向かうこととした。前回 の選点をしたときは近所に工事用の道路がある事が解らず、海岸の農道から、約200メート ル程登り、更に200メートル程横に這うように移動して苦労して見つけた場所である。 前回、見つけた道は権現の農林省の水槽からの工事用道路である事が解ったので、全員、 車で工事用道路を走り、行ける場所まで行き、後は歩く事とした。 今回は簡単に行き着く事が出来た。現地は耕作を止めた畑で、草は茂り放題、しかし、幸い な事に、木は茂っておらず、草を刈れば足場を確保出来る。 早速、新点の位置を決定。鋳鉄杭を基準点として使用する事とし、設置する。 全員、今までの山の雑木の中の険しい山登りゃ木のぼりから開放され、うっぷんばらしのよう に草を刈り、その早い事。あっと言う間に足場が確保出来。観測も十分出来る状態になった。 観測まで、あと、半月。
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