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●ついに始まった
ついに、結合多角方式の2級基準点を作ることになってしまった。私は単路線しか経験が無
い。Y型、X型、A型、H型の定型の結合多角方式なら、まだ何とか解るが、不定型の結合多角
方式なんて全然解らない。
![]() ●どうすればいいの めばいいんですよ」。と事もなげに言われてしまう。地図上で、現地の地形を読みながら与点6 点、新点25点の予定で2級基準点の計画案を示してくれるのだが、不勉強な私には何がどう なっているのか解らない。本当にこの形が良いのだろうか。 ![]() ●何とかなるさ ええい、何とか実際にやってしまえば、少しくらいは解ってくるだろう。少しずつ教わろう。この 際解ったふりをしてしまえ。「ああ、こんなに組んだらいいわけ」と調子を合わす。「こいつは、解 っていないな」と内心思いながらも、W氏、自分が言い出した手前、後に引けなくなり、二人三 脚の2級基準点作成の旅立ちとなる。もっとも一人はスタートから転んでしまっている。前途多 難。 早速、現地での国土地理院の作成した四等三角点以上を調査する事になった。幸い、この 地区について、三角点の配点図と成果および点の記については、四国地方測量部から取り寄 せていたし、一部については、既に使用していた。権現、小早津、仁土、須ノ崎、そして方向角 の取り付けの相手に使用する渡江の5個の四等三角点については、既に踏査しており、大体 の様子は解っていた。 しかし、肝心な宮野浦と狩浜の二つの四等三角点についてはまだ踏査していなかった。何故 か。単純な話である。両方とも山頂にある三角点であり、海抜ゼロメートルの位置から山頂ま で2、3百メートルの高さまで、急勾配の雑木の中を擦り傷だらけになって登らなくてはならず。 その山の形を見て尻ごみをしていたのである。 気の重い私を尻目に「今度、もう一度来ますから、その時登りましょう。」あっさり言われてし まった。「あ〜あっ、私だけが、あの体力のあり余りっているW氏と山に登るのか。つらいなぁ」 ●体調不良 電話で、8月に再度山に登る事を約束した。私は約束の日の前日と前々日、会議に出席の ため、ホテルで缶詰。今年の異常ともいえる暑さのため、冷房はがんがんかかっている。おま けに帰りは4時間電車に乗りっぱなしで午後11時に帰宅と最悪の状態でその日を迎えてしま った。 当日は朝から30度を越える天気。朝8時に駅までW氏を迎えに行き、すぐに、出発。現地へ 向かう林道の途中で車を停め、四等三角点の仁土のある山頂に向かった。細い山道から、檜 林の中を障害物を避けながら、かなりの急傾斜を登っていく、約200メートル程息を切らしな がら登り、ちょっと息切れしたころ、やっと山頂にたどり着く。丁度十畳敷き程度の平坦地にな っており、小早津の四等三角点から、こちらの三角点を観測したこともあり、視通が効くことは 解っていたものの、こちらの仁土から小早津が見えるかどうか心配であった。ここは、測量会 社も時折使用しているものとみえて、伐採の後があり、本番の観測の時に少し伐採をすれば 済みそうである。 またしてもW氏、木に登り、新点をつくる場所を探すとともに、権現の四等三角点が見えるか どうか確認をはじめる。 「何とか、見えますよ。観測するときに少し伐採すれば良いようです。」これは幸先が良い。 「少し、遠いけれど、隣町にある三角点も見えるんじゃない。」「何キロくらいあるんですか。」 「5、6キロくらいかな。」「ああ、それじゃあ、遠すぎます。使えんです」。折角みえるんだから、 使えばいいのにと訳も解らぬまま、思ってしまう。この時、しっかり理由を納得していればよか ったのだか、十分腹入りしていないため、三角点に登るたびにW氏を困らせる事になる。 確認後、転がるように、檜林の中を降りていき、林道にとめてある車に戻り、次の三角点宮 野浦に向かう。 ●気持ちは後ろ向き さて、この三角点、大体あの山の上にあることは解っていたのだが、山頂まで上がる道もな く、本当に海岸から雑木が生い茂る場所を伐採しながら、しかも急傾斜をあがらなければなら ない。これは遠慮しておこうと踏査する気にならなかった三角点である。 地図をみながら、何とか一番緩い勾配の場所を探し、その近所の農道へと向かう。やっぱり 思ったとおり、道がない。「あ〜あっ。これはしんどいぞ」、しかし、暑い。のどが乾く。登りたくな いなぁ。気持ちは後ろ向き。身体は正直である。どっと疲れが出たような気がする。 そんな、私の気持ちを見透かすように「登りましょうや。」、ええい、仕方がない。急傾斜地の ミカン畑の中をモノラックのレール沿いに、道無き道を登っていく。 山頂近くのミカン畑の石積みに「よくこんな所まで、石積みをついてあるなぁ、ミカン農家は偉 いねぇ」とまだ余裕。全身汗まみれになりながら登る。ここまでは良かった。しかし、ついに、ミ カン畑も無くなった。雑木の林である。 「ええいっ、行ってやれ」。トゲのある草に悩まされながら、頂上へ向かって這うように登って いく。「こりゃ、いかん、頭がボ〜ッとなって来たぞ。まだ目的の場所に着かないのかな。どう も、身体が持たんぞ」。あえぎながら登っていく。 やっと、稜線にたどり着く。少し、なだらかになっており、平らな道らしきものもある。しかし、ま だ頂上ではない、もう少し登らなければならない。暑い。もう降りたい。このまま車の位置まで 戻れるだろうか。体力には多少自信があったのだが、もうだめだ。「こっちです。行きますよ。」 無情にも、声がかかる。「ちょっと、休もう。」背負っていたリュックから、缶ジュースを取り出し、 喉を潤す。飲めばたちまちその倍の汗が吹き出てくる。 稜線に出たため傾斜はきついが道らしきものがあり、進む早さもぐっと上がって来た。うかう かしていると、どんどんおいていかれる。 時々立ち止まって、こちらを心配そうに振り返ってくれてはいるが、なんとか歩いているのが わかると、どんどん進んでいく。W氏のすこしづつ遠くなっていく後姿をみながら「何食っている んだろう、すごい体力」。感心。頭は朦朧。 もう着いても良いはずだ。早く着いてくれと祈りながら歩く。やっとこんもりした、頂上らしい丘 にたどりついた、「着いた。」へなへなと地面に座り込んでしまった。息が切れているのに、汗が 出て来ない。頭がぼ〜っとしてしまっている。もう動くもんか。どうにでもしてくれ。 ●高度計つき腕時計 しかし、ぐるっと見渡しても三角点らしきものは無い。どうも場所が違っているようである。最 近はやりの高度計付き腕時計の表示は330メートルになっている。確か、宮野浦の四等三角 点は標高280メートル程度のはずだ。 「あれ、どうも上がりすぎたですね。さっき稜線に突き当たった処から、反対に上がってしまっ たですね。戻りましょう」おいおい、勘弁してくれ。もう動かないぞ。勝手に行ってくれ。内心では 思っていても、なかなか言えない辛さ。動かぬ身体にムチ打ちながら、無知な頭も真っ白の状 態で調教中の動物のように忠実について行く。 ふらふらになりながらも、今度は多少下っているので何とかついていける。「もう、いかん。だ めだ。」汗が出て来ない。頭は完全なパニック状態。何とか着いた。四等三角点もすぐ解った。 最近の測量には使用されていないようである。だが、さすがにここにも対空標識が樹上にあ る。「えらい」。さあ、降りよう。完全にへばってしまった。地面に腰を降ろしたら最後、もう動け ない。「本当にこのまま、山からおりれるのだろうか。」と心配。暑さを感じなくなった。汗も止ま ってしまった。 しかし、W氏、このままでは山から降ろしてはくれない。当然のように、木に登り視通の出来 そうな場所を探しはじめる。宮野浦の三角点のまわりは、細い雑木が茂っており、その隙間を 通して、海岸線の建物が見えている。「権現との視通は、ちょっと無理。小早津はどうかな。」木 に登りながら報告してくれる。丁度、三角点の位置からも、海岸にある青屋根の建物が見え る。確かに、新点を作ろうと計画していた位置の近所の建物である。「よし、何とかなるぞ。」気 合の入った声が木の上から聞こえる。 ●方向角の取り付け 「権現や小早津は見えそう」。「いや、ここからは方向角の取り付けはしないつもりですから、 見えなくても大丈夫ですよ。」「えっ、四等三角点を使用するのに、方向角の取り付けしなくてい いの。」内心、不思議であったが、そんな質問をすると「何にも知らないんですね」と言われそう で、喉まででかかったがぐっと飲み込んだ。後から、建設省作業規程を読むと、確かに全既知 点の3分の1以上において方向角の取り付けを行うとある。 ●熱射病 「降りましょうか」やっと、待ち望んでいた言葉が出た。嬉々として、転がるように、降りていっ た。さすがに脚がわらっている、全然力が入らない。車にやっと、たどり着き、山道を運転。頭 は未だにぼ〜っとしている。対向車を避けようと道路の端に寄った迄は良かったが、ガリガリと ガードレールに接触してしまった。「これは、もう駄目だ」 運転を交代し、やっと休息の場所へ食事も兼ねて到着。「大丈夫ですか。」「もう、今日は駄 目。」「顔色、真っ青だったですよ。いつ倒れるかと心配してました。」全部の予定を終了後この 言葉をかける非常さ。缶ジュースとウーロン茶をむさぼるように飲み、やっと汗が出て来た。ど うも熱射病にかかったようである。(私の場合、ビールをついでに飲んでなんとか回復しました が、これは飲ンベェの理屈で、本当は熱射病になった場合はぬるい水に入ると良いそうで す。) たまらず私が「もう今日は終わりにしょう。」さすがに私を見かねたのか「はい、もう今日は終 わりにしましょう。でも、最後に国道の横の公園の中にある須ノ崎を見て帰りましょう」。転んで もただでは起きない。 ●ここで1点 国道を通りながら、小早津から須ノ崎までの新点の場所について大体の目安の選点を行い ながら四等三角点須ノ崎へと向かった。 リアス式海岸の典型ともいえる海岸の曲がりくねった国道の曲がりの度に車の中で大体の 位置を決めていく、「ここで1点、ここで1点。」番町皿屋敷のお菊さんのようになってしまった。 新点を決める度にW氏丁寧に地図に位置を書き込んでいく。 国道横の小さな公園の中にある四等三角点須ノ崎に到着した時、その新点の数は10個を 数えていた。 やっと、本日終了。生ビールを飲もう。お決まりのコースになり、やっと主導権が私に移る。出 した汗の倍の量ほど生ビールを飲みながら今後の調査士の事を語り合い。残りの三角点の踏 査を行うため、後日、もう一度来る。そして、ある程度計画を煮詰めたものにして、計画案を持 ってくると約束して彼は帰っていった。 ●体調万全 9月の祭日、残りの三角点、小早津、狩浜に登るため、再度彼はやって来た。今度は体調万 全、早速、四等三角点小早津のある山頂に登る。ここは既に、踏査していたので、最短のコー スを知っており、車でいける林道からすぐの場所に山頂の稜線があり、そこには稜線を走る獣 道があり比較的歩く距離も少なく簡単に到着した。四等三角点の仁土については、ここから視 通がきくのは実証済みであり。以前の観測の際、仁土の山頂は檜林の中をぽっかりと円形に くりぬいた形に上手に伐採してあり、標識が後ろの空と廻りの檜林の間で影絵のように非常に よく見えた事を思い出す。後はここからの新点への視通である。 山頂の三角点から、海岸に向けた方向は、絶壁になっており、絶壁のぎりぎりに偏心してや れば、海岸沿いの、立地条件の良い場所に新点がつくれそうである。 「ここは、楽ですね。」「そうだね。」やっと、現地に行くのに楽な与点があり、お互い、笑みもこ ぼれる。 ●対空標識 さあ、今回の研修最大の難関、四等三角点狩浜に向かう、先程登った小早津の二つ奥の山 であり、道は全然無く、険しい山である。 とにかく、地形図で一番近い農道を探し、そこから登る事とした。さすがに勤勉なミカン農家 の方もミカン畑を山の中腹あたりまでしか開墾していない。あとはお決まりの荒れ放題の雑木 の茂った山林である。 石灰石の石積みで区画してある急勾配のミカンの段々畑をモノラックのレール沿いに、今回 は何とかついていく。開墾してあるミカン畑が終り、あとは山林の中を登るだけとなり、体力に ものをいわしての行軍となる。今回は休む回数は多かったものの、何とか山頂までたどりつい た。 山頂には、石積みで長方形に囲った古墳のような形の見慣れぬ構築物がある。丁度まわり の状態からみると、この位置が一番高く三角点がありそうな位置である。石積みの中に一本大 きな木があり、その上に対空標識がある。これはこの位置で間違い無い。キョロキョロ探すも のの、それらしきものは無い。 ![]() 少し探していくと丁度、対空標識の真下の位置に木杭があった。「対空標識の下に杭を打っ て、三角点からいくら距離があるか測っておくんですよ」。「ここにあったのは、間違いないね。」 再び探しはじめる。もしかして、埋没しているのではと、土を掘りはじめる。上土を取り除くと白 い土が出て来た。どうも、ここは昔の狼煙台であったようだ。 全部、掘り返しても、三角点らしきものは無い。「本当にあったのかな」「いや、あったはずで す。」。「以前、他の町での事だけど、図根三角点を探しにいったら、その三角点は亡失してい て、似たような位置の御影石の境界標に対空標識が設置してあったけど。」すぐ、人を疑って かかる私。W氏「そんな事はしないはずです。絶対あったはずです。もう一回丁寧に探しましょ う。」信じて疑わない。石積みの中もめくって調べはじめた。 「少し、外れた方も探してみようか。しかし、こちら側だったら、対空標識はこちらの木につけ るはずだ。」ぶつくさ文句を言いながら探す。だが、全然見当たらない。もう諦めるしかないの だろうか。それでも雑木や草を刈りながら根気よく探していると、「ありましたよ。」やっと30分 程して待望の声。少しはずれた位置に50年生くらいの檜が横倒しになって、腐り始めている場 所に、隠れるように四等三角点狩浜が頭を出していた。「これは解らないはずだ。」。むやみに 人を疑った私が恥ずかしい。今度から、もっと真面目に探そう。今まで簡単に諦めていたが、 もう一度探す必要があるぞ。 いつもどおり、木に登り、伐採の方向を決める。「須ノ崎は隙間を通して見えますよ。」確か に、雑木の間から、公園の横の建物のような物が見える。 しかし、新点については、小早津の方向へ向けての海岸の方向が見えない。海は見えている が、残念乍ら陸地は見えない。伐採を海岸に向けて全部やれば、何とか視通が出来そうであ るが、これは不可能というもの。 反対方向に建物が少し見えている。白い壁の建物や水色の屋根の建物、これは伐採を少し かければ何とか見えそうである。「よし、何とか行けそう」 「偏心して、もっと条件のいいところはないかな」と探す。三角点を中心にいろいろ場所を変え る。稜線に添って山の奥に入っていくと不思議な事に山の奥に行く方向に道がついている。ど うも隣町へ行く昔の道が残っている様である。今度、伐採に来る時はこの道を通って来てみよ うという事になるが、どうも、偏心が出来る場所は無い。 ●方向感覚 「さあ、降りましょう」と、ゆっくり降りていく。登った時と同じ道を降りたつもりであったが、何と 農道についた位置は山を中心に全く反対側に降りていた。山の地形は解りにくい。前回の熱 射病事件もあり、やはり一人で登っては危ないと思うのだが、対空標識をつけに上がる測量会 社は、よほどの山奥やクマが出没する場所でない限り案内もつけずに一人で登るそうである。 一応、与点は総て踏査したので、今度は新点の場所を選点する事にした。権現の下の位置 にある、コンクリート造水槽の位置に向かう。ここからは、宮野浦、小早津が見えそうであり、 他に予定している新点も見えそうである。本日は取り敢えず終了。 「今度は、新点を全部選点します」と言って彼は帰った。 ●スーパーカブに乗って そして、一週間後、彼はまたやって来た。彼は何と、今度はスーパーカブに乗り道のり3時間 をかけてやって来た。「どうしたの。」「選点するから、これが良いんですよ。」今回は、選点数が 多いのでY氏も応援に来てくれている。 「行きましょうか。」例のとおり、出発となる。既に、ある程度目安を立てているので、どんどん 進んでいく。さすがに2級基準点の選点とあって、移動距離も500メートル前後と半端ではな い。小早津と須ノ崎を結ぶ国道の沿線に選点をしていく。さすがにスーパーカブが威力を発揮 する。既に決定した新点の位置に我々を残して、前視、後視点とスーパーカブを駆使して次々 に新点の位置を決めていく。 最初は、須ノ崎、小早津の間は単路線の予定であったが、前回、狩浜に登った時にW氏、密 かに狩浜も加えたY型の路線にする事を決めたようである。節点も含めて、この路線の選点は 終了した。 ●角度制限 前回、四等三角点狩浜から見えた、青い屋根の建物と白い壁の建物を探しに行く。どちら も、海岸沿いの小さな村落の端っこの方にある建物で、いずれも農道の横にある。青屋根の 建物は農業用倉庫、白い壁の建物はどうも、お寺の建物のようであった。 これらの建物は丁度、山の尾根をはさんで、入り組んだ平地部の両端にあった。 最初に農業用倉庫に到着、現場は丁度山からつづら折りになっているカーブの平地部分に あり、何とか次に予定している新点の場所も見える。「まあまあですね。」 「それでは、白い壁の建物の位置に行くの」。「いや、この位置の方がいいんです。」「何故。」 「三角点の狩浜と次の新点予定地との関係で角度の制限があるんですが、この位置くらいの 方が良いんです。あの白い壁までいくとちょっと角度の制限を越えそうなんです。」確かに角度 が鋭角になってしまったら、精度は良くないであろう。なんでも、内角が60度以上ないとまずい との事。 ●新点は条件が悪いよ 残るは山の上に選点せざるを得ない新点のみである。地形図と与点から予め見ておいた場 所に登る事にした。 新点は、与点が既に決まっているだけに、どうしても条件の悪い場所になってくる。当然、こ こは、ど田舎といっても良い場所。市街地といえる場所も少ない。ビルの屋上に設置すれば、 見晴らしも良く、簡単であるが、ここにはビルも無い、典型的なリアス式海岸で入り江が曲がり くねっており、平地には見通せる場所が少なく。どうしても山の山頂に近い場所になってくる。 「新点は条件が悪くなる事は解っていますから」とW氏、どんどん山の中に入っていく。いくら 地形図である程度は解っているとはいえ、木の高さまで地形図では読めず、思っていた位置よ りもどんどん上に登っていく。ミカン畑だけに、折角良い位置だと思っても防風林が邪魔にな る。 なかなか、場所が決まらない。やはり、国土調査の図根三角点の位置に近い場所になってく る。「ああ、このあたりのはずだね。以前に調査に上がったことのある地形だ。」しかし、図根三 角点は、四等三角点ほど管理されておらず、この地域の図根三角点は、ほとんど亡失してい る。 与点や新点の位置を考えながら探していく。幸いにも、枯れ草を大量に伐採すれば良いだけ の非常に見通しの良い場所がみつかる。 不思議な事に登るのに苦労した、このような場所に限って、後から調査すると、横に工事用 の小さな道路がついていたりする。後日の伐採は簡単に現場にいけそうである。 ●突堤は動く どんどん選点は進んでいく。図根三角点P1は、そのまま使用する事として、座標をつけ直す 事になる。同じく図根三角点G1の近所は丁度県が作った農業用のコンクリート水槽があり、そ の上に金属板を貼り付ける事にした。 後は、護岸に選点するだけである。護岸と突堤にそれぞれ選点する。海に突き出た部分だ けに、見通しが良く、簡単に位置が決定された。しかし、突堤については、移動すると町より言 われている。台風がくる度に、2、3センチ移動するそうである。 そのため、突堤については観測時に逃げ鋲を打ち、それも観測しておき、後々の利用につい ては、その点を使用すれば良いという事にする。 今まで選点した位置を克明に地形図に書き込んでいたW氏、「これで、何とかなるな。実は 与点を6個使用ですから、新点は20個しか作れないんです。一番最初の案は私が勘違いして ました。何とか20点に出来ました。」 そう言えば、建設省作業規程には1個の多角点網における既知点数として (2+(新点数/5))以上 となっており、確かに既知点が6個の今回は、この計算式にあてはめると、新点は20個しか作 れない。 後は、伐採のお断りと、新点設置のお断りをするのみとなり。いよいよ計画は本番に向けて 勢いがついて来た。 ![]()
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