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第4章 比較検証のための図根点作成
4.1 正確な図根点作成のために 現在では、パソコンの性能も飛躍的に向上し、使い易い測量ソフトも開発されているのでGPS測量による三次元網解析やTSによる簡易水平網、更には厳密水平網計算・厳密高低網の計算が行なわれているようである。 今回の検証においても、新図根点作成にあたって1級基準点に準ずる精度の新図根点(以下1級図根点という)については電子基準点を使用したGPS測量。 2、3級基準点に準ずる精度の新図根点(以下2、3級図根点という)にあっては1級図根点を与点としたスタティック測量による三次元網計算、4級基準点に準ずる精度の新図根点(以下4級図根点という)はTS測量により厳密水平網計算・厳密高低網計算を順次行うこととした。 4.2 4級図根点網図作成新設1、2、3級図根点を作成するにあたって、鷹子地区全域を網羅出来るように、まず4級図根点の計画をした。 4級図根点は各点の誤差が最小となるよう全点同時平均計算を行なう。 4級図根点を適正に配置し、精度良く測量できるように1、2、3級図根点について国土交通省公共測量作業規程に準じて計画を立てた。
(4級図根多角点網の計画、太線は検証計画ブロック) 4.3 電子基準点と1級図根点
使用する電子基準点は北条・愛媛川内・伊予である。 国土交通省公共測量作業規程によれば 1級基準点測量においては、既知点を電子基準点(付属標を除く。)のみとすることができる。ただし、既知点とする電子基準点は、作業地域に最も近い2点以上を使用する。 観測距離が10kmを超える場合は、節点を設けるか、1級GPS測量機により120分以上の観測を行うとなっている。 公共測量作業規程1級基準点測量に準じて1級図根点測量を行うこととした。 観測時間はそれぞれの1級図根点で上空視界の測定を行い、新点位置の障害物、GPS衛星の飛来情報等を考慮し、不測の事態に対応するため充分の時間を予定した。 1級基準点4点、2級基準点1点(図根多角点B2)として計画を行なっていたが、1級図根点は下位の図根点に対して影響を与える。最良の結果を得るために机上での計画、更には実際の観測でも試行錯誤を重ねた。 その結果、当初の計画を変更し、1級図根点は5点(図根三角点B2を1級図根点とした。)となった。 4.3.1 GPS衛星の配置1級図根点測量に使用した受信機の取扱説明書には、二周波の静止測量は良好な条件下で30km以下の基線長による基準点測量等に使用可能で、この条件下の基線長精度は±5o+1ppm×基線長を上回るとある。 今回の最長距離は15kmであり測量は可能であった。 衛星の軌道情報をもとに時間を決め、観測を行い、測量計算を行なった。計算途中で気になる点があったが、制限内でもあったことから順次計算を行い、最終結果を得て一度は終了していた。 その後、鷹子地区以外でも電子基準点を使用してGPS測量を行ったものの何回か失敗を経験した。 その主な原因は上空視界とGPS衛星の片寄った配置によるものであった。 現在では27個のGPS衛星が運行し、常時4個以上の衛星が上空にあって測量が可能になっている。このことで何時でも測量できると思い込み、注意深く衛星の配置について考えることが欠けていた。 これまで経験したGPS観測は長くても観測距離が1km程度であったが、電子基準点を使用すると距離が数十倍も長くなる場合がある。 短距離ではある程度の計画を立てれば、満足できる結果が得られていたが、電子基準点のみを利用するような長距離では長時間の観測になる。その際には片寄った衛星配置にならないように、特に低い高度の衛星は予測の出来ない思わぬ障害が発生することがある。 事故の防止とともに細心の注意で観測計画を行なう必要のあることを実感した。 この経験により、鷹子地区について良好な結果を得るための測量について再度考えた。 衛星の配置 観測の時間帯・電離層が安定している冬の深夜。 2周波受信機の使用により、電離層遅延の補正ができるが、より安定した状態での観測を心掛けた。
4.3.2 基線解析 基線解析とは、GPS衛星の電波信号から2点間の位置関係を求めることである。 初回の1級図根点の結果、電子基準点の既知点から既知点へ結合する点検計算の高さ成分について気になっていた。 電子基準点愛媛川内の状況を現地調査した結果、近くに新しい建物が建築され、上空の視界が少し遮られていた。 結果の改善:処理に関する考察として、解析ソフトの説明書にはこう書かれている。 WAVeによる整数値の解析を成功させるには、注意深くデータを編集することでより良い解を得られる場合もあります。データの編集は衛星の軌道の一部についてひとつまたは複数の観測を除去、または無視することです。これには下に示すとおり幾つかの方法があります。 @ 仰角マスクの角度を増加する A 処理の開始および終了時刻を変更する B 衛星による観測を使用できなくする 仰角マスクの角度を増加すると、低い高度にある衛星全体のデータが得られなくなるため、基線解析の処理の開始時刻と終了時刻を少しずつ変え、レシオとリファレンス バリアンスそして高さの結合結果を見ながら計算を行なうことにより、全体的に初回より良い結果を得ることが出来た。 基線ベクトルの結合計算 〔儷〕 (以下、単位:m)
新点位置の標準偏差〔最大値を記載〕
新点 1−1
今回の検証により、GPS測量の基本と電子基準点を使用した測量の難しさを改めて実感した。 4.4 3級図根点 1級図根点の配点密度を考慮して2級図根点を省略し、3級図根点を作成することにした。 この3級図根点は、現地に直結し、一筆地測量に直結する4級図根点の与点としても重要な意味を持ち、精度的にも利用上からも重大な影響を与える新図根点である。 現地に残存する図根多角点と4級図根点との比較検証に利用しやすいように考慮して約300m間隔に24点を短縮スタティック測量により設置することとした。 良好な結果を得るために、網の組み方、平均計算の方法についても試行錯誤を繰り返した。
鷹子地区全域に1、3級図根点を設置し、一筆地を測量するための4級図根点を設置する。 また、この4級図根点は鷹子17条地図作成当時の既設図根多角点と直接比較検証するための新図根点でもある。 本来は全域に設置して、比較検証を行えば理想的であるが、今回は予算、時間、人的にも不足していることから、地図作成を行うために難しいと言われている外周を重点的に比較検証することとした。 先に計画した4級図根点網図から鷹子地区の外周、そして従来の図根多角点網により異なる路線が並んで作成され、異なった路線の図根多角点をお互いに使用する可能性のある区域について抽出して100点前後の規模とした。 また、今回の検証については会員研修の意味合いもあることから、研修用にA、B、C、Dブロックの4つのブロックに分けて20点前後の図根点で構成されるブロックとした。 ここで17条地図作成時と今回の検証による相違をより明確にするために、既設の図根多角点を出来る限り4級図根点に利用し、同一の位置での観測値の差が明確になるようにした。 また亡失しているものや今回利用することが不適当と思われる既設図根点については、新たに図根点の設置を行い、新4級図根点から図根点として利用することができなかった既設図根多角点を改めて観測して、亡失しているもの以外の既設図根多角点の観測値を求めることとした。 正確に、効率よく4級図根点を作成することは、業務に直結する重要な研修課題でもあった。現地は住宅地でもあり登記業務でも高い精度を要求されていることから、国土交通省公共測量作業規程の4級基準点に準じてTSにより観測を行うこととした。
現在の光波測距儀等の器械精度を考慮して、 水平角観測については2対回。 倍角差30秒、観測差20秒の制限。 鉛直角については1対回観測、高度定数は30秒以内。 距離については2セットの斜距離の観測。 器械高、視準高は1.400mに統一。 研修の意味あいからデータコレクタは使用せず手簿づけを行う。 平均計算は厳密水平網計算・厳密高低網計算で行った。
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