引照点と準拠点・準拠点設置の必要性


 登記申請書に添付する地積測量図には、その土地の境界点と近傍の恒久的地物(引照点)
との位置関係を記載することになっているのは当然ご存知のハズですね。(不動産登記事務
取扱手続準則第98条)では何故こんなことが要求されているんでしょうか。

 登記官が現地で境界を確認する便宜のため?それもあるてしょう。

 では、調査士がその土地の所有者(普通は申請人)・利害関係人及び登記官に対して自己
の測量の正確さを保証する為の担保的手段として? 確かにそれもあるでしよう。

 しかし、最も重要な理由・目的は、将来における境界復元の手段として、これを利用しようと
することにあるのです。

 調査士会ではこれを地積測量図の「現地復元性」と呼んでいます(17条地図でいう現地復元
能力と同じ意味)

 準則98条は昭和52年改正時に設けられたものです。

 一般的には、この改正で地積測量図に現地復元能力をもたすべきことが明文化されたも
の、と理解されています。

 それでは、それ以前には地積測量図に現地復元能力は求められていなかったのかという
と、決してそうではなく、現行不動産登記法の制定当時の経緯から判断しても、当然これは求
められていたはずなのですが、どうも当時は単に測量図でさえあれば、形状・寸法等が正確に
読み取れるのだから、これで充分現地の復元もできる、と考えられていたのではないかとおも
われます。

 確かに、昭和30年代時点ではそれで良かったのかもしれませんが、高度経済成長時代に入
り「列島改造諭」なとどというかけ声のもと、土地取引の活発化、これに伴う土地の形質の激し
い変動が起こると、当然、それまでの地積測量図の持つ「現地復元性」では状況に対処しきれ
なくなったであろうことは容易に想像されるところです。

 また「土地神話」なとどいう言葉が象徴するように、土地の財産的価値は急速に高まり、国民
の土地への関心も異常に高まってきました。

 昭和52年の改正はそうした時代背景により、改正されるべくしてなされた、と看るペきでしょ
う。

ここで土地家屋調査士法のおさらい、といきましょうか。



 〈目的〉第1条 この法律は、土地家屋調査士の制度を定め、その業務の適性を図ることによ
り、不動産の表示に関する登記手続きの円滑な実施に資し、もって不動産に係る国民の権利
の明確化に寄与することを目的とする*****

 ここまできますと、賢明な諸氏のこと、何が言いたいのか、もうおわかりのこととおもいます。
そうです。

 地積測量図の「現地復元性」を高めることが、即「不動産に係る国民の権利の明確化に寄
与」することになるのです。

 ここでは、準則98条と土地家屋調査士法第1条の目的とがまことにみごとな調和を保ってい
ることがおわかりになるでしょう。

 ということは、地積測量図の「現地復元性」を高めることは、調査士法の制度の存在意義そ
のものと考えてもよいということになります(第1条のアンダーライン部分の「国民」を「依頼を受
けた申請人」に置き換えて読むと、より生々しく理解できるのでは‥‥)



(引照点)準則98条では「境界点と近傍の恒久的地物との距離、角度の位置関係」とあり、一
般的にはこの「恒久的地物」を引照点といい、この位置関係を地積測量図に記載した図を「点
の記」といっています。

 しかし、単に恒久的地物とはいっても、そうそう簡単に都合よく調査地の近傍にあるとは限ら
ず、かつ、鉄塔基礎の角、橋の欄干角等と言ってもその点の特定にはなはだ不安なものがあ
ります。

(土地の財産的価値が高まった時代に、これで復元できます、と果たして言えるかどうか)

 そこで、調査士会では、引照点の設定、特定が容易にできる方法として、恒久的構造物(道
路側溝肩等)に鋲(準拠点明示板鋲がもっとも望ましい)等を打設し、引照点をむしろ積極的に
“創設”する方向での解決を図ってきています。

 現在愛媛会の会員はほぼ100パーセントこの方法を利用していると思われます。

 もちろん、特定が容易である他の土地の境界標・国家三角点等も同様に利用できます。



(準拠点) このように、引照点の内でもその点の位置の特定が容易であり、且つトランシットを
使って復元測量する場合の機械点、あるいは視準点としての使用に耐えられるものを愛媛会
では「準拠点」と呼んでいます。

 (連合会では「登記基準点」と呼んでいるようです)現在愛媛会では「準拠点5点程度」設置を
努力目標としています。

 求積を座標法とし、かつ準拠点の座標を併記すれば、地積測量図の「現地復元性」は飛躍
的にに向上することは、疑いのないところでしょう。

 日常の業務処理に当たっては、社会における調査士制度の存在意義を常に意識した、積極
的な業務取り組みを期待します。



第 5 章
 
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