不動産登記法第17条地図の完成は、夢のまた夢か


定 岡 哲 嘉

 土地家屋調査士の大多数は、17条地図など完成しない。完成したとしても100年も先の事
だと考えているようだ。17条地図等出来ぬという先生方に理由を伺ってみると、「第1に法務
省に予算が無いじゃないか。第2に法務省(登記所)には地図作成に係わる技術者がいない
よ。」といったようなお話がかえってくる。果たしてそうなのだろうか。

 平成元年1月31日付け法務省民三178号法務局長、地方法務局長あて民事局長通知の
「地図整備の具体的推進方策」の策定の中で、高精度の地図を確保する方策としては登記業
務にコンピュータ・システムによって処理する方法が導入されつつある現状をみると、地図情
報を登記情報と一体としてコンピュータ・システムによる処理する事が最も合理的かつ効果的
方策であると述べている。

 その中では、全国の法務局に国家基準点に結び付けられた各筆界点を座標値によって表
示する地図(数値地図)を備え付け、その座標値をコンピュータで管理する体制を整えるには
技術上、予算上の制約から相当の年を要することが見込まれるといいながらも、法17条地図
作成に至る迄の方法・スケジュール等を具体的に述べているのである。



[1]地図作成の予算上の制約はあるのか?

 登記特別会計制度により登記手数料(登記印紙)を登記制度を支える為に自由に使えるよう
になった。ちなみに平成元年は、登記簿の謄本が1通400円であったが、現在は800円にな
っている。法17条地図作成に際して、必要に応じて登記手数料の値上げを行えば容易に予
算の確保ができると考える。

 (コンピュータ化されると、400円で数筆の土地、建物の閲覧する不心得者も、必要な土地の
筆数、建物の個数に応じて登記印紙を貼らなければならなくなる。)

 現在実施されている不動産登記簿のコンピュータ化には、年間1千億円の予算が組まれて
いると聞くが、コンピュータ化が完了した後その維持費を除くといくらの予算が余るのだろう
か。



[2]地図作成の技術上の制約を考えると悲観的な事ばかりか?

 GPS(グローバル・ポジショニング・システム)の採用により、従来の測量技術およびGPSにつ
いての知識をマスターした少数の技術者集団がいたならば基準点設置が比較的容易に行え
る状況になってきており、まだ国土調査の実施されていない地域や、実施されていたとしても
図根点の精度の悪い地域では法務局職員の手で基準点測量を行い基準点(2級・3級)の設置
を行えるようになる日がもうそこまで来ていると考えて良い。

 平成元年当時、定価2600万円したGPS(受信機2台、コンピュータ、解析ソフト)が、現在は
1000万円をきる価格になっている。[1]で述べた1000億円のうち100億円の予算をGPS
購入に当てれば1000セット購入出来る計算になるのである。そして後100億円を技術者の
養成に当てたならば、必要な要員は比較的容易に確保出来るものと思われる。

 以上、本省より「地図整備の具体的推進方策」として法17条地図作成に至る方針が示され、
[1]により予算の確保がなされ、[2]により技術上の問題をクリアーした上は法務省の決断一
つで、それ程遠くない時期に法17条地図作成作業が具体的に動きだすのではないだろうか。

 法17条地図作成作業が具体的に動きだす前段階として、私は、基準点の設置に注目

していたい。不動産の表示に関する登記事務取扱要領の第5条2項には、「登記所において
基準点を設置した地域においては、原則として、基準点を基礎に測量を行い、基準点座標値
若しくは基準点からの距離において位置を特定し求積するものとする。」とある。(「原則でし
ょ。」と言う声が聞こえるようである。賢明な先生方には申し上げるまでもないことですが、文中
の原則とは原則実施すると読むべきであり原則実施しないと読み替えるのは大きな誤りであり
ます。)

 基準点は、[2]でも述べましたが比較的容易に設置可能な時期に来ているのです。「登記所
の職員に基準点なんか(わかるはずが、設置出来るはずがない)。」などとは、言ってられない
時代なのです。このような状況下で、我々土地家屋調査士は、「測量は測量士にはかなわな
い。」とか、「調査士の測量は測量士のする測量とは違うんだ」などと言っていられるでしょう
か。相変わらずの半対回の測量を行っていて良いのでしょうか。トータルステーションは、平板
の代わりなのでしょうか。

 測量に限らず、我々土地家屋調査士は、日常業務について何か感じ考える時期に来ている
のではないでしょうか。

一昔前に行政改革で一度なくなりかけた資格であることも含めて・・・・・。




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