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皆さんには、”言った 言わない”で、どんな想い出がありますか。私の心に残っている「電話 での会話」をお話しすることから始めましょう。 ・・電話1・・ 市役所の人:これこれについて直して欲しいのですが、今すぐでなくてもいいですよ。 私:簡単なことだからすぐに行って直してもいいですが。 市役所の人:そうですか。まあ後でもいいですけどね。とにかく直してもらうということで、よろし く。 私:分かりました。じゃ、宜しくお願い致します。 市役所の人の心:すぐ補正に来るのだろう。このまま書類を置いておこう。 私の心の中:後でよいのなら、できて受取りに行く時に直すことにしよう。 数日後・・ 市役所の人の心:すぐに来ると言ったのに、なかなか来ないなあ。 私の心の中:おかしいなー。もう出来てもいい頃なのになあー。 人との会話では、言葉のキャッチボールで、次々と話が展開していきます。 余韻?を残した会話は、今の例のように、双方とも違う受け取り方をしてしまったりします。 ・・電話2・・ お客さま :3時頃、事務所にいらっしゃいますか。 私:はい、居るようにしましょう。 お客さま :もし、用事ができて都合が悪くなった時には、電話して下さい。 私:分かりました。私の方からお伺いしてもよろしいですが。 お客さま :いいですよ。 私:分かりました。 3時に電話が鳴る。・・ お客さま :電話もないので、待っているのですが、出掛けられましたか。 私:アレー!!★→↑?↓←○×□△・・・とにかく伺いましょう。 これは、今社会問題の「電話セールス」が、「いいですよ。」を了解と取るのに対し、市民が拒 絶の言葉と考えているのに似たケースでした。 ・・言葉・・ 今日いつものように、車を運転しながら原稿をテープレコーダーに録音をしてい て、どこまで話をしたかすぐ忘れてしまい、話がなかなかうまく続かなくて、ハタと気がついた。 文字を紙に書くのは、実は人と話をしているときのように、紙の上に書かれた文字と私とが対 話をしているのであった。 だからいつまでも話が続くのである。 また対話している時の話相手の反応から分かるのと同じように、文字からも自分の考えがま とまっていないことが見えてきます。 「あなたの言ったことは論旨が一貫してません。」とか、「言葉使いがおかしい。」とか文字が指 摘してくれているのです。 ・・テープ・・ 人との話をテープに取って後で文章化してみると、話のどの部分に関心を持って聞いていく かによって、結論が全く違うものになりうることに気がつきます。 人との重要な話には、「二人」ぐらいの人間が立ち会う必要があるとよく言われますがこのこ とを言うのでしょう。 また二人の人間の間で、「言った、言わない、聞いた、聞かない」のいわゆる水掛け論という やつがあります。話をテープに取って文章起こししてみるとこの間の事情が実によく分かりま す。 一例を挙げましょう。 講演を聞く時、自分の聞き易い速度と話し手の話すスピードが違う場合には、例えば遅い場 合には、その言葉と言葉の間に自らの言葉を差しはさんでいなかいと眠たくなってしまい、また 早すぎる場合には目立つ単語と単語をつないで、自分なりの文章を作っていかなければ嫌気 がさしてしまいます。 実は知らず知らずの内にこういう作業を我々はやっているのです。 講演はそれでいいのですが、重要な「打ち合わせ」や「話し合い」の場でもこれをやってしま い、人の言葉と言葉の間をこちらが「勝手」に自分の言葉で埋めたり、置き換えたりして、その 言葉を覚えているのです。 テープを後になって聞いてみると、自分が聞いてきた内容は誰も喋ってはいないなどというこ とがよくあります。 これからはカセットテープレコーダーを持って話し合いの場に臨みたい。そうすれば聞き返す ことが出来ます。3〜4回聞いている内に、自分の思いとは「別の考え」に基づいて相手が話し ているのに気付いたり、相手の言いたいことが分かってくるから不思議です。 立会の時、専門用語をまくし立てている自分にも気付かされます。 ・・幻聴・・ 映画館で同じ映画を2回続けて見たときに、「おかしいな。あのシーンがない。フィルムが違う のかな。」と思ったことがよくあった。 この同じ疑問が実はビデオテープを借りてきて、それを見直したときにも起こった。 さっき見たはずのシーンがない。テープは1本きりである。もう一度始めから終わりまで見直 してみても、ない。 そうこうしている内に登場人物の人となりや役割が頭に入ってくると、一つ一つの動作にいわ ゆる伏線があるのが見えてくる。 それらは見事に結びついて最後の場面を迎える。「見た」と思ったシーンは、映画の筋の分 からない部分を自分で勝手に補っていたことになるのです。 「希望や想像」が「幻想や幻聴」を生む。日々そうした幻想や幻聴のために人々は千差万別 の思いを持つようになるのではないでしょうか。 ・・話し合い・・ ある事柄について共通の「知識」と「問題意識」を持っている人達との話し合いであれば、何 が言いたいか分かっているために、後日文章起こしした話の内容を読んでも、自分の聞いてき たことに間違いがなく、話の内容がよく理解出来ていたことがわかります。 しかし、@資料に目を通し、A自分の考えをまとめ、B発言の準備をして話し合いの場に臨 まない人がいた場合には、その人の発言が話の筋を見えなくし、内容のない無駄な時間を過 ごしただけだった、と受け取られても仕方がない話し合いとなるでしょう。 こんなことを考えていると、民主主義とは大変な努力のいるものであるということや、「十分な 話し合いが行われて始めて実現されていく」と言われる理由にまで思い当たるのであった。
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