「相続関係説明図」について


                                         高 橋  宝

  はじめに 

 調査士にとって相続関係説明図(相続)は、少し縁遠いもののように思われて居るのだろう
か?

斯く云う私も、相続がらみの仕事は少し面倒臭いとついつい後回しになります。

(補助者任せ?反省・反省!)

今回は、新人にも十分わかってもらえる基本的なものをピックアップ例示します。

一緒に勉強しましょう。

「説明図とは」

相続関係説明図とは、相続人の関係を図示すものであることは、言葉の上から理解できるの
であるが、これは単純な図示にとどまらず、他の目的を含んでいる。

他の目的は、何かといえば、「相続を証する書面等の原本還付」のこと。

そして原本還付と言えば、その名の通り原本の写しを添付して原本の還付を受けることであり
ます。
 しかし、相続を証する書面である戸籍、除籍、原戸籍の謄抄本、遺産分割協議書(遺産分割
の審判書または調停調書の謄本を含む)、特別受益者の証明書、相続放棄申述受理証明書
等々、などなどの写し(全部をコピー)を申請人において作成することは相当に負担である。
 また、相続人の相続を証する書面が法定代理人の代理権限証書も兼ねている場合の戸籍
謄本、相続人の住所を証する書面なども大変な負担を強いることになる。よって、これらの写
しにかえて、便宜、「相続関係説明図」を提出する事で良いではないかと言う、簡単で誰にも判
らせ易い取り扱いになっている。

(S39.11.21民事甲3749回答・S40.8.3民事甲1956通達 S41.12.23民事甲3638回答)

「書き方」

作成の基本姿勢

  @図示としての一覧・明瞭性

  A登記された住所氏名との関連性

  B戸籍・相続証明書等相続証明書類との関連性

@については参考書等でよく見かける、いわゆる「家系図型」のものと、愛媛会が使って いる
「升目埋め型」の2種類がよく見かける。

 もちろん法的な拘束はないが、愛媛地方では、会が様式として頒布している「ますめ埋 型」
が多く使用されている。

Aについては、被相続人の登記簿上の記載との関係であり同一人であるかどうか、の判断 
が書類上求められている。

 書類上で、形式的・実質的な同一性が求められているのである。

Bについては、書類上での「相続人の確定」が求められている。

    別紙参照・・・



「相続の取り扱い」

{相続仕事の目的の違いにより集める書類の種類と量が変わります。}

1.相続人の一人からの申請 

@滅失、地目変更など報告登記 関係が判る戸籍住民票のみ

特に説明図はつけないで、写しの添付による原本還付可

2.共同相続人全員からの申請  

@分筆登記は、共同相続人全員による申請が比較的多い。

(戸籍・住民票関係のみで済ませる場合。)

3.特定相続人からの申請   相続関係が判る書類が全部要る。

@合筆・分筆登記で相続人が特定している場合は、特定相続人から申請する。(この場合も共
同相続人全員からの申請でもよい。)

特定相続人から申請する場合、相続分筆予定の地積測量図を作成して協議書を作ることが
ある。 

A表示登記など(所有権証明書の一部)

B相続登記

4.数次に分かれる登記

@相続登記(権利)の内、数次の相続において中間が単独相続となる場合は直接最終の相続
人名義(単独又は共有)に直接相続登記が出来るが、中間が共有の場合は直接相続登記が
出来ない。次元ごとの相続登記をします。相続保存は直接出来る。

この場合に、協議書の書き方に気を使う。



「よく使われる証明書」

・遺産分割協議書の事例(民法907条)

   別紙参照・・・

・特別受益証明書の事例(民法903条)

別紙参照・・・

・相続分譲渡証書の事例(民法905条)

   別紙参照・・・



「記載例」

・相続分筆の場合の申請書の書き方などで申請人に冠記する名称に迷うことがあります。
数次に亘る場合などは、

  (被相続人A)(右家督相続人B)(右相続人亡C)と縦書きし、連記すればよい。 代襲相続
人は、相続人と書いてよいと思う。

・同 地積測量図申請人欄の書き方も同じ

注意 資料は、「相続における戸籍の見方と登記手続き」から抜粋させていただきました。







「相続証明書の書き方」

@この説明図には、相続開始の旨、被相続人と相続人の表示及びその身分関係並びに相続
分、相続の形態(法定相続か分割相続か、放棄者又は特別受益者があるか等)、法定代理人
がある場合はその旨及び相続人の住所などを、相続証明書(戸・除籍謄抄本など)、法定代理
人の資格証明書、住所証明書(住民票写し)によって記載する。この説明図は、登記申請の際
に同証明書原本とともに提出する。各登記申請書ごとに添付する。

A〜C登記簿上の住所Cが、最後の本籍A又は最後の住所Bの表示と符合することによっ
て、被相続人の同一性が確認できる(戸籍、戸籍の附票又は住民票の写しによって照合す
る)。もし、Cの表示とA又はBの表示が符合しないときは、相続証明書の他に更正証明書と
して、登記簿上の表示が錯誤であることを証する書面(被相続人名義の所有権登記済み証、
当該相続人の上申書(印鑑証明書付)、被相続人が登記簿上の住所に不在籍及び不在住で
あることの証明書のいずれか)を添付します。なお、被相続人の登記簿上の氏名の一部又は
字体が相続証明書と相違して、同一性の認定に疑義があるときも、これらの錯誤を証する書
面の添付を要する場合がある。

 なお、Cの表示とA又はBの表示が符合しないときでも、それが、転籍又は住所移転あるい
は町名地番の変更などによる場合で、それが相続証明書、住所証明書によって明らかなとき
は、前記の更正証明書は不要であることは当然である。

D相続開始の日を示す。

E(被)は被相続人である事を示す。

F被相続人との続柄である。本例の長女、二女、長男は嫡出子であること及び子の数を明ら
かにしている。したがって、相続人たる者が死亡しているときも表示すべきである。離縁、離婚
となった者も同様である。

G超過特別受益者及び相続分譲渡人であることを示す。

H共同相続人中の超過特別受益者及び相続分譲渡人を除く他のもの全員の遺産分割協議
によって、長男が現 実の相続取得者となり、その他のものは分割協議に参加したことを示
す。

 (取得分を表示する場合もある。)

Iこの説明図は、相続証明書、法定代理人の資格証明書及び住所証明書の所要事項を転記
したものであるから、これを提出したときの各証明書原本は、当該登記が完了した際に還付さ
れる。この場合は、この欄に登記官が押印する。

 なお、本書における相続関係説明図の表示方は、昭和39年11月21日民事甲第3749通
達に示されたもの以上に詳記しているが、同通達は最小限のものを示していると理解し、相続
証明書の内容を出来るだけ表示することが、より適正な登記に役立つものとの考えによる。


 「遺産分割協議書」
遺産分割協議書

   最後の本籍・住所 八王子市美山町188番地

            被相続人(昭和58年6月10日死亡)

                富士   登

   本籍・住所  八王子市美山町188番地

           相続人  富 士 太 市(昭和33年5月5日生)

   本籍・住所  八王子市高倉町88番地9

           相続人  富 士 公 彦(昭和35年4月9日生)

以上の共同相続人間において、遺産の分割について協議をした結果、次のとおり決定した。

   富士太市が取得する財産

  1.八王子市美山町188番 宅地 324.50u

  2.同所同番地 家屋番号188番 店舗・居宅 鉄骨造 陸屋根 平家建 

                  200.00u

   本決定を確認するため、次に各自署名押印する。

       平成7年10月30日

                   富 士 太 一  印

                   富 士 公 彦 印

登記取り扱いは特別受益者を、除いた相続人の協議でよい。
原則は、共同相続人全員参加
署名者毎の分冊形式でもよい。


「相続分不存在証明書」
相続分がないことの証明書

   最後の本籍八王子市美山町188番地

   最後の住所 八王子市美山町188番地

               被相続人  (昭和58年6月10日死亡)

                     富士   登

   本   籍  新居浜市庄内町1丁目100番地

   住   所  渋谷区千駄ヶ谷1丁目5番7号

    相 続 人   西 山 千 代(昭和28年5月10日生)



  上記相続人は、被相続人からすでに相続分以上の贈与を受けているので、被相続人の
死亡により開始した相続については、受けるべき相続分の存しないことを証明します。

     平成7年10月30日

                  相続人     西 山 千 代 印
  未成年者の場合は、親権者の署名捺印。
   利益相反する場合も特別代理人の選任不要。


「相続分譲渡証書」
相続分譲渡証書

   最後の本籍 八王子市美山町188番地

   最後の住所 八王子市美山町188番地

               被相続人  (昭和58年6月10日死亡)

                     富士   登

   本   籍  新居浜市高津町1009番地2

   住   所   新居浜市一宮町1丁目2番3号

               相続人  高 橋 宝次郎
                    (昭和37年12月9日生)

   私は、上記被相続人の相続開始による相続分の全部をあなたに譲渡いたします。

     平成7年10月30日

     住 所 新居浜市一宮町1丁目2番3号

       譲渡人           高 橋 宝次郎   印

     住 所   八王子市美山町188番地

     譲受人     富 士  太 市   殿




新人入門編
     
前のページ  次のページ


トップへ
トップへ
戻る
戻る