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新居浜の宝です。
国土調査実施地域の仕事を頼まれた。境界の復元等の問題もあり、公図地区が主体の小 生としては、少し(大分)不安があるので考えた末、なべ氏の協力を仰ぐ事にした。早速電話し、 なべ氏の快諾を得る。 依頼人とは現地で10月8日9時に立会測量の予定を告げる。 国土調査地区であれば図根点座標・公図、隣接地の土地所有者、法17条地図など資料調 査を行わなければならない。 放っておけば、なべ氏の事、全部段取りを進めて、「終わったよ。」といって成果を持って来て くれるだろうが、協力をお願いした手前小生も何か形程度は手伝わなくてはならない、電話で。 「何か、手伝う事ないん。現地の事前測量でもしておこうか。」 「いいや。かまんよ。こっちでやるけん。」 「それじゃあ。悪るいけん。何かさして。」 「そんなら、市役所に行って、国土調査の図根多角点の成果を閲覧してくれます。やり方解り ますか。」 どうもなべ氏、はなから小生をあてにしていない。仕方なくこちらに仕事を振ってくれたよう だが、小生だって、土地家屋調査士暦、ウン十年の年数ばっかり経過した、苔むした土地家 屋調査士だ、だてに苔むしていない。いやかびが生えたのかなと思いながら。 「ああっ。大丈夫解る。解る。まかしといて。」 なべ氏にああ言った手前、早速取り掛かる事にした。 西条市役所に行き、法17条地図上の図根点の位置と、その座標値を写して来る事にした。 用意するもの、筆記用具、物差し、B4サイズのトレースフイルム等。 「よし、忘れ物は無いな。」 事務所から車で約20分の西条市役所に到着。 国土調査の成果を管理している固定資産税課に行き、勢いこんで担当者に 「国土調査の図根点の網図と成果簿見せて下さい。」 「・・・」 「こちらでどうぞ。」 奥の会議用テーブルに案内され、担当者が紙の筒に入った、何重にも巻かれてある数枚の フィルム図面の中から、比較的小さ目の図面を撰んで出して来た。 「ここが西条港通りですから、この辺です。」 説明が終わり、疫病神から逃げようと、さっと向こうへゆこうとするのを。 「これコピーして貰えないんですか。」 と、小さな抵抗。 「規定が無いので皆さんには、手で写してもらいよんですよ、すみません。」 最後のすみませんの一言が効いて「シャあない、写すか。」 日常の事なのに、地元調査士はどんな対応をしてもろとんやろか、ついでに 「地元の土地家屋調査士さんは良くこらるんですか。」 と意地悪な質問もしたくなった。だが誰かと違って小生は性格の良い土地家屋調査士であ る、ぐっとその言葉を飲み込んだ。 目の前に広げられた図面には○にたて1の記号が線でつながれ、それには多角点網図と 書いてある。 その横には図根多角点成果簿の綴りが一冊置かれている。 それから、5時の就業のベルが鳴るまで、必死の形相で筆記した。 200点くらいは十分写していると思ったが、翌日数えると70点程度、人間の能力の限界を 知る結果となり、ガックリ。 事務所で、写してきた座標を、パソコンに入力。 「うーん、こんなに、時間をかけて写さないかんのやったら図根点の入力番号にルールを付 け一覧表にしとけば、西条の全域がカバーできるものが簡単に出来るし、他の調査士とも協力 体制が取れる、これはええ方法に違いない。」 我ながらいい考えが浮かんだと、一人うきうきしながら、入力の仕方を考える。 路線名の記されているアルフアベットはI、O、X、Y、Zの5文字は使用しないから21文字や から縦に、行を取り。路線も次数毎に分けて番号を変えているから横に1次.2次.3次と順次 列を引く。 そうして出来た桝目に1次は1000から2000、2000から3000、・・2次は20000から 21000などと順番に記入したもの。 全体が、90000迄に収まるように数字を割り振った。 「これでよし、取りあえず写したものを入力してみるか。」 1次路線の1000台OK。 2時路線の20000から30000台OK。 ・・・・ だが、次の3次路線の予定番号の4万台がどうしても入らない。 事務のS君をつかまえて、 「お〜い、この器械4万台の測点番号での座標を入力出来んけど、どないしたんやろか。」 「その器械は、1万点までの入力保証です。それ以上は入力できても保証は出来ないと最初に 言われてます。」 「・・・・」 あきらめきれず、なべ氏に電話。 なべ氏、「家の器械も1万点までしか入らんよ。」 小生、「路線で分けて、入力しょんだろ。もう一度番号の付け方教えて」 なべ氏、「何をしようとしょんかいね、西条は図根点が亡失したとこ多いけん、あんまり無駄な 事せんほうがええんとちがう。」 小生、「・・・・」 なべ氏、「ほんと、何しょん・・?」 小生、「・・・・」 「今日は一日何しとったんじゃろか。」 気を取り直して、一応、写してきた座標で図郭線の入れた図面を創る事にした。 平成8年10月8日9時依頼人との立会により、境界標埋設が始まる。 南の官民界確定箇所で曲がり点有り、観測もれのないように要注意の事。 西の境界は、鉛筆のマークをトランシットにて延長、水路肩より10cmに境界標識設置。 東の境界線は、トランシットを境界線の基準となる境界点の脇に据えて、北の基準境界にこ の幅を取り、各境界構造物からの幅をチエックする。元の境界コンクリート畦の上に擁壁など を築いており平均2〜3cmのずれあり、南の端は8cm申請地側に入り込んでいるが、一応本 人が了解済みの為そのまま決定。 北から擁壁の壁面西角に界標、中間擁壁に会鋲、南端は会所の角見通しと水路肩から 10cmに『境界点』の刻印入りの土地家屋調査士会の明示板をつけたステンレス鋲を設置。 そして肝心な測量の基準となる基準点を決める事になる。 近くに、三等三角点『秋吉』が使いやすい道路上に有る。 昔、なべ氏が測量会社に勤務していた時代に、これを出発点として別の場所に基準点を設 置した時に、たまたま、この現場が見える場所でもある西条漁港事務所の上の場所を節点と して使用し、しかもそこには砲金を設置し、今も残っているはずとの事でなべ氏に同行した。 事務所に立ち寄り、居合わせた職員の方に、 「屋上の基準点を使用したいんですが、屋上にあがらせてもらえませんか。」というと、結構利 用者が多いのか、何事も聞かずに、屋上に上がるための鍵をすぐに出してくれた。 「節点をそんなに使う人がいるのかなあ」と不思議に重いながら、なべ氏の後からついて錆び た鉄の階段を昇り、屋上に出る。 「あるある・・あったぜ」嬉しそうななべ氏を横に、砲金を覗き込むと、西条市基準点NO1と刻ん である。 なべ氏曰く、「西条市の砲金を節点として利用させてもろたんよ。!」 ガッテン・ガッテン! 西条市が、3級基準点として利用している同じ砲金を、なべ氏は個人的に節点として測量した データを持っているのであるが、節点は作業規程によると基準点として利用できないのである が、調査士が独自に使う基準点としては、西条市の3級基準点データよりはるかに精度がよい と見ているのであろう。哀れなのは3級基準点と言うべきかも知れない。折角設置されていな がら、なべ氏、全くその成果を信用していない。 西条市様、新しい基準点の設置をお願いします。 その際には、基準点測量を調査士協会に発注して下さい。 精度の高い基準点が、他より安く迅速に出来ます。 協会(089-943-6769)に電話下さい。 すぐに参上し、ご説明申し上げます。 三角点まで歩いて確認し、トラバース新点の見通し確認、選点作業、7点完了した。 昼、辛さで有名なラーメン屋で昼食、丁目が増える毎に辛さが増えるのだという、「地獄ラーメ ン1丁目」を試食、滝ちゃんであれば5丁目イケルかな。彼、唐辛子がラーメンのつゆの上にび っしり乗っていても平気だから、いやにぶいからと酒の肴にしながらビールも少々。 小生、調子に乗って今日は、午前中で終了とばかり思って、もう少しビールを追加して飲んで いたら、「ちょっと、汗かいてもらおか、図根点を探します。」 先日、小生が写して、図郭線の入った図根多角網図と登記所の地図のコピーを見比べて、 「現地の近所にある図根多角点は、これじゃ、この点よ。」と網図の図根点を指して言う。 仕方なく、これ以上のビールの誘惑を振り切って現地の図根多角点の場所へと向かう。 国土調査の図面から、三角スケールで図根多角点の位置までの距離を読み取る。 「対面水路肩から4m・西の境界線上の交点より東へ何メートル、そこで対面水路から何m、こ こを掘ってみよわい。」 とスコップで20センチ程の深さに50cm四方を掘るも見つからない。 今度は東の境界からも同じ様な手順で測る全く同じ場所になった。 「おかしいな、無い。」 と思いながら、本当にあるんじゃろうかとぶつくさ言いながら、更に深く掘るってみると、復元し た位置と1cmも違わないとこから8センチ角のコンクリ柱の頭が見えた、 なべ氏「それじゃね。」 薄っすらとペンキの点がある。 「当時は鋲なんか無いけん、小さい三角溝があるやろ。・・それから表面が少し傾斜しているけ ん、少し傾いとるかも知れんけど。作製した基準点からの座標や境界の参考にするには十分 じゃわい。」 「ついでに、もう1本探そか、今度は図根多角点間の距離もあるし、座標から距離計算して器 械で測ろや。」 なべ氏、いつものように魔法のポケットから電卓を取り出し、座標値から2点間の距離を計 算。そのすばやい事。小生は事務所のパソコンが無ければ、なにもせん人よと、口をあけて計 算結果をまつ。 先程、探し出した図根多角点の上になべ氏が光波測距儀をすえ観測、小生はピンポールプ リズムを持ち、大体の位置で距離を測る。 「70.08メートルじゃけん、そこから2cmバックのとこよ。」 ポールを差したままで周りを掘る。 「スカットした感触、えらいやおいねえ。」 「これは無いわい、真下に田落とし水用のVUが埋められとる、やおいはずよ」 残念、一勝一敗です。 「一本でも有りゃあ参考になるじゃろう」 ・・・・ 「なんか、今日は、昼の地獄ラーメンと少々のビールがよおきいとるけん今日はもう止めて次 に一度にはかろや。」・・
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