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●話 題 先日、測量の知識もままならない私が、基本三角点間を結ぶ多角測量をやった事で、自慢 げに調査士仲間と話していた時の事。 古い国土調査の地区では国土地理院が作った四等三角点同士をつなぐと精度は良いけれ ど、町が国土調査を行うために作った図根三角点同士だと非常に精度が悪いんだ、と知った かぶりをして話しをすすめていた。 話題にしているのは四等三角点同士の多角測量である。分筆の依頼があり、近隣の図根三 角点を探したのだが、周囲2キロのすべての図根三角点はものの見事に亡失。 あるものは横倒しとなり、またあるものは石積みのなかにしっかりと土台として使用されてい た。仕方なく、四等三角点の権現と小早津を結ぶということにした。 ![]() ![]() ●鮮 明 最初にこの単路線を組み、事務所に帰り計算をしたところ、閉合誤差については角度につい ては4分、距離にして20メートル程の誤差があった、標高400メートルの山頂にある三角点ま で、急勾配の山道を2月だというのに汗をかきかき機械をかついで観測、もう二度と登りたくな いと思ったが、こんなに違っていては仕方がない。山頂の四等三角点権現からは他の三角点 の視通がきかず、後視として見えそうな図根三角点G1にポールをたてて、一生懸命その図根 三角点G1が見える場所を探し、何とか雑木の間を通し、わずかに見えたので、その場所で偏 心して観測した。距離的には計算上1.6キロあり望遠鏡で見ると太陽光線の関係で白く光り、 紅白の彩りもあまり鮮明ではなかった。 ●再 測 近くに似たような木もあり、ひょっとして他のものを視準したのではという思いが頭をよぎる。 勿論、三角点の成果が誤っているなどという指摘をする自信は全く無い。 当然、再度汗をかきかき観測を行う事となった。山の中の観測点については2対回観測をし ているし、観測差や倍角差は全部30秒の制限内に入っており、間違っていないはずである。 折角、山頂にまで登ったのだから、山から降りてくるついでに万が一を考えて山の中の観測 点を再測してみた。 何と山頂から平地におろすまでの観測点全部がすべて1分程度相違している。「これはいか ん、何故だろうか。機械が悪いんだろうか」。自分の腕の悪さを棚にあげ、責任を他に転化しよ うとしたが、原因は自分自身しかない。 はたと思いあたることがある。観測点が多かったため観測は2日にわたっており観測角が大 きく相違したのは、山から平地までである。観測した日は確か前日お酒を飲みすぎて、少しお 酒の残った状態で観測した事を思い出す。 これは真面目に仕事をしなければと反省。再測して出て来た結果の閉合誤差が13センチ程 であった。 ●路 線 長 更に、再測の途中で、観測点の近くに図根三角点F1がある事が判り、探してみると、山頂の 四等三角点権現から少し下って、距離的には100メートルも離れていない地点に図根三角点 F1があった。少し雑木の枝の伐採をすると、そこから後視点として使用しポールをたてた図根 三角点G1が見えたので、念のため観測を追加しておいた。丁度四等三角点同士の間の3分 の2くらいの位置にもう1つの図根三角点P1がある。 その結果、四等三角点同士の内側にある図根三角点G1とP1ををつなぐと90センチ程の位 置誤差がある。しかし、その外側の基本三角同士をつなぐと13センチ程の位置誤差なんだ よ。たまたまこの図根三角点同士は基本三角点を結ぶ路線の中に含まれているので、路線を 共有するかたちで4点程点数を増やすだけで観測出来た。図根三角点同士の路線長は2キロ 程度である。 四等三角点同士を結んだ路線長は3キロ程度になる。 ●参 考 あまり良い多角測量ではないだろうけど、周囲に三角点が無いので仕方ないんだよ。と自己 防衛をしたものの、測量に詳しいW氏 「近すぎる四等三角点と図根三角点の場合、恐らく国土調査では四等三角点からは見てい ないから、山頂の四等三角点は使用していないと思いますよ。それで四等同士の角度の閉合 誤差はどの程度でした。」 「65秒だったよ」、 「あっ、それ、どこか違っています。」 あっさり、断言されてしまった。 「3キロで65秒ちがったら、もっと誤差があるはずです、それ、どこかが違って、そういう結果 になったんですよ。」 「あれ、自信なくしたなぁ、それでは、どこが悪いかDx、Dyの誤差をみてある程度、距離か、角 度の相違がわかるんじゃないの」。 「いやぁ〜。それは1箇所が極端に違っていればわかるという事ですから、参考になりません よ。」 ●再 再 測 少々弱気になった私が「じゃあ、どうして、チェックしたらいいの」。 「下手に考えるより、再測です、これが一番早いし、確実です。多分、海岸沿いの路線が危な いんじゃないですか。」 無常。「地形的に辺長が均等にならず、極端に短い場合と長い場合は間に偏心点や観測点 をいれて、なるべく均等にしたほうがいいですよ。おまけに、路線の組みかたも悪い。ピンポー ルを使用されたと言うけれど、いくら水準器を二つ付けて観測したといっても一番下が見えてい ないのなら、角度は狂っていると思いますよ」。 きつーいお言葉。 ショック。今度は真面目にやったのに。もう一回再測をしなければならないのか。あの急勾配 の山道が目に浮かぶ。 ●「行こか」 測量の精度について、ただ単純に閉合誤差の角度と距離だけをみて、それが公差にさえ入 っていれば良いと信じていた者にとっては、測量の基本的な考え方が分かっていない事が良く 分かった。 ここで引き下がっては落ちこぼれ調査士の名がすたる。「Wさん、今度、現地で教えてや。飲 ますけん」。厚顔無知にもお願い(脅迫?)したところ、W氏「行こか」。40前後の大の大人の 会話とも思えぬこの軽さ。ついでに、枯れ木も山の賑わいとその場に居合わせた3人に声をか けたところ、声を揃えて「行こか。」酒の力か、愛媛会の軽さか、はたまた、私が恐いのか、皆、 断りきれずに現地集合となった。 ●現場到着 6月下旬の梅雨の合間の観測となりお天気が心配されたが当日は梅雨とも思えぬ快晴。う だるような暑さ、汗をかきながらの観測となった。 とりあえず、後視点の図根三角点G1にミラーを設置する事になり、林道に車を止め、県の設 置したコンクリートの水槽まで約200メートル、更に50メートル程の山道を降りていく、梅雨時 の植物の成長の早い事、一行は自分達よりも背の高くなった、草を払いのけたり、くぐったりし ながら図根三角点G1を目指して進んだ。途中、機械点からの観測の目印に一本だけ残った 松がある事を教えながら、手足に擦り傷が出来、はぜに負けてかゆくなった頃、やっと現場に 到着。 一行は私を恨めしげに見ている。ここは知らぬ顔を決め込むのが一番。私だってしんどいわ い。しかし、一息つけば、皆現役の調査士、すぐに気を取り直し、どちらの方向が機械点なの か見渡しはじめる。 ●伐 採 「あの山の方向だから、こっちの枝を少し伐採しておきますか。この方向でいいですか。」W 氏、鎌を片手にやる気満々である。その身軽な事、スルスルと木に登り、機械点の方向、四等 三角点権現を探している。私が方向を教えていないにもかかわらず、「あの小高い山の頂上で すか」。どうも下調べをばっちりしている模様である。 先日周囲の地形図を送ってくれと言われ、配点図と1万分の1の地形図を送った事を思い出 した。地形を承知している私が「こっちの方向かな。」雑木の間から身を乗り出して方向を指示 していると、「いゃ〜っ。この方向ですよ。5度程ちがいますよ。」あれ、格好悪い。 「2月に観測したときは、8メートルのポールをたてて観測したけれど、良く見えたので、恐らく 3メートルのポールでも見えるよ。」と言って3メートルポールをたてたが、それでも雑木の間か らは頭が出ない。たまたまこの場所は以前、役場の仕事を行った際に伐採の許可を得てお り、全く手入れがされていない状態であるので、全員が手に鎌を持ち伐採する事になった。 しかし、どうも都会育ちの調査士は腰の構えが決まらない。へっぴり腰で鎌を使うものだか ら、切れるものも切れなくなり、刃こぼればっかりしてなかなか伐採出来ない。 W氏ついに見かねて「私が切りましょうわい。もっとええ鎌買わんといけませんよ。」スパッと 気持ち良く切っていく。「ああ、あの上の枝がかかっていますね」スルスルと登って、もう枝を切 り落としている。あの人、猿と違うのとやっかみ半分で感心する。 ●水 平 兎に角、何とか伐採を終了し、肉眼でも機械点の権現のある山頂が見えてきた。まあ、なん と日当たりが良くなった事。いよいよ、図根三角点のG1にポールをたてる事になり、ワイワイ ガヤガヤとやっていると、いきなり「おかしい。気がつきませんか。」私には何のことやらわから ない。 図根三角点は苔むしているが移動した気配は無い。「解りませんか。」図根三角点は山の中 腹の傾斜地にあるが、これといって変わった点はない、せいぜい、もっと平坦な場所に設置し て欲しいといった要望をしたい程度の事しか頭に浮かばない。 首をひねっていると、W氏、図根三角点の上にT字型の水準器を乗せると、気泡が山の方に 移動した。海の方向に少し傾いている。「ああ、なるほど、しかし、この程度の事はよくある事じ ゃないの」。「いぇ、三角点は必ず水平にきちっといれますから、やっぱり設置後に海の方向に 傾いてますよ。標石の長さと傾きを考えたら、観測時より何センチか移動しているはずです ね。」 ●迷 い 今回はG1は後視点である事から取り敢えずそのまま使用する事となり。3メートルポールに プリズムを取り付け、山頂にある四等三角点権現に向かった。途中までは舗装した道路があ るが、後300メートル程は急勾配の遊歩道がついている。トランシット、三脚、プリズムと荷物 を担ぎ、あえぎながらやっと四等三角点の権現の手前の図根三角点F1に到着。 図根三角点F1からは、以前私が測量した時はG1を見る事が出来たので、多少、雑木の伐 採も行っていた。F1の後ろに座りながら双眼鏡でG1に立てたポールを探すと、それらしき物 が見えた。以前、観測した時は、ちよっと邪魔になる少し大き目の雑木があり、切るかどうか迷 ったが、人夫さんに押して貰って観測した事を思い出した。今度も邪魔になる。「これは当たっ ていますよ」。W氏即座に「切りましょ」。さつさと切ってしまった。 「よし、良くみえるぞ、さぁ上にあがりましょう」。後100メートル、ほとんど直線の急勾配の遊 歩道を再度機械を背負って登つて行く。 ●偏 心 点 山頂の四等三角点権現は頂上の神社の後ろ4メートル程度の位置にあり、小さな神社では あるが、威厳のある雰囲気の神社である。しかし、周囲は手入れはされておらず雑木が生い 茂っている状態であった。当然、他の山など見える訳がなく、三角点などは全く見通しが効くは ずもない。 しかしながら、先程登ってきた、遊歩道に降りていくと、少しだけ枝の間から肉眼でG1の近所 の林道の白いガードレールと水槽が見える場所がある。以前はそこを偏心点として観測してい た。しかし、いくら探しても偏心点に打ち込んだ鋲が解らない。 仕方なく、偏心点を新しく作ろうということになり、双眼鏡を片手に図根三角点G1が見える位 置を探すと、やっぱり最初に偏心点を探していた位置だけであった。やっぱりここしかないと手 で丁寧に地面をこすって探していくと10センチ程横の位置で鋲が出てきた。 だが、2月の観測に比べて新芽が出てみえにくくなっている。駄目かもしれないと思っている と、W氏、10メートル程の木の上に登り、「この木ですか」。ゆっさゆっさと枝を足でゆすってい るではないか。「それだ、それだ」と返事をすると、ものの見事に切り落とす。「ついでに、今登 っている木も邪魔になるよ」W氏「えーっ、この木もですか。落ちるかもしれんなぁ」と言いなが ら、自分の登っている木さえも切ってしまった。おかげでG1の横の水槽と松がくっきりと肉眼で も見える程になった。 「ちょっとでも邪魔になるのなら、伐採するのが一番です。」迷いなど全く無い。 ●プロフェッショナル さて、観測、と偏心点に三脚を据えはじめる。先ずは足場の固定と、山の木の根っこ等、据 え付けに邪魔なものについて、手際良く鎌で切断し、石などは除去してしまった。その獅子奮 迅の働き振りには感心するのみである。 更に、三脚の石突をよく踏み込んで脚頭の部分に水準器をあて、水平を保ちながら三脚を 設置していく。我々の三脚の据え方とは根本的に相違するものがある。 たまたま山頂とあって、前視点、後視点については、ピンポールプリズムを使用する事とした ので、ピンポールを水準器を使用して設置していると、W氏、「ちょつと、待って」と、三脚と光波 測距儀を持ってピンポール設置位置まで走って来る。何事かと見ていると。鋲の上に機械を設 置し始めた。 えっ、観測の順番が違ったのかな、と思っていると、機械の下にピンポールを設置し始めた。 こりゃ遊んでいるな。「何しとるん」。と尋ねると、「山の中に入ったら、もう一度測量にくるのは 嫌でしょう。ピンポールの場合、いくら水準器を使用しても、まっすぐにたっていないんですよ。 だから、光波測距儀の求心望遠鏡を利用するんです」。まず、設置場所の鋲を求心望遠鏡で 視準した後に、頭の金具をはずしたピンポールを鋲の上に立てて、ピンポールの中心と機械 の求心を同じにすれば、ピンポールはまっすぐ立つているという。 まさに生活の知恵。更に円形気泡管を全くあてにしていない。そういえば、W氏、G1の位置 で3メートルポールを立てた時も、円形気泡管は参考にしたものの、横で垂球を垂らして、確認 していた。便利な道具に任せっきりなのは良いが、使用出来る範囲を良く知っておく必要があ るという事だろう。 さあ、観測だ、いろいろと思わぬ時間がかかったせいで、もう時間は17時をすぎている。後 視点のG1のポールは見えるだろうか、ガスもかかってきて観測の条件も悪くなってきている。 偏心点から図根三角点G1を視準するが、なかなか見えない。目印の水槽と松の木は良く見え るのだが、残念ポールは見えない。どんどん時間は経過する。しかし、見えない、19時、ヤブ 蚊に血を吸れながらまだ頑張る。山の上にあがったら、何とか出来る事は全部やっておく、や り残しのないようにして、後に悔いを残さない。見上げた信念である。 ●沈 黙 しかし、19時30分、ついに、断念、明日再度頑張る事とする。本日の反省から、G1の図根 三角点には目印として、8メートルポールを後ろにたてる事とした。 遅い夕食をほおばりながらの生ビールはおいしかったが、翌日の観測に差し支えの無い程 度に飲んだつもり? 翌日も晴天に恵まれ、早朝より観測を行う。本日はG1と権現の偏心点に別れてそれぞれの 持ち場での仕事となった。 観測の役に立たぬ私は図根三角点G1で8メートルポールを立てる役まわりとなり、お互いト ランシーバーで連絡を取り合い観測する事となったが、なかなか確認出来ないようである。そ のうち「8メートルポールにタオルを巻いて振ってくれ」の指示があり、5分程度、ポールを振る とやっと「確認出来ました。3メートルポールはどちら側にありますか。」と応答があり。「右側1 メートルの地点です。」「解りました。」再度5分後、「ミラーはどの位置ですか、後ろでタオルを 振ってください。」タオルを振る。「解りました。ミラーの後ろでタオルを横にして広げてくださ い。」 タオルを横に広げて待つ事10分、光波測距儀は私のものを使用していたため、トランシーバ ーから「この機械の気象補正はどうすれば良いのですか」。「えっ」、自分の機械でありながら 私は使った事が無い、最近の機械はボタン一つでいろいろな機能を使用出来るが、反面、誤 ったボタンを押すと復元に時間をとられるため、私は必要最小限のボタンしか使用した事がな い。「ごめん、使った事が無いので解りません。」トランシーバーの向こうでしばらく沈黙が続く、 気まずい沈黙の後「解りました。」 ●待 つ そして10分の後、「観測終了、今度は別の位置から観測しますので待っていて下さい。」30 分後、再度、同一の手順を繰り返す。そのうち「現在、気象状態が悪いのでしばらく待っていて 下さい。」どうも、かげろうのせいで観測困難になったらしい。 図根三角点G1の位置でじっと待つのもつらいもの、二人で待機していたのだが、する事も無 くなり、お互い喋る種も無くなってきた。「観測終了しました。遊歩道の入り口まで来て下さい。」 やっと、この場所から解放される。雑木やはぜの木をかき分けながら林道まで登り、W氏の待 つ観測点へと向かう。時計をみると12時をすぎていた。 とにかく暑い、足場の悪いG1でじっと待っていたため疲れきってしまい、待ち合わせ場所か ら急勾配の遊歩道を登る気にはなれず、ひたすらW氏達がおりてくるのを待つていた。なかな か降りてくる気配がないので仕方なく、食糧の買い出しに出かける。一番近くのお店で買い出 しをして、戻ってくるとやっとW氏が降りてきた。 ●手 抜 き 時間も無くなり、全点を再度観測する訳にもいかず、、730メートルの最長距離を観測してい る地点を観測して他は以前のデータを使用して計算することとし、後は路線の組み方を考察し てもらう事とした。 W氏と話ながら感じる事。私としては、間に3点ほど観測点を作りたかったのだが地形の関 係でこうなってしまった。ペーパー測量士補の私はあまり知識も無く、ただ単純に三角点から の路線を組めばよい、そしてそれは私にとって現場に直結しなければならないのである。市街 地についてはその全筆が測量の対象であり、少なくても100メートル以内に自分の多角点が 欲しいと考え、三角点を使用して路線を組む場合、いきなり50メートルピッチで多角点を作る 事ばかり考えており、なにか500メートルや200メートル間隔で多角点を作る事を手抜きのよ うに考えていた。 ●解った気 確かに大枠から測量していくことは頭では理解できているのだが、つい抵抗があり、すぐに現 場に直結したいと、測量の基本に反する事ばっかり行なっていた。大枠の2級、3級程度の基 準点を作成し、その基準点を使用して、近傍の現場へ4級程度の基準点を50メートル間隔で 配置したほうが利にかなっている。しかし、なんとなく、わかったつもりになっても、新しく現場に 入った時は、ついついいきなり50メートル間隔で路線を組む事を考えてしまう。 W氏いわく、かえって山なんかから路線を組むとき山の部分については、ほとんど路線を必 要としないのだから、500メートル間隔くらいで飛ばしてやって、市街地はその500メートルの 中を結合して50メートル間隔に路線を組んだほうが楽でしょう。もし、後視点で山の三角点を 使用していたなら、再度山に登らなくてもいいように、次の2次路線の事を考えて同時に観測し ておけば良いんです。なるほど、なるほど、キツネに化かされたようだが、解ったような気がす る。 ●イ ロ ハ 一応、現地については観測を終了し、後は、私が路線を組んだ地形を車で説明したのだが、 飲酒運転になってもよい、喉が乾いたと缶ビールをむさぼる様に飲んでいる4人とは別にW氏 只一人、「きちんと路線を組もうと思ったら、あと2つの四等三角点を実際に観ないと責任がも てません、あの山の上でしょう。登りましょうや」これはたまらない。「Wさん喉が乾いたろう、も っとビールをお飲みなさいや。」折角のWさんの熱心な申出を、これ以上の山登りはごめんと、 率先してビールをすすめてしまった。しかし、これは、他の3人の事を考えての事であります。 やる気の無い調査士にあきれたのか、W氏「じやぁ、今度来たときに登りましょう。」やっと、 私の事務所にたどり着けた。時は16時を過ぎようとしていた。早速計算にとりかかる。気象補 正をしていなかったので、どれほど差が出るのかとみていると、730メートルの距離で2センチ の補正値が出てきた。 「これはいかん」単純にボタン操作一つで補正出来る値である。今度機械の取り扱い説明書 を探し出して機械の操作方法を覚えなくては、基準点測量のイロハはではなく、機械操作のイ ロハすら解っていない。反省。 ●もう一度 後日、W氏から、計算結果が送られて来た。きちんと補正をして計算をおこなってくれてい る。観測していない部分については、前のデータをそのまま使用しての計算であったが、いろ いろ組み合わせて計算してくれている。それによると、やはり、前に比べて良い精度になってい た。お礼の電話をしたところ、「図根三角点のF1の標高が70センチ程おかしいですよ。それ に、たまたま精度が良くなっただけですから、本当の事はわかりませんよ」。「あれっ、そんなも のなの、どうすればいいのかな」「あの場所だったら、研修もかねて、結合多角方式の多角網 を組むのにいい場所じゃないですか」。「理想的な形なの」。「いえ、かなり厳しい場所です、で も実際にはこのような場所に基準点を作成しないといけないし、こういう厳しい条件の場所で研 修をしておくと、今度自分が実際にやる時、非常に楽に思えるでしょう」。なるほどそんなもの か。「じゃあ、研修を兼ねて実際にやってみるかい」。「いいですね、やりましょう」そして、最初 参加してくれた3人に話すと全員「行こか」。 「ええいっ、しんどいけど、一度本式にやってやれ。」
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