二つの座標


 15年ほど前、公共座標での測量をしなければならないと思い図根三角点を地籍図で見つけ
るごとに現地調査をして、役場でその成果を閲覧していた。

 これではいちいち面倒くさいので、宇和町と明浜町役場に図根三角点成果簿の閲覧に出か
けた。

 隣接する宇和町と明浜町は国土調査をほぼ同時期に実施している。

 隣接する町だから、当然国土調査の与点となる四等三角点についても同一点を使用してい
るのだが、その中でも四等三角点野田の座標が1センチほど相違しているのに気がついた。

 その時はいずれかの町の単純な転記ミスなのだろうと、気にはなったのだが原因について深
く考えなかったのだが、頭の中に何故だろうという思いが残っていた、そこで今回、日本測地系
から世界測地系と改正され、相当の時間も経過したので、座標の相違についてどんな原因な
のか、自分の中で勝手に探ってみることにした。 

四等三角点 野田の値
宇和町記載の座標値
38869.38
−95592.48
明浜町記載の座標値
38869.39
−95592.48

X座標が1センチ相違しています。

平成5年に国土地理院四国測量部からとりよせた、基準点成果表によると

四等三角点 野田 緯度  33-20-46.645 X  38869.38 標高 458.83
経度 132-28-22.352 Y −95592.48

 とあり、単純にX座標とY座標の比較であれば、宇和町の図根三角点成果簿に記載された値
のほうが正しいのですが、ちょっと気になります・・・。

 基準点の成果は緯度・経度から計算されているので、基準点成果表に記載された四等三角
点 野田の緯度・経度を国土地理院のホームページの基準点成果閲覧にある測量プログラム
を利用して、直角平面座標を計算してみました。




 成果表の緯度・経度からは、宇和町、明浜町の成果簿に記載された値にもなりません。

 そういえば、以前渡部氏が、地理院の直角座標の成果は緯度・経度から変換されているけ
れど、成果表に表示されてる小数点3桁までではなく、もう1桁余分に使用して計算していると言
っていたことを思い出した。

 そこで今度は、直角座標から逆に緯度・経度を計算してみると。

   宇和町記載の座標を使用して緯度・経度を計算。



   今度は明浜町記載の直角座標を使用して緯度・経度を計算してみる。



 比較してみると、経度に変わりはないのだが、緯度について小数点4桁目に相違がありまし
た。
 そこで、宇和町の値から得られた緯度・経度の小数点5桁目を四捨五入して、再度直角座標
を計算してみると



 今度は明浜町の座標から得られた緯度・経度について、小数点5桁目を四捨五入して再度
直角座標に変換してみました。




  なにか、数値のマジックのような・・。
  緯度・経度の値の小数点4桁目が、なにやらいたずらをしているようです。
 ここまでやったのだからもう少し、緯度の値を細かく設定して計算してみましょう。

   緯度33度20分46秒6456で経度の値は同様とすると



   緯度33度20分46秒6457で経度の値は同様とすると



 ここで、明浜町の座標になることになります。

 このような過程であれば、成果表に記載されていない緯度の小数点4桁目によって宇和町の
値か明浜町の値が正解なのかが決まるということになります。

 よく考えてみると、いえ、賢明な皆さんはすぐに解ったと思いますが、これは8を9に見間違え
単純な転記[記載]ミスが原因です。

 原因追求のはずが、調子にのって数字遊びの変な計算ばかりになり申し訳ありません。




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