当たり前のこと (おわりに)
専門家同士で会話する場合,「専門家の常識」を前提に専門用語を駆使して,正確かつ簡単に内容を伝えることが出来ます。 しかし,自分達が「当たり前」に思っていることも,知識のない素人に最初から理解の出来るように説明する。この簡単なはずのことが,途端に難しくなります。 図解法による地籍調査実施地区の業務も,依頼人を相手に,すべての内容を解りやすく理論的に説明しようと「当たり前」のことを理論構成してみると,改めてそれが自分の思い込みによるものや,完全に誤った解釈の結果であったことに気づくことがあります。 経験豊富な土地家屋調査士でもそうですから,地籍調査地区での業務経験のない新人土地家屋調査士にとっては,全く未知のことであり,順序だてた説明が必要だと思います。 そこで,今回「図解法による地籍図14条第1項地図地区」での土地家屋調査士の業務について,「当たり前」のことをまとめました。 本書の内容は日常業務の中の「当たり前」のことばかりですが,指摘されなければ気付かないこともあります。土地家屋調査士全員が「当たり前」のことを正確に理解することにより,それぞれの知識,技術そして経験により熟成し,明快な理論となります。世間一般が認める「当たり前」の理論になれば,理論を実践出来る唯一の専門家である土地家屋調査士も「当たり前」の存在になるでしょう。 本冊子が,そんな夢のようなことの小さなキッカケになれば幸いです。
平成23年12月14日 土地家屋調査士 滝上洋之
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