鷹子17条地図図根点検証 (20世紀の地図から学ぶ) (注) 本原稿は平成14年に作成したものです。法17条地図は法14条第1項地図となり,建設省は国土交通省となっていますが,当時の原稿をそのまま掲載することとしました。 はじめに 2002年4月の調査では、法務局に備え付けられている不動産登記法第17条地図(以下「法17条地図」という)約295万枚のうち、国土調査による法17条地図(以下「地籍図17条地図」という)は約219万枚、土地改良区画整理等の所在図約76万枚、法務局作成のもの3,706枚である。 法17条地図は境界の復元ができるものとされている。しかしこの地籍図17条地図については、地図作成時の土地所有者の境界立会いや境界復元能力に問題があると我々土地家屋調査士は批判している。 法務局に備え付けられ長年経過した地籍図17条地図は、すでに国民の生活の中に定着しているものも多い。 地籍図17条地図を含め、過去に作成された法17条地図をどのように活用すべきか。否定するだけでなく、地図作成当時の地図精度を劣化させることなく法17条地図としての活用方法、つまり維持管理について法17条地図を日常的に使用している我々土地家屋調査士が『筆界の専門家』としての立場から建設的な提言を行う必要があるのではないか。 このことは我々土地家屋調査士だけでなく、国民が望む『理想的な法17条地図』を作成するための提言にもなるだろう。 今回、その第一歩として地図作成時に設置された図根多角点について、現在の土地家屋調査士の技術と知識で新設・改測を行った図根多角点(以下新図根点という)との比較検証を行なうことにより、地図を作成する全体の中でどのような問題があったのか、また現在の土地家屋調査士に不足しているものを知りたいと考えた。 今回の検証の対象とする地図については、愛媛会の土地家屋調査士自身が地図作成の大部分に関与し、その作成過程を熟知している鷹子17条地図とすることにより、単に地図の表面上の問題ではなく、内部に潜む問題にも言及出来ると考えた。 また、この検証は2002年7月から12月にかけて行なったものであるため、電子基準点の利用方法等知識不足の感は否めない。我々の知識の中でも本検証の後明確になった事柄も多数あり、当時の検証方法よりも効率的な方法が現在では考えられるかもしれない。しかし、同様の検証を試みる方のためにも、事実をありのままに伝えることとした。
滝上 洋之 渡部 毅 戸田 隆雄 大野 達彦
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