登記所備え付けの地図について

土地家屋調査士 宮本 邦彦

 土地の調査を行う上において、現在は地図情報システムによるコンピュータから打ち出された図面により、その作業を行うことは誤りに気付くことなく進めることとなるため、登記所における保管地図を知ることにより、土地家屋調査士業務を誤りなく遂行するための一助となればと記憶をたどりながら紹介したいと思います。 

第一 不動産登記法第14条第4項地図

(旧土地台帳附属地図・地図に準ずる図面)

1 改租図

明治8年8月27日愛媛県権令第121号布達

明治14年11月地租改正作業完成

図面に大区小区の記載があることから確認できる

 

2 更正図

明治18年2月18日大蔵卿訓令「地押調査の件」

愛媛県においては、畝順帳の肩書更正にとどまっている。

※更正図は作成されていないとの認識であったが、松山地区において複数枚の更正図を確認した(肩書更正願とともに「絵図面更正願」)

 

3 地籍図

内務省系地籍編纂事業により作成された図面

愛媛県では確認未了

徳島県にあり(1分1間図・1/600)

 

4 耕地整理法による耕地整理確定図

明治32年法律第82号(昭和24年廃止)

 

5 自作農創設特別措置法による売渡確定図

 昭和21年法律第43号による

  自創法における登記手続きは、昭和28年頃まで継続

 

第二 不動産登記法第14条第1項地図(旧法第17条地図)

1 農地法による土地所在図

土地改良登記令による換地所在図

※昭和52年以前は指定されていない図面が多い

 

2 土地区画整理登記令による土地所在図及び建物所在図

  昭和29年法律第119号

 戦災復興による土地区画整理確定図(多くは準図)

 ※登記所における大字管理のためか、道路・水路地番が消えている

 

3 国土調査法の成果の地籍図

  昭和26年法律第180号

  登記手続きは、昭和35年以降

  紙質は、ケント紙・アルミケント紙・マイラーと改善されている

  ※行政が国土調査法により調査作成した図面であり、「行政庁の内部資料でしかなく、それらの作成行為により国民の権利利益が侵害される土地は全く存在しない」昭和60年最高裁判決

 

4 DID地区における図面

  都市再生街区基本調査による作成図面

 

5 国土調査法第19条5項指定の地図

 測量精度における確認のみである

 

6 大規模宅地開発等における所在図

 

7 法務局作成による法第14条第1項地図

 

第三 図面の管理方法

1 和紙

 裏打ち等により補修されているものが多い

  ※徳島局においては、従前巻物として登記所壁面につるして保管管理されてきたが、Bサイズに折りたたむ方法に変更されたため、破損が進んだ

 

2 大福帳による字図等(高知県に多く見られる)

 字毎の図面が作成され、「大図」と呼ばれる、字配置図が市町村に保管あり

 

3 和紙再製図面(昭和44年頃から実施・マイラー再製により廃止)

  サイズ50×60(以降法務局は基本このサイズ)

 

4 マイラー再製図面(昭和46年頃から実施)

 愛媛県においては、和紙図を分割して作成しているため、道水路等が複数の図面に記載されている場合が多い

 

5 地図管理システム登録時の副図(平成6年から導入)

 

6 地図情報システム入力後の図面(平成16年から移行)

 

第四 土地区画整理法等における新たな筆界の創設と登記手続き

土地改良・区画整理法における公告により効力発生(公告の翌日から)

登記手続きにおいては、従前の登記用紙をそのまま利用し、従前の土地の表題部を対応する換地の表題部に書き改めて換地後の表題部用紙とする簡便な手法がとられている

登記情報システムにおいては、従前の登記記録を全部閉鎖し、表題記録等全ての記録を新たに記録する方法も可能である

理論的には、土地区画整理等事業施行区域内の各筆の土地については消滅し、新たな区画形成の土地が生じたものと見ることができる

従って、作図の誤り等事業者の証明がないと、地図訂正することは認められない

第5章 地籍調査地区でも
知っておきたいこと
     
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