法第14条1項地図で (地図管理システムで失ったもの) 何故,現在の法14条第1項地図を使用して説明をしないのか。不思議に思われているでしょう。 現在の法14条1項地図(以下「法14条地図」という。)は,閉鎖された法14条地図(以下「地籍図14条地図」という。)を法務局の管理のもとに業者がスキャナーで読み取り,数値化したものです。したがって,今まで説明したことを大がかりに,かつ機械的に行ったものです。 地籍図14条地図は,旧測地系(日本測地系)で作成され,その後,測量法改正により新測地系(世界測地系)に自動的にTKY2JGDでパラメーター変換されました。これは,(図1)のように図郭線上の区郭交さ記号の右上と左下にある図郭線の座標の表示を変換することで対応されています。
しかし,この変換についてⒶ位置のX座標+36.45が+36.829306に,Y座標-93.80が94.040511に自動的に変換されています。 この座標値の表示が+36.45から+36.829306つまり+36829.306となった事で,ミリまで表示するようになっています。 変換自体は間違っていないのですが,全部数値化されたものではありません。現実的には地図を作り直した訳でもなく,精度が良くなった訳でもありません。 図郭線上の区郭線交さ記号の位置が計算上o単位まで表されただけです。ここで,同一の位置を表している地籍図14条地図と法14条地図を比較してみましょう。 (図2)は法14条地図です。 (座標値種別図上測定)として図郭線上の区郭公さ記号の右上の座標値X座標+40869.972 Y座標−91706.447,左下の座標値 X座標+40743.972 Y座標−91831.447とあります。 ただし,図郭内の区郭交さ記号は表示されていません。図郭線も252o×250oで区画されています。
(図3)は閉鎖された法14条地図(地籍図14条地図)です。 同一縮尺としたため,地図の右側が表示されていませんが,図郭線は300o×400oで区画されています。 図郭線上の区郭交さ記号の左下の座標値は+40.35と−91.60,そして新X=+40729.22,新Y=−91840.52の表示があり,TKY2JGDで変換されている事がわかります。 両方の地図を比較して相違するところは,現在の法14条地図はTKY2JGDによる変換の経緯の記載が無い。図郭内の区郭交さ記号が無い,ↀ印の下の石の表示が無くなっている。(1/2)や(2/2)のような分属表示が無く1筆地の繋ぎ目の無い地図になっている。また,地番区域見出図や精度区分見出図が無くなっています。地図の精度区分を表す表示が異なっています。申請した土地の精度区分だけが表示されますので,隣接する土地の精度が異なる場合もありますし,その表示された精度区分が相違している場合もあり得ますので注意してください。 現在の法14条地図はパソコンからの打ち出しですのでA3判の用紙の中で表示されています。現在の法14条地図は地図と言うよりは,地図情報システムそのものなのかもしれません。数値管理された地図ということになるのでしょうが,元が図解法であるという事を忘れてはいけません。 地積測量図の座標値であれば実際に観測された値ですから,o単位まで信用が出来ますが,法14条地図がo単位の表示であっても,それは以前の閉鎖された法14条地図と同様の精度であるということを忘れてはなりません。
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