復元・(座標値による逆計算)
座標値による復元方法を説明します。測量ソフトに座標値を入力すれば,簡単に計算してくれますが,復習の意味をこめて簡単に説明します。 地籍調査時の図根多角点は図根多角点成果簿と網図により,その位置と座標値は解る。申請地の境界の地図上の位置の座標値についても読み取りを行い座標値がわかります。 そうすると,図根多角点2つを使用して,境界点を復元する事が出来ます。観測点とする図根多角点にTSを据え付け,もう一つの図根多角点を0°方向にします。その後,各境界点を角度と距離により復元することになります。 それでは,角度と距離を計算する方法を説明します。 まず,申請地近傍には(図1)のように図根多角点が3つあります。石の表示があるものは北側の2つでした。 地図に表示された図根多角点を国土調査担当課に行き,網図を調査した結果,AA−13,AA−14 ,AA−15でした。更に,図根多角点成果簿でAA−13,AA−14の座標値は X座標 Y座標 AA−13= +40855.07 −92208.89 でした。 現地を調査した結果,AA−13,AA−14を見つける事が出来ました。異動も無いようです。 次に,依頼地である102番の土地について,法14条地図から,地図上の境界位置を読み取りした結果,境界位置の座標値として X座標 Y座標 をそれぞれ読み取ることができました。 (図2)で観測点とする図根多角点AA−14を@,後視点(0°)とする図根多角点AA−13をAとして説明します。まず,(図2)中の位置でAA−14を@の位置にしてください,次にAA−13をAの位置にあてはめますが,Aが@に対して図2のうち1,2,3,4どの位置になるか確認しておいて下さい。 (図2)の中で,@とAの関係のθの角度を知るには
で計算する事が出来ます。 観測点AA−14を@に,後視点AA−13をAにして,その座標値をそれぞれに代入すると θ=tan−1 ((−92208.89−(−92179.01))/(40855.07−40820.58)) = −40°54′13.07″ ≒ −40°54′13″ を計算することが出来ました。 ここで,@とAの関係は,(図2)の4の位置関係です。θの角度は0°の軸からの角度です。 得られた角度−40°54′13″を正の角度に直すには,0°のかわりに360°を使用して 360°−40°54′13″= 319°05′47″の角度を得ることが出来ました。
今度は,復元をしなければならない境界についても同様に計算してみます。 観測点AA−14を@に,境界点bをAにして,それぞれの座標値を代入します。 θ = tan−1 ((−92168.40−(−92179.01))/(40838.70−40820.58)) = +30°21′02.58″ ≒ +30°21′03″ ここで,@とAの関係を(図2)で確認すると,1の位置です。 θの角度は0°の軸からの角度です。 得られた角度+30°21′03″は,そのまま使用出来ます。
ここで,観測点AA−14から後視点AA−13と,復元する境界点bの角度が得られた訳です。 後視点を319°05′47″に合わせて,+30°21′03″の角度となった位置がbの復元方向ですが,このまま使用するとややこしくなるので,もう少し計算することにします。 後視点AA−13を0°として観測するために,AA−13から319°05′47″の角度を差し引いて0°にします。その為bの角度からも319°05′47″差し引きます。 +30°21′03″−319°05′47″=−288°44′44″となります。 これでは都合が悪いので、360°を加えた計算 (360°+30°21′03″)−319°10′21″=+71°15′16″と考えます。
これで角度は解りました。距離については2点の座標を開くことにより計算出来ます。 観測点AA−14と境界bの距離は,それぞれの座標値を使用して で計算することが出来ます。
となり,観測点AA−14と境界bの距離は20.998mということになります。
現地では,観測点AA−14にTSを据え付け,AA−13を0°として観測を開始して,水平角の観測角度71°15′16″と水平距離20.998mの位置が,境界bの読み取り境界位置です。 当然,後視点としたAA−13と観測点AA−14の距離もあらかじめ計算しておいて,観測時に距離の測定を行い,確認をする必要があります。
計算では45.633mとなりますが,現地ではどの程度の距離でしょうか。縮尺係数等補正の絡みもありますが1p以上相違する場合は,図根多角点になにか異常があるのではないかと疑う必要があります。
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