面積算定に使用したプラニメーターとは 現在は座標法による面積計算が主流であるが,昭和40年代に実施された地籍調査における面積算出の方法としはプラニメーターが主流であった。 1筆地の境界点の座標化して,その固定化された数値により面積を求める座標法と相 違して,平板測量により出来あがった1筆地の形状自体を使用して面積を計算する方法 が当時の主流であった。 現在では,精度が悪いとして利用されなくなったプラニメーターであるが,当時の面積 算定の方法としては効率的であり,幅広く利用されていた。 1筆地の面積について,その面積算定の結果による登記簿地籍と現在の測量器械を 使用した座標法による面積測定の結果を比較してもあまり意味が無いように思える。 境界点の位置誤差や2点間の点間距離の誤差と比較して,面積誤差が厳しいと実感 するのは,このような計算方法の相違による為である。 しかしながら,どのような方法であったかを知らなくては,面積の相違について客観的に その比較も出来ない。プラニメーターによる面積算出の方法についての記載のある資料 を調査したところ,法務省民事第三課編,民事法務協会から昭和47年6月10日に発行さ れた「不動産登記のための測量実務」があったので,以下のとおり抜粋して記載する。 不動産登記のための測量実務 (法務省民事第三課編)より 昭和47年6月10日発行 第]T章 面積測定 筆界線によって囲まれた土地のひろがりを一定の水平面に投影し,その広さを測定する ことを面積測定または地積測定という。この面積測定の方法には,大きくわけて図上法 座標法,現地法の三方法があるが,施行令第四条によれば「地積は,水平投影面積によ り平方メートルを単位として定め,一平方メートルの百分の一(宅地及び鉱泉地以外の土 地で十平方メートルをこえるものについては,一平方メートル)未満の端数は,切り捨てる。 (注)」と定められているのみで,その地積の測定方法についてはなんら別段の規定がない。 したがって,正しい地積が求められるならば,いずれの方法を用いてもよいということになる。 注)なお,求積計算においては,計算の過程では切捨て処理をすることなく,最後に地積を 表示する段階において規定のくらいまで記入し,以下を切捨てる取扱いがされている。 1.面積測定の方法 (1)図上法 測定すべき一筆地または求積区を三角形,台形,支距法の測定に便利な形状に 図上で分割し,面積計算に必要な距離を図上で測定して面積を計算する方法である。 図上の辺長測定の精度,図面作製の精度,図紙の伸縮等の問題があって,現地法 による面積測定より精度が低い。 (イ)三斜法
(a)留意事項 (i) 三斜区分の要領 @ 底辺と高さの比は1:3から3:1以内におさめるようにすること。 A 垂線の足が三角形の内部にくるようにとること。 B 区分三角形の数が最小になるようにする。 C 底辺を共有する三角形をなるべく多く作る。 (A) 定規縁が正しく直線になっているものを用いる。 (B) 鉛筆は,鉛筆芯が紙面に垂直になるように保持し,定規縁に正しく添えて 用いるようにする。 (C) スケール(ミリ尺)の検定公差は〜 のものであるので,外業に 使用したスケール(ミリ尺)を内業にも使用するようにする。 (b)三斜計算法 図上距離を読み取り,実長に換算し,区分された三角形ごとに面積を計算し その値を合計して求める。 (ロ)三辺法 三角形の三辺共辺長を測り計算によって面積を求める方法である。 三角形の三辺をa,b,c とすると,計算式は ただし, この公式の誘導は
∴ であるから ………A同様に は ………B ABを@式に代入すると この三角形の形は,なるべく正三角形に近いものがよい。この式の計算に対する 制限は,一辺とこの辺に対する頂からの垂線の比が,2:1とされている。2:1ないと 三角形が偏平になり,各頂の交点が不明りょうになるからである。 (3)プラニメーター法 境界線が不整形な土地の求積には,シンプソン法を使用する方法のほか プラニメーターを用いる方法がある。プラニメーターは有極式と無極式がある。 (イ)有極式 1点を固定し,測針または指標で筆界線上を歩ませて面積を求める。 有極式には,定極式,円極式があるが,定極式が多く用いられている。 定極式プラニメーターには次の種類がある。 (a) 補正プラニメーター (b) 単式プラニメーター (c) 複式プラニメーター (ロ)無極式 固定する所がなく,平行な回転輪があり,細長い図形の面積を測定するのに適して いる。しかし有極式より高価で余り使用されない。 (ハ)面積測定 (a)面積測定可能の説明 プラニメーターで面積測定ができるのは,導針が図形輪郭を一周することに よって,測輪が回転する。この回転数によって面積の大きさがわかるが,鞘の 位置のとり方によって同じ面積を測定しても回転数は同じとは限らない。 したがって回転数だけでは,面積を表わすことはできないので,測輪の目盛 一目がどれだけの面積になるのかをきめる必要がある。これを単位面積といい 単位面積の値は図面の縮尺によって異なる 単位面積 mu…………………………………………………… A 目盛車はバーニヤを使用すると ……………………… まで読めるので測輪の直径 ………………………… d 一目盛り大きさは ………………………………………… 導針と固定桿とのつなぎ目から鞘までの距離 ……………… l とすると,縮尺 の単位面積 a は a = × l mu で表される。 ……………………1式 縮尺 は測定できないから,任意の縮尺をRとすれば1=Rの縮尺のときは a = × l mu ……………………………2式 例えば縮尺 のとき 倍の面積が実際にあることなので,を乗ずると 実際の単位面積が得られる。したがって縮尺と l の長さがきまれば単位面積 aがきまることになる。 上式を変形して l を求める式にすると l o= ……………… ………3式 a =0.1p2 ,縮尺,d=19oとすると l = = 167.5o a =10m2 ,縮尺,d=19oのときは l = = 167.5o 以上のように鞘の位置が一定,すなわち l が一定ならば,単位面積と縮尺の間には一定の関係があることが解る。 単位面積 a,縮尺 が変化しても次のような形の関係式になる。 …………………………………………4式 例えば縮尺 の単位面積は,縮尺 のときの単位面積は10m2であるから 4式を用い ∴ a = 0.1m2 = 0.625m2 となるので,これに近い値0.5m2とか0.6m2 にするには l の値を変えればよいから l = = 0.0669m = 66.9mm 鞘の位置を66.9mmの所にすればよい。
(b)測定法 測ろうとする図形の縮尺によって,滑走桿上の目盛と鞘のバーニヤで測定の位置に 鞘を調整する。縮尺に対する鞘の位置をきめるときには,ケースのわたの内側に書い てある定数表から,測ろうとする縮尺の定数を見出して調整する。 (1)固定錘を面積図の外に固定する場合 面積が28cm × 28cm以下のときは,固定錘を面積図の外に固定して測定する。たとえば縮尺 の面積図を測定する場合,鞘を動かして滑走桿の66.9(この器械の定数で,器械によっては多少の違いがある。)に合わせる。次に導針を面積図の輪郭の1点におき,時計の動く方向に図形を一周させる。このときの測輪の読みと始めの読みから面積の測定を行なう。(面積測定を始めるとき測輪の目盛を零点から始める必要はなく任意の読みでよい。) 始めの読み 2534 終りの読み -) 1488 1046 表から単位面積は0.5m2であるから,求める面積は0.5m2 × 1046 =523m2 (2)固定錘を面積図の内に固定する場合 滑走桿と固定桿,測輪の関係が直角になるような基礎円の上を導針でたどっても測輪は回転しない 縮尺1/250の面積図を測定する。 第2の読み 2958 第1の読み −) 1816 1142 加数 +24030 25172 求める面積は0.5m2×25172=12586m2
例: 基礎円より小さい面積で固定錘面積図形の中に置かなければならないとき 第2の読み 215 第1の読み -)8465 - 8250 斜線の面積 加数 + 24030 15780 求める面積は0.5m2×15780=7890m2
(c)プラニメーター・検査器 プラニメーターで測定した面積が,精度よく測定されたかどうかの不安を除いたり,よりよい精度で測定され
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