第5章 前兆・一週間
心筋梗塞闘病記 ●前兆 最近夕方と夜の2回,自宅周辺の4km のコースをノルディック・ウォークで40分 程度をかけて歩いている。 10年前から同じコースで糖尿病の運動療法として平日1回,土・日・祭日は1日2 回の散歩をしていた。 5年ほど前,妻に進められノルディック・ウォークに切り替えていたのだが,昨年の 暮れから今年の春にかけて天候が悪く,歩けない日が続いていた。 血糖値の検査もあまり良くない結果が出ていた。やっと天候も回復したので,3月 の始めから再開し,3月末からは頑張って夕方と夜の2回にしたところだ。 運動の出来なかった状態からいきなり歩き始めたので,少し無理をしているもしれ ない。背中と脚に筋肉痛があるが,調子は良い。 ●日曜日 平成27年4月6日(日)午前10時,隣町のノルディック・ウォーク大会に妻と参加。 参加者の多くは50代~70代の方で,若い方はちらほらと混じる程度である。 小雨が降っていたため,予定されたコースではなく,一部を変更して短い距離で実 施された。顔見知り同士での参加が多く,2列縦隊でお互いに話しながら進んでいく。 妻は先頭でガイドをしながら歩いている。知り合いもなく,話し相手がいない。 全体の歩く速さは遅く,いつもの自分のペースと合わない。 前の人を追い越すことも出来ず,少しイライラしながら歩く。 やがて,終了地点に戻ったが,物足りない人のためにと500m ほどの距離が追加 され,50m ほど下ったダム湖の駐車場まで歩く。 解散の後,今までのスローペースの反動から,駐車場から最初の集合場所まで標 高差50m の上りの坂道を一気に上り切った。 誰もついてくる人間はいない。快調そのものだ。 小雨も上がり、気持ちの良い天気になった。 妻と合流して,集合地点の景色を楽しみながらソフトクリームを食べた。 夜になり,足の筋肉痛を感じ始める。 風呂に入れば治るだろうと思い,ゆっくりお風呂に入ったのだが,足以外の背中や 腕にも筋肉痛の症状が出始めた。 全身にだるい痛みを感じる。少し無理をしたのだろうか。 早く寝ようと横になるが神経が高ぶっているのがわかる。 翌日試験でもあるような高ぶりで有る。 寝苦しさを感じたが夜11時には就寝した。 ●月曜日 平成27年4月7日(月) 午前4時 息苦しくなって目が覚める。 胸の中央付近を誰かに押さえつられたようだ。 喘息の発作がまた出たのだろうか。このところ調子が良かったのだが・・・。 2年前の12月だったが,2週間ほど決ったように朝方の4時頃から毎日1時間ほ ど咳が出て苦しんだ。それ以降は大丈夫だったのだけれど・・・。咳は出ない。 寝ていても胸の圧迫感は変わらない。 起き上がり、15分程度座って我慢すると治まった。 まだ早いと二度寝入り,7時30分まで睡眠を取り,仕事に向かった。 日中は胸の苦しさや痛み,ましてや咳もない。 夜になっても、体調に変化はなかった。念のため,いつもより早く就寝する。 ●火曜日 平成27年4月8日(火) 朝方何もない。 仕事が終わり,自宅に帰る。何もすることがなくボーッとテレビを見る。 座椅子にもたれながら,こたつに入っていると,だんだん姿勢が悪くなる。 元々腰が悪いため、身体はいつの間にかこたつに入り込み,首だけが座椅子の背 もたれに直角に近い角度になってテレビを見ている。 いつの間にか,その姿勢のままウトウトしている。 慌てて姿勢を直すのだが,やっぱり同じ姿勢になっている。 それが原因だろうか,背中と首に鈍痛というか筋肉痛がある。 ●水曜日 平成27年4月9日(水) 午前4時 息苦しく目が覚めた。胸の中央付近に圧迫感が あるがすぐに治まる。 月曜日と同じ症状である。 二度寝入りをすると何事もなかったように,快調に目がさめた。 日中は何も変わらない。 息切れ,胸の痛み・圧迫感を感じることはない。 明日は大事な仕事が入っている。体調を整えておこう。 何か異変が起こっているのかもしれない,金曜日にはかかりつけの病院に行くこと にしよう。早めに就寝。 ●木曜日 平成27年4月10日(木) 午前4時,昨日と同様に息苦しさで目が覚める。 胸の圧迫感が続く,額に手をやると汗が出ている。 30分程度で胸の圧迫感はほとんど治まったが,まだ少し残っている。 ゲップを途中でやめた時のような感じだ。 今日は大事な仕事が入っており,休む訳にはいかない。 交代してもらうことも出来ない。 今日の予定だけは何とかしなければ・・・。 明日,病院に行こう。 事務所に出勤して仕事の準備をしていると,胸の痛みを感じる。 2~3分ほどで治まる。 午前9時,予定の時間になり,車で現地へと向かう。 まだ少し胸に圧迫感を感じるが,何とかなりそうだ。 午前10時,「体調があまり良くないので」とお断りをしながら,仕事を始める。 昼食を挟んで16時には午後の仕事も終了した。 この時,かなり顔色が悪かったのだろう。 仕事場の先輩が 「顔色が悪いよ。救急車を呼んであげようか。」 「明日,病院に行く予定にしているので。」とお断りをした。 後で話を聞くと,土色の顔色をしていたらしい。 その先輩も心筋梗塞の経験者だった。 事務所に戻る運転中,冷や汗が出ている。 無事に自宅に帰れるだろうか。事故を起こさないだろうか。 病院にこのまま診察を受けに寄ろうか。 やっとの思いで自宅に帰るが,不思議なことに胸の違和感はなくなっていた。 夕食をとり,早めに就寝しようと,お風呂に入るが,これが熱かった。 「熱い風呂は良くない。」と一瞬思ったのだが, 熱いお湯が好きな私は温度を下げること無く,ゆっくりとお風呂に入ってしまった。 午後9時に就寝。 そして・・・・。 |