街区基準点に思う (遠回りして基準点測量) 何故、基準点の観測方法や網の組み方の技術や知識が必要なのか。 国土調査地区での体験が主体ですが、街区基準点地域にも同様な環境が あるように思います。 基準点にたどりつくまでの過程や、考え方について私が体験したことをあり のままにお伝えすることにします。 第1章 古い国土調査地区で知った基準点測量 ●鷹子17条地図との出会い 昭和61年には鷹子17条地図作業の為、調査士会から講師が派遣され、南予 地区の3支部が一緒に研修を受け、初めて2対回観測の方法を教わりました。 当時、誰も2対回観測、いや1対回観測すら経験していなかった時代です。 新入会員で一番経験も無かった私がモデルとして壇上に上げられ、 「反転して。」とか、 「0°輪郭、90°輪郭」 と言われても全く解りませんでしたが、何とか講師の辛抱強い指導で終了しま した。 その後、私を含めて県下全域から50名ほどの会員が基準点班として鷹ノ子 17条地図作成に参加しました。 基準点については高さを統一しての観測で、確か1.40mに統一したように記 憶しています。 「基準点測量とは高さを揃える技術」と単純に思ったりしました。 また、水平距離を表示する事が出来る新型の光波測距儀が登場したため 「何故、斜距離や鉛直角を測る必要があるのだろうか。」というのが参加した多く の調査士の意見であり、私も正直な話、同様の気持ちでした。 全ての観測が終了した半年後、補正計算を行うということで計算方法を教わり ましたが、50m程度の点間距離、標高も10m程度でしたので補正値は計算して もほとんどが0、「補正値が0でも、0であるという根拠が必要なのだ」という説明 も、水平距離がすべてと思っているものですから、「なんで、こんな計算を行わな ければならないのだろう」、不思議に思い計算しましたので、知識が見に付くは ずがありません。 それでも、結合トラバース計算での図根多角点設置・観測・計算だったので 閉合差がどの程度なのか、基準点測量の実際の精度を知りました。 翌年、鷹子17条地区の一筆地測量が愛媛会の会員全員が参加を義務付けら れた研修として実施されました。 ●自分の業務(国土調査地区での復元方法) 鷹子17条の影響受け、自分の業務でも20秒読みのデジタル表示(シフト式) 光波測距儀を新たに購入して、与点(図根多角点)を使用した測量を開始しま した。 国土調査担当課から、図根多角点・図根三角点の成果簿・網図を入手して 申請地近傍の図根多角点を結合すると1/2000〜1/5000程度でしたが、境界 点の読み取り座標を復元してみると、本来の境界位置とのズレは5〜10p程度 でした。 図根多角点の成果を使用するまでは、国土調査の1筆地の形状と任意座標で 1筆地の求積する為に必要な部分を測量した形状{現況平面}を、回転をさせ重 ね合わせ、境界位置の判断をおこなっていたのですが、このような方法で本当 に良いのかと悩んでいました。 図根多角点の成果を使用し始めてから、ほとんどそのまま判断できるようにな り、安心というか自信が持てるようになりました。 やがて、道路の改修や土地造成により、図根多角点の亡失が進み、申請地 近傍には復元する為の条件を満足する図根多角点が見当たらなくなってきまし た。 1点はあっても、もう1つの視通の出来る場所にあったはずの図根多角点を探 し出せ無くなり、どこまでの範囲を探すのか、本来ならば諦めて他の方法を考え る必要がある場合でも、距離が長くても平気、座標値が得られれば良いとガム シャラに200〜300m離れた図根多角点を探し出し結合していました。 そうこうしていると、心配な精度(1/500程度)のものや、肝心な復元位置も 実際の境界とのズレが20〜30cmにもなり、極端な場合では50p以上のズレが 生じてくるようになってきました。 ズレが大きくなったのは、路線が相違する図根多角点同士の結合とか、図根 多角点自体の異動が原因です。 私が業務を行っている地域では昭和50年には国土調査が完了しています。 使用されている図根多角点は4センチ角の長さ20センチ程度のコンクリート杭 です、素掘りで土中に設置されていますが、杭がやや地表面に出ていたものは 通行の邪魔になり撤去されたり、埋まっていたものも道路の舗装で掘り起こされ 亡失したり、残存しているものでも多くが車や人の通行により異動していました。 また、路線の形も、使用した図根多角点と申請地との位置関係もあまり良くな かったので、これがズレが大きくなった原因の一つだと考えられます。 ●図根三角点からの測量 そこで、図根多角点が亡失している場合には発想の転換をしました。 少なくとも700メートル程度の範囲には図根三角点があり、図根多角点よりも 大きく材質が良く、国土調査実施時の大事な物であるという認識が高く、堅固に 設置してあることから確実に残っています。 後は費用と労力の問題です。 存在が明確でなく、しかも異動の可能性のある図根多角点を探す労力に比べ 距離は遠いかもしれないが、ほぼ確実にある図根三角点を探す労力は比較にな りません。 結合する為には、今まで2,3点であった新点から10点以上の新点が必要とな り、選点・観測に2日余分にかかりますが、過去の経験から信頼性は確実に向 上すると思われました。 任意座標の重ね図では自分の勘のみが頼りで、境界を確定する根拠も薄く自 信が持てません。 図根三角点の近傍で境界点の読み取り値を復元すれば、ほぼ相違のない場 所になるになることは経験して解っていました。 与点(図根三角点)は、図根多角点と材質も相違し、設置方法も堅固であるこ とから、外見の異常さえ無ければ位置の異動はまず考えられず、安心できる精 度が保障されている。 更に、新点は図根多角点を使用していた時よりも、一回で多くの新点が設置で きるし、近傍の土地に使用することが出来、そのまま自分の財産になります。 ここまでの考え方は良かったのですが。 ●間違った方向に 平面距離でOK、国土調査の補正は結合トラバースの誤差配布で補正される。 補正なんて関係ないと正直思っていました。 それでも最初の頃は丁寧に、申請地を含んで直線的に結び選点していたので 閉合比も1/7000〜1/8000程度で復元位置も満足できる位置だったのですが 慣れてくると、このあたりに路線を入れておくと便利だという欲みたいなものが 出て、距離が長くても平気、距離で稼いだ見かけの精度だと知りながら・・。 その結果、新点数25点、路線長1400mというような路線が出来てしまいまし た。長い路線の中間のあたりでは、復元位置が思った以上にズレるものさえ出 はじめ、当初の図根三角点を使用すれば信頼性が確実に向上するという考え方 と、大きく違ってきました。 与点とした図根多角点を結ぶ直線上に申請地があれば良いのですが、座標値 さえ解れば良いと強引に結びつけた形で、与点を結ぶ直線から外側50度以上に 申請地があり、大きくはみ出したような位置になっていました。 (測量会社の路線を見ていると、時々こんな路線を見かける時があります。) ついには、探し出した図根三角点から取り付ける三角点が無いため、座標値さ え解れば良いと、結合トラバースでありながら方向角の取付をしない、しかも水平 距離で疑似トラバースなんてとんでもないことをやり始めました。 当時の私には基準点測量の点検計算としての無方向のトラバースというような 理解ではなく、座標値を知りたい、そのままその座標を使用したいという安易な 考えからの発想でした。 ●簡易網平均 そんな中でも四等三角点を使用すると精度が良い、少なくとも1/20000以上と なるということだけは解っていました。 その頃、基準点測量の知識のある方に、「補正をすればもっと良くなる・・。」と やんわり言われたのですが、馬の耳に念仏、その言葉の意味を理解できません でした。 何となく与点2点だけの疑似トラバース測量ではまずいなと思い始めていたと ころ、役場からミカン畑を走る既存の3つの農道、総延長1キロの分筆登記の依 頼がありました。 いい機会だと簡易平均網のソフトを購入、図根三角点を3点以上与点として 使用して水平距離でY型の簡易網を組み計算したのですが、範囲も広くなり労 力もその分増えましたが、納得のいく精度ではありませんでした。 路線の組み方や網の形がまだ解っていない状態で、外側に膨れすぎた形の 頂点からその近くにある与点に結びつければ良いという程度の知識しかありま せんでしたので、本当の問題解決にはなっていませんでした。 測量の知識も、参考書を読み簡易網平均の計算はY型のような交点が1つの ものであれば入力方法も解ったのですが、それ以上交点があると処理手順が 理解できず、専門的な知識や実務経験の無さから、それ以上進歩せず、簡易 網のソフトは宝の持ち腐れでした。 平成2年頃出会った渡部氏に私の観測方法や計算方法を説明すると、私のや り方に危機感を持ち、そのまま現場まで出向いてくれました。 取付点となる三角点の調査、山の雑木を伐採しての視通の確保、鉛直角の正 反観測、器械高、鉛直高、斜距離の測定、そして各種の補正計算を行い正規の 測量・観測方法に取り組みました。 それでも、路線の考え方や各種補正については、渡部氏に頼り切った状態で ピンときていません。 ●公共測量作業規程 しばらくして、平成5年頃、高名な指方先生に出会い、公共測量作業規程の 内容を教えていただくことになります。 傾斜補正・気象補正・投影補正・縮尺補正の4つの補正。 これがそのまま基準点とトラバー点の相違になるのですが、研修した時は解 った気になりますが、自分自身に必死さが足らず、身に付いた知識となりません。 今だったらお聞きしたいことは山ほどあるのですが、猫に小判、非常に残念です。 それでも平成6年頃から、渡部氏を中心として三等三角点・四等三角点を利用 した結合多角路線による2級基準点設置作業を体験して、自分の中で思ってい た精度との相違、補正を行ったもの同士の本当の精度を身体で体験しました。 補正計算においても、2級基準点であったことから点間距離は500m程度、山 の頂上の三角点から平地の新点へと標高差も大きい場所であったため補正値 が大きく、その補正量を実感することが出来ました。 観測制限についても、公共測量作業規程に定められた制限(記載されている 制限)ではなく、全体を作り上げるための最低限必要な制限を考える必要があ るということを実感します。 自分の観測誤りが一緒に作業をしている全員に影響することの恐ろしさも知 りました。 観測制限から外れた時の再測は当然ですが、観測結果に不満や疑問がある 時は再測を行う勇気(気持ち)が必要です。時間にして30分程度の事です。 再測は一緒に観測している方に、その時には迷惑をかけますが、計算結果が 悪ければ、もう一度全員が戻ってきて再び観測を行うには1日を要し、全員に大 きな迷惑をかけることになります。 基準点測量の基本は、高さを揃える事では無く、三脚の石突を良く踏み込み 固定し、三脚の脚頭は水平に、TSの調整ねじをあまり使用せず、脚頭中心から あまり移動のないように器械を据え付ける事。観測前の条件を整備する。 これが実感です。 現地踏査・観測計画・選点・観測・点検計算・厳密水平・高低網計算と実務の 一連の流れを経験することが出来ました。 平成8年になると、新しい測量技術であるGPS測量による基準点設置作業も 体験することになりましたが、TS測量による基準点測量を実体験していたこと から、GPSの理論はともかく、セッション等はじめて聞くことでしたが同時に観測 する必要性、長時間機械を設置する為の三脚の据え付け方、器械高、目標高の 高さの観測の重要性、原則的なことは同じ事を知りました。 また、その先端技術の素晴らしさと精度について知ることができましたが GPS購入を決定した際の「観測が下手だから、GPSを購入する。」という渡部氏 の言葉が未だに忘れられません。 国家三角点の精度は勿論ですが、このようにして設置された基準点の精度も 素晴らしく、与点として信頼出来るものであることを実感しました。 やっと正規の測量方法(公共測量作業規程)を理解することが出来るようにな り、過去に観測をしている地区について、図根三角点4点使用してY型路線の形 の3級基準点測量を自分自身がすべて計画し観測、計算してみました。 器械高・目標高については各点で任意の高さとして高度角補正計算を行い 各種の補正を行い、厳密網計算を行ってみたところ格段に良い精度を得る事が 出来ました。 今まで、自己流の測量方法を実施することにより、自分で歪みを作っていた事 が解り、図根三角点の本来の精度、そして作成時に各種の補正計算がされてい ることを実感しました。 ●二つの契機・一つ目 その頃、土木事務所の用地担当者が 「ちょっと、教えてください。」と測量会社の測量士2人を連れて事務所にやって きました。 話を聞くと、高速道路のインターチェンジが予定されている近傍の土地を2,3 年前に私が分筆していたのですが、そのトラバー点の座標値が、高速道路の為 に設置した2級基準点からの値で3センチほどの誤差であった。 どのような方法で(どの三角点を使用して)座標値を出したのか教えてほしい というものでした。 「図根三角点3つを使用し、簡易平均網で出しました。補正はしていません。」 と答えたのですが、測量会社の測量士はそれ以上聞こうとしませんでした。 自分たちの設置した2級基準点に間違いがないかどうか、真面目に聞こうとし ていたのに、公共測量作業規程に準拠していない適当な方法でしたので、これ 以上聞いても無駄と思ったのでしょう。 当然、私の方も「3センチで良く納まったなぁ、ちゃんとした方法でやらなけれ ば。」と冷や汗をかくことになりました。 指方先生の講義や、渡部氏の基準点の実務から補正は必要であると感じ始め 先日図根三角点を使用した基準点測量をやったばかり、正規の方法でなければ 第三者に自信をもって説明することが出来ない、自己流の方法では駄目だと痛 感しました。 ●二つの契機・二つ目 基準点測量の実務研修として、渡部氏を主とした5人の調査氏達と一緒に、町 内は勿論、隣接する町の主要な地域に2級基準点を3年ほどかけて設置しまし た。 自分の業務も研修で設置した2級基準点を与点として、3級基準点を設置、更 に4級基準点という順序で器械高、目標高を任意の高さとして高度角補正計算 を行う基準点測量を取り入れ、一筆地測量もすべて公共座標を使用するように なりました。 その頃、県の巨大プロジェクト事業があり、関連事業として国道から事業地ま で南北に走る県道区間を約300メートルにわたり拡幅することとなり、県が県道 拡幅部分を分筆・買収をしました。 建物の密集した場所ではありませんが、田舎としては土地単価の高い住宅地 です。 南北に走る県道の西側には、短冊状に15,6筆の宅地が隣接しています。 個人所有地に向かい、奥行き5〜6メートルほどの拡幅です。 起業用地のほとんどが分筆され、現況も建物は取り壊され更地の状態になり 補償もされていますが、個人所有地同士の境界と思われる石垣やコンクリート 壁はそのまま残っている状態です。 その分筆・買収された後の宅地の再分筆を知人から依頼されました。 提出されている地積測量図を調査すると、買収部分のみの求積で依頼地は残地 とされています。 地積測量図には準拠点の表示があり、現地には準拠点鋲と分筆点らしきところ には黄色の用地幅杭に釘が打設してありました。 確認の為に測量図に記載された準拠点2点を確認し、準拠点から分筆位置を 復元してみると、依頼地の内側にある分筆点については用地幅杭の木杭に打設 してある釘の位置とほぼ一致しました。 しかし依頼地の南北のそれぞれの隣接土地との境界位置は、再分筆の為に立 会いをした結果と相違しました。 北側はコンクリート壁があり、一見民々同士の境界位置に設置してある木杭 の釘は、その壁に添わせる形で設置してあったのですが、復元してみると木杭 の釘は測量図に記載してある位置と一致しません。 依頼地の内側(南側)に15センチほど入り込んだ位置になります。 南側の隣接地には町道部分に含まれる水路があるのですが、15センチ幅の 水路の真ん中あたりに復元位置がきます。 私の事務所で法14条地図(国土調査図面)を読み取り、その中に提出されて いる測量図の準拠点座標を入れ込み比較すると、測量図の復元位置と一致しま す。 しかし、現況で境界と思える水路構造物とコンクリート壁はどうみても異動して いる気配はありません。 県の土木事務所の用地担当者に連絡をとり、測量図を作成した測量会社の測 量士と用地担当者に確認すると、 「大きなブロック、道路と道路に挟まれる大きなブロックで国土調査の座標値 と比較したら、相違がなかったのでその中にある複数の1筆地の境界について は国土調査の読み取りの座標を境界としました。」との事。 用地買収時の境界立会時には、民地の土地所有者は境界については昔から 異動も無く、現況構造物のとおりであり問題ないと確認して立会を終了している。 そして、そこには木杭が打たれている。 土地所有者は官庁を信じ、登記承諾書・工事承諾書に何も疑いなく実印を押し た。しかし、法務局に提出された地積測量図では境界であると確認した位置と相 違する位置が記載されており、土地所有者が知らないうちに境界は異動した。 測量会社は、読み取り座標と実際の境界点の位置について、読み取りの座標 値をそのまま使用しても実際の境界位置とは誤差範囲であるから支障が無いと したのでしょうか。 境界の復元、立会いを行い確定、確定した位置を正確に表示するという処理 を理解していません。 新たに測量して得た座標値と、国土調査の読み取り座標値を、そのまま使用 したために起った怖い事例です。 ●二つの契機・番外編 座標値比較の話がでましたので、笑い話のようなとんでもない事例です。 農道の分筆業務を役場から依頼され、四等三角点Cを取付点に利用して図根 三角点A,Bの2つを結ぶ結合トラバース測量を実施したところ、閉合差が1m近く ありました。 計算間違いかと思い確認しましたが、間違いありません。 観測間違いでもありません。 図根三角点A,Bとも見晴らしの良い丘のような場所にある図根三角点ですが A,B双方とも異動している様子はありません。 図根三角点Aは四等三角点の近くにあり、取付点として使用しており、直接距 離の観測もおこなっていましたが、観測距離と成果による距離に違いはみられ ず、過去に図根三角点Aから外の図根三角点に結合した際の閉合差も悪くあり ません。 もう一方の図根三角点Bの値がおかしいと思われ、視通の効く反対側にある 四等三角点Dは少し遠かったのですが、図根三角点Bから距離を観測すると成 果値による距離と1mほど相違しています。 四等三角点Dは、違った地区で図根三角点との関連で使用していますが、相 違は見られませんでした。 図根三角点Bの国土調査での座標成果に計算誤りがあるようです。 しかし、近隣の1筆地の形状に誤りは無く、座標値がすべて一定方向に1mほ ど相違します。 つまり座標値で表示される絶対的な位置は相違していますが、1筆地の形状は 一定方向のみにわずかに縮小・拡大がかかるだけで一致しています。 縮小・拡大によって引き起こされた一筆地の変形はわずかなもので、隣接地 すべてにそのような変形がありますが、誤差範囲と言っても良いものです。 周辺の土地との関係、つまり相対的なものは一致しています。 このような場所では与点のチェックをせずに、座標値だけで処理をするととん でも無いことになります。 現地の状況を知り、与点のチェックの大事さを知らなければなりません。 ●現場で使用する厳密網計算 図根三角点3点を使用したY型の簡易網計算で設置した路線の周辺で、大き い現場の依頼がありました。 標高差が20mほどの小山のような土地で、山のふもとから山の稜線を走る農 道までの西側部分5000u位の範囲の土地です。 その土地を順次、分筆していくという依頼でした。 統一した測量を行う必要があると考え、Y型の簡易網計算で設置したトラバー 点を与点として、依頼地を囲むように農道に沿った路線と、山のふもとを回す路 線と2つの結合トラバースの2次路線で全体を囲む形にしました。 結合トラバースの測量結果はそれぞれに1/8000程度あり、この2本の路線で 全体を囲むようにしたのですが、土地造成の後、分筆登記の為確定測量をした 時、土地の造成により異なる路線のトラバー点を結べるようになっていました。 確認の為に3次路線を組んでみたら1/1000以下でした。 更に別々の路線から同一境界点を観測すると1p以上のズレがありました。 これはまずいと、改めてY型の簡易網計算で設置したトラバー点を与点として 4級基準点相当の測量を行いました。 3次路線としていた別に計算していた路線も、観測をやり直し同時に計算したと ころ、精度のひずみは無くなりました。 与点も3級基準点でも無く、本来の4級基準点測量ではなく、中途半端なもので したが、これ以降、私は依頼を受けた現場は厳密網計算を行うことにしました。 ●許容誤差の考え方 ここで、誤差について考えてみたいと思います。 資料の表は不動産登記法施行令の誤差の限度としても使用されている おなじみ国土調査法施行令別表第5の表です。
備考 ●許容誤差・位置誤差 位置誤差については備考2にあるように、境界点を測った与点(図根多角点) からの誤差です。 図解法による古い国土調査では、甲3か乙1のものが殆どだと思われます。 境界点を測ったと思われる図根多角点と同一路線で連続していた図根多角点が あれば、境界点を測った図根多角点から連続した図根多角点を後視点として境 界点を測った時の誤差です。 復元する時には、本来の境界位置がどれかという事は明確ではないのですか ら、復元位置を中心にして誤差範囲を考える事になります。 復元した位置を中心にある程度の位置の範囲にあれば、その位置は本来の 境界位置として良い。 そしてその範囲というのが、位置誤差の許容範囲ということになります。 その範囲は、甲3であれば復元位置を中心として平均二乗誤差の範囲、つまり 半径15pの円の中にあれば間違いありません。 大目にみて、平均二乗誤差の三倍の範囲である公差45pの範囲まではという ことになるのですが、この場合はもう一つの点からの点間距離誤差を満足すれ ばという条件がつきますので単純に大丈夫という訳ではありません。 よく立会をした時に隣接境界線にズレがあれば、そのズレがずっと続く・・・。 このような事を土地所有者からよく言われます。 しかし、そのズレはどのようにして起ったズレなのか。 そのズレは許容誤差範囲で、その位置だけで起っている誤差なのかもしれま せん。 あくまでも境界を測った図根多角点からの位置誤差ですから、その境界を 測った図根多角点に間違いないようであれば、その図根多角点から観測した 境界点のみに起っているズレです。 図根多角点を使用せず、国土調査の形状をスケールアップして距離だけで確 認している場合は、「そうですね。ずっと道か水路のような官有地まで続きます ね。」と依頼人のズレの理論に付き合うようになります。 「この復元位置で間違いありません。1pの狂いもありません。」 と、断言していませんか。 ●許容誤差・辺長誤差(点間距離誤差) 2つの点の実際の距離と図面上に表示された距離との誤差ですが、実際の 距離と測量図に記載された距離との許容誤差といった方が明確でしょう。 数値測量ですとαについては無視出来ます。 位置誤差との兼ね合いで、1点が位置誤差の半径内であっても、2点が同様の 方向になければ、なかなか点間距離の許容誤差の範囲内には入りません。 純粋に点間距離だけの事だけを考えれば、高精度が要求されている甲1であ っても、0.020m+0.003√Sm+αoですから最初から2cmの許容誤差があり ます。 現在の測量器械の性能からすると、かなり緩やかな制限かもしれません。 測量図を作成する側からすると、最初に記載してある0.020mは無視をして 0.003√Smのみが許容誤差だと思った方が良く、専門家としての心得です。 ●許容誤差・面積誤差 古い国土調査(図解法によるもの)は、1筆地の形状を作成して、その形状を プラ二メーターで右回り、左回りと計測しその平均ということになっています。 プラ二メーターの計測技術によって大きく左右されます。 座標法のように、境界の座標値を固定しての計算ではありません。 境界点の読み取り座標により座標法により計算した面積と、実測面積との差 が本来の誤差のはずです。 数値法によるものは境界点の座標値を表示してからの座標法による計算です のでそのようになっています。 その制限については位置誤差・辺長誤差と別の扱いをしているようです。 例えば、甲2では面積誤差は (0.05+0.014√F)√Fu で計算されます 実際に10mと10mの正方形の100uの土地である場合、上記の式に代入して みると(0.05+0.014√100)√100u = 0.816u 一方甲2の点間距離誤差の計算では 0.04m+0.01√Sm+αo です。 このうちαoは 数値法で無視することとして点間距離10mに対しては 0.04m+0.01√10m =0.0716 m つまり10.071mまでは許されています。 2点間の距離の許容誤差の最大限を使用して面積計算をすると 10.071m × 10.071m = 101.425041u ですから 1.425uまでは許容誤差とされて良いはずですが、許されている誤差は 0.816uしかありません。 昭和56年発行された中川徳郎先生の登記測量1で詳しく解説されています が、この式は三斜計算による面積誤差の式のようです。 現在のような測量器械は無く平板測量を主体に考えられていた様です。 いずれにしても、位置誤差・点間距離誤差の二つの誤差からすると、かなりき つい誤差範囲が設定されています。 ●どの成果と比較しての誤差なのか 備考2にあるように、境界点を測った与点(図根多角点)があれば問題ありま せんが、この与点が亡失している場合はどのように考えるのか。 自分の新設した基準点を使用して何とかしなければなりません。 今回の観測点となった新点は亡失した図根多角点そのものでは無いので、ま ずは信頼の出来るものであるかどうかが問題になります。 その為には、新点を作った測量は正しいものか。 正しい測量(値)とは、正規な方法により実施された測量である。 正規な方法とは・・公共測量作業規程に準拠した測量方法ということになりま す。結果として成果を提出出来る根拠のある測量を行うべきであるということ になります。 それでも、亡失した図根多角点そのものではありません、そこで、亡失した図 根多角点の座標系と新点が作る座標系にはどの程度のズレがあるのか、検証し なければなりません。 私はこのズレをシフト量と呼んでいます。 亡失したものとの比較ですから、直接比較はできませんがそのズレを適格に 知る必要があります。 亡失した図根多角点固有の特徴はありますが、亡失している以上それを知る 事はできません、だからこそ新点(基準点)は固有の特徴を極力取り除いた中 立的で正確な値である必要があるのです。 更に、現況に残る構造物や境界と思われる点等により微調整を行い最終的な シフト量を把握しますが、今まで使用することが出来なかった現地に1つだけ存 在する図根多角点もシフト量を知る為には大いに役立つことになります。 この様な手法は調査士の得意な分野であり、境界の専門家である調査士の独 壇場です。 ●日本測地系から世界測地系への変化 2002年に測量の基準が日本測地系から世界測地系に変更されましたが、国 土調査地区の三角点は改測されない場所が多く存在しています。 一方近傍には電子基準点があります。 電子基準点を直接利用できれば、GPSで精度の良い基準点を簡単に設置でき ますが、日本測地系の成果値のパラメーター変換では、電子基準点の利点を最 大限発揮することにはなりません。 そこで電子基準点を直接利用して、日本測地系で設置した基準点を改測する こととしました。 山の頂上にある三角点に登る必要がなく、改測は容易でしたが、容易なだけ に、網の形が大事です。 形の悪い場所にすべての歪みが一斉にそこをめがけて現れます。 図的に言うと、バランスが良く張りのある形は良い形です、逆にバランスが悪く 貧相に見える形(路線の中の夾角が60度以下のものがある形)というのは良い 形ではありません。 形の中の特に一部が貧相に見える形というのは、その位置に歪みが現れる形 です。私程度の頭で考える網の形というのは、基準点の数も知れていますから じっくり考えていくと定型のY、X、H型の網になります。 一生懸命考えた結果、出来上がった図形を上下さかさまにしてみると変形の Y型の路線になっていたりすることが良くありました。 測量の専門家達が知恵を出し合い、経験則で良い形を定型化してあるのです から安心して真似をすれば良いと思います。 このようにして順次1・2・3級基準点を周囲に設置しました。 第2章 街区基準点に思う ●自前の基準点精度 ここで、やっと街区基準点設置地区と同様の状態になりました。 このようにして作成した私設基準点の精度は、200m〜300m の間隔で設置 する3級基準点なら場所にもよりますが大体、水平位置、高さとも1p程度の誤 差かなと実感しています。 依頼があった場合、与点の関係から新たに3級基準点をGPSで新たに設置し ながら、TSにより現場での判断で単路線や結合多角路線なりで4級基準点を設 置していきますが、新たに設置した4級基準点の閉合比は1/15000〜 1/20000程度、自分自身の2・3級の基準点計画や4級基準点観測が下手なの でこの程度です。 しかし、高岡地区の基準点は本物ですから後でどの程度なのか聞いて下さい。 街区基準点地域の精度については、各地域によりいろいだと思いますが、私 が実施している基準点と同程度としてお話を続けることにします。 ●誤差のひずみ ここで街区多角点は3級基準点と同じですから、200m〜300m の間隔で設置 されており、我々はこの街区多角点を4級基準点で結ぶという作業をする訳です。 網の形の良し悪しの説明は難しく、私程度の知識では説明できません。 公共測量作業規程の準則を見ていただくと、結合多角方式と単路線方式があ りますが、4級基準点は与点を結ぶ直線から、外側50度以上のところに新点を 作らない。 既知点(与点)は3点以上。路線の中の夾角は60度以上 結合多角方式の路線の辺長10辺以下、路線長500m以下、単路線方式の路 線の辺長15辺以下、路線長700m以下となっています。 点間距離をなるべく均等にすることは大事ですが、50mなら50mきっちりとい う意味ではありません。 現地に合わせて、ある程度弾力的に運用すれば良いのですが、50m程度の間 隔の路線の中に100m以上や20m以下の距離があるというのは良くない訳です。 私の設置している3級基準点と同程度としてお話をさせていただくと、200mで 1pの誤差があります。 その200mの中で、1pの誤差をどのように配布すれば、一筆地の境界に与え る影響をいかに少なく出来るかということにもなります。 この区間を図根多角点から開放2点とか、いきなり100m以上の開放で新点を 設置したとしたら、誤差を適正に配布するということが出来ず、その誤差を片側 にのみ押しつけてしまうということになります。 更に精度の保証の無い新点を、精度管理のされた区域に放り出すことにもなり 既設の街区多角点で囲まれた範囲の座標系を乱すことにもなります。 統一された座標系で1筆地の測量をしているということを忘れてはなりません。 ●地積測量図から復元する・任意座標 ここで、話を戻して1筆地について最近の測量図で考えてみたいと思います。 依頼を受けて測量をする土地を法務局で調査すると、依頼地に直接隣接する 土地に1年くらい前に作成された地積測量図がありました。 その地積測量図には基準点の記載もあり、境界標識の記載もあります。 現地を調査すると、基準点も境界標識もすべて残っています。 基準点も40m程度離れた場所に2点あり、コンクリート構造物に打設されてお り異動もなく点間距離も一致しています。 関係地の土地所有者と立会の結果、境界標識の位置で確認できました。 そこで基準点から境界点の確認の為に、境界点を観測してみると、地積測量 図に記載された座標値とは一致する場所もありましたが、それぞれに2o〜2p 程度相違していました。 この場合どのように考えますか。 隣接境界については立会をした結果、境界標識の位置で間違いないといこと から問題ないと思います。 しかし、基準点から復元した位置が相違している、本来の境界位置の座標値 では無いという場合です。 復元位置が一致しているものは問題ないでしょう。 1o〜3oまでなら誤差の範囲で、そのままの座標値を使用するということに なるかもしれません。しかし5oになると考えます。 ましてや1pとなると、頭をひねります。 2pになると、これは間違っていると判断せざるをえないでしょう。 ●地積測量図から復元する・公共座標 今度は、先ほどの例が街区基準点設置地区であった場合です。 測量図は街区基準点の設置された後で提出されており、街区多角点を使用し て新点を設置後、公共座標で座標値は表示されています。 前回の測量時には街区基準点の使用届だけが提出されています。 今回、隣接地を測るために、正規の方法で新たに街区多角点を使用して観測 を行いました。 その中で前回の測量に使用されていた観測点を改めて新設の基準点として観 測して、改めて計算したところ、前回の測量時に使用した座標値と1pの相違が ありました。 前回の観測点から境界点の位置はすべて一致しますが、今回設置した基準点 の値を使用すると境界点の座標値はすべて1p相違します。 基準点を正規な方法で測量しなかったばかりに、1筆地の測量をきちんと正確 に観測していたとしても異なる座標値が表示されることになります。 隣接地の依頼ですから、前回提出された隣接地との同一境界の座標値をどの ように処理すれば良いのでしょうか。 更に、もう一歩踏み込んで、前回の観測点から観測しても境界点の位置が2o 〜2p程度相違した場合どのように考えますか。 観測点の座標が相違し、それに伴い座標値が相違します。 どの位置が誤差でどの位置が間違っているのか複雑になり判断が難しくなりま す。いずれにしても、境界位置の特定ということからは基準点のみでなく、準拠 点は必要です。 準拠点自体も異動の無い様にコンクリート構造物等のような堅固な場所に設 置するべきです。 ●1点1座標 法14条地図作成、そして松山市でも地籍調査が実施されていますが、これら は最終的な地図つくりの為に高次の基準点から一筆地の為の4級基準点を基準 点班が順次設置していきます。 一筆地調査を終了すると、設置された4級基準点から補助基準点を設置して 1筆地班が境界点を一気に観測して一筆地の画地を作成し、それを集積した一 つの地図として仕上げていきます。 一つの境界点に対しては、統一された基準点の中の1つから重複することなく 観測され、その境界点が隣接地と共有する境界点であったとしても1回しか観測 されない。 つまり物理的に、1点1座標の処理を行っています。 これらの地図も、完成後は新たな登記申請時に、その位置が相違するか否か 問題になりますが、作成時には境界については1点1座標で問題なく作成されま す。街区基準点設置地区は、地図作成の途中段階です。 基準点も3級基準点までが設置されている状態で、4級基準点、補助基準点そ してそこからの1筆地の境界の観測という手順を調査士が行う必要があり、1筆 地の境界はその都度観測され、異なる座標値が出現します。 隣接する土地の測量や、依頼地の再分筆にあっては、先行して提出された境 界には座標値が既に提出されていますが、今回測量を行えば、条件等も異なる 為、同一境界点でありながら座標値が相違することになります。 ジグソーパズルの地図を全員でその法則性に基づき築き上げている場所です から、その法則性に基づいていなければ、他の土地が入り込むことが出来なくな る訳ですから、登記さえ通れば良いと自己流の勝手な測量で提出した境界の座 標値は排除されるべきでしょう。 逆に、他の調査士の測量は信用できない、自分の測量は正規な測量であり正 しいから自分の観測した座標値は、絶対であり他の座標値は認めないというの はあまりにも悲しい事です。 観測した者が相違するという理由で、同一点で座標値が相違することは疑問 に思えます。 地図を作成するという最終目的のためには、1点1座標が原則となります。 明らかに誤っている場合は論外ですが、前回も今回も基準点を正規な方法で あり、境界点もきちんと観測してある場合、今回自分の測量でもそれは確認する 事は出来た、基準点も境界点の座標値の相違も一定の範囲内である。 自分でもこの程度なら誤差範囲として、前回の座標値を使用してもこの範囲内 であれば、依頼地に与える影響も許せる。 客観的にこういった許容誤差を作成し会員に示すことにより、1点1座標が運 用できるものと思われます。 その範囲というのは、先ほどの測量図の例による程度ではないでしょうか。 ●基準点研修から ここで同一点でありながら、前回の観測点としての座標値と新設の基準点とし ての座標値の誤差について考えてみましょう。 新設の基準点の座標値との誤差が1pではまずいのかということですが、これ は基準点測量研修に参加された方なら体験されていると思います。 一班数人の編成で、同一の与点を使用して、同一の新点3点をそれぞれに観 測した場合の事を思い出してください。 これを各人がすべての観測・計算を別々に実施した場合、観測値・成果値とも に完全には一致しなかったと思いますが、各人の新点の座標値結果を比較する と1〜3o程度の相違だったのではないでしょうか。 それは、器械自身が持つ誤差、観測の上手下手、視準位置が正しい位置から わずかにズレていた場合、各人の裁量である計算時の四捨五入も影響していま す。 それでも、精度の良い与点を使用し、同一の観測方法・路線であった場合、新 設基準点は先ほど説明したような精度なのです。 一方、正規な方法で観測・計算をしなかった場合、正規な方法によるものとの 相違が生まれます。 これは、手抜きにより生じた違いであり、後発の測量を行った調査士が考慮す る必要の無いところでしょう。 ●観測制限 正しい位置の視準、器械自身の持つ誤差の消去、観測の上手下手については 観測時に努力すれば最小限に食い止めることが出来ます。 正しい位置の視準については、整準台と1素子ミラーを使用した場合には観測 時の整準台の求心の確認・高さの確認は勿論の事、観測に先立ち求心装置の ズレの有無の確認が必要。 ピンポールを使用する場合は、円形気泡管の精度の問題から10p程度までの 高さまでと心得る。 器械自身の持つ誤差については、距離については基線場でのチェックを行い 角度の問題は自己検定を行う必要があるでしょう。 観測の上手下手に関係するTSによる4級基準点の観測制限なのですが、街区 基準点設置地域実施マニュアルでは倍角差60秒、観測差40秒、高度定数差 60秒とあり、調査士会はそれぞれに30秒、20秒、30秒を指導しているようです。 高岡町をはじめとする法14条地図基準点設置作業において、観測手である 野本氏・大野氏の二人は自己制限としてすべて10秒以内を心がけ、それ以上で ある場合再測しています。 これは、観測値の誤差の蓄積が法14条地図の基準点網に与える影響を知っ ているからこそ、最初の観測で厳しい制限をつけておかなければ、全体を計算し た時にほころびが現れるということを経験しているためで、自分達で良い物を作 ろうとする意志の表れです。 許容誤差のところでも説明しましたが、作成時に許容誤差の3分の1である 平均2乗誤差以内を目標としなければ、最終的に目標とするものは作れません。 実務においてはこのくらいの心構えは必要です。 私自身10秒を一つの目安にしていますが、陽炎等のひどい場合は15秒までく らいなら仕方がないと自分に甘い制限になることもあります。 最初から緩い制限ですと、すべての観測の終了後、再び現場に戻って再測とい うことにもなり兼ねません。 ●自主規制の許容誤差表 誤差について個別に判断するのは難しいものです。 そこで先ほどの許容誤差表を使用して判断すれば合理的ということになります が、許容誤差の別表の甲1を適用してもすべて誤差の範囲に入るからどんな事 をしても大丈夫と思った方もいるかもしれません。
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