愛媛県土地家屋調査士会

平成19年8月18日測量講習会



準備

 平成19年8月18日(土)愛媛県土地家屋調査士会の測量講習会が松山市井門町の重信川
河川敷で行われた。

 当日は、測量日和というよりも、測量するにはやけくその日といったほうが良いかんかん照り
状態。

 講習会場の重信川河川敷では、午前8時から準備がすすめられていた。

 先週準備された河川敷内のコンクリート擁壁に打ち込まれた鋲(与点)を使用して観測する。

 しかもピンポールを使用して観測とするため、視通が効くように付近の草刈り、更には刈り取っ
た草の整理。

 迷惑おっさんが一人黙々と準備を開始し、他の講師達も午前9時から準備に集まり始め、午前
10時ころには下の写真のような会場受付が完成した。

   


                          会場受付

            

                迷惑おっさんの車の上に設置された受付板


 迷惑おっさんの車の上にダンボール板で作成された「受付」と書かれた受付板が出現。
 受付の役割を果たした後、講習会後半に姿を変え出現することになる。

 更に、受付板の下の車の跳ね上げられた後部ドアの下には、迷惑おっさんの娘さんの名前が
入った気温計がぶら下げられた。

 車の中から出してきたときは40度を超える温度になっていたが、後部ドアの作る影の部分にぶ
ら下げられると、みるみる温度は下がっていく。

 それでも、30度を超す位置でとまってしまった。

 とにかく本日は暑い。

 午前11時の受付開始前、No.1、No.2、No.4、No.5の各点に、三脚、整準台、ポールを利用して
今回の測量講習のとりつけ点を設置する。


              

                         No.4(与点)


             

                         No.5(与点)


 前日、迷惑おっさんに
 
 「取り付け点にミラーが必要なら持参するけど。」
 
 「いや、各班が視準しなければならないし、ミラーだったらその度に方向を合わせる必要がある

 距離の観測は必要ないのでミラーでは無くポールを視準するようにするけん、三脚だけ持って
きて」

 「解った。」

 「機械なんか持ってくる必要はないよ。参加者が自分の機械を持ってくるのは当たり前なんやか
ら」

 「そうやね。」


気温・気圧

  本日の講師達は、老眼おっさんと違って、皆まじめな人物たちである。

  「今日の気温・気圧はいくらですかね。」
  と気圧計を片手に集まる。

  「受付」と書かれた迷惑おっさんの車の後部ドアのつくる影の部分に吊るされた温度計は33度
 をさしている。

  「気温は33度。気圧は。」
  と迷惑おっさんが気圧計を覗き込む。

  「1000ヘクトパスカルじゃね。」

  気圧計を持参していない老眼おっさんは感覚で
  「嘘お〜っ。こんなに天気がいいのに。」
  「最近、調整してないから、ようわからん。」

  「僕の気圧計も993ヘクトパスカルですよ。」と講師の戒能さん。

  「えっ、台風でもきよるん。」

  「台風は発生したみたいです。沖縄の方ですけど。」

  「通常、1013ヘクトパスカルよ。ここは標高も30メートルほどの気圧に影響はほとんどない
場所やろ。」

  「気象台に電話してみましょうか。僕の気圧計に電話番号書いてあるから。」

  「そこまでしなくてもいいよ。それじゃあ1013ヘクトパスカルくらいにしよう。」

  かくして本日の気温33度。気圧1013ヘクトパスカルが決定された。
  この値を各自のTSに入力して気象補正を行うことになる。   


集合

 正午、受付終了。

 事前の申し込み者は112名。
 体調不良の理由や連絡のないままの欠席もあったがそれでも当日は100名が参加した。

 近年の実技を伴う研修では、大量の参加者である。
 河川敷の広場の中を、涼しい高速道路の橋の下で集合。

 あらかじめ決められた、A班からJ班までの9つの班分けにより参加者は並んだ。
 ちなみに、I班は1と間違うとの事で編成されていない。
 こだわりの迷惑おっさん、ここでも測量にこだわっている。

        

                 ずらり100名が並ぶと壮観です。


                   

                          会長挨拶

秘密兵器1

 本会役員の後、各班を担当する講師のくじ引きである。

 今回は木で作ったくじを引くことになった。

 移動式簡易観測所を作ったり、多彩ぶりを発揮している迷惑おっさんだが、ちらっと見えた木の
くじの内側には鉛筆で線を引き、その横にそれぞれ300、400、500と数字が書いてある。

 おそらく、建築資材の切れ端を利用した変わったくじを作ったのだろうと軽く考えながら、箱に
9本の木のくじを入れ講師の紹介とともに講師自身がくじをひく。

 木のくじのL字型になった底の部分に受け持つ班の名称が記載されている。

 9名の講師は受け持ちの班が決まると、各班の人数を確認し、各自持参した測量機材の確認
を行う。

 「引いたくじは邪魔になるのでまとめておこうか。」

と箱の中に回収しようとすると、

 「いや、後で使用するから、そのまま講師に持っておいてもらって下さい。」

 TS、ミニプリズムセット、ミラー等、本日使用することの出来る資材を確認する。

 ある班では、参加者の半分が測量機材を持参していない。
 本日の観測に支障がでるのではと少し慌てることになるが、プリズムとピンポールの数からして
班内の観測者が観測点を連なって観測すれば、前視と後視でピンポールを共用することが可能
になり、最低3組程度の観測が同時に出来るようである。

 一息ついたところで、先ほどのくじのもう一つの使い方について説明が始まる。

 「前視方向だけ距離をとります。1本のピンポールが前視になる場合は距離の観測、後視にな
る場合は距離の観測はしませんが水平角と鉛直角を観測する必要があります。プリズムの場合
は、その高さを測ってもらえば良いですが、後視になる場合はシールを貼ってもらってその位置
を観測してもらいます。木のくじの内側部分にピンポールを当てて鉛筆で書いてある高さの位置
でシールを貼ってください。」

参加者は言っている意味がなかなか解らないようだ。

  

       秘密兵器 富くじではありませんが底面には、班名が入っています。


 講師陣はにやにやして聞いている。

 ピンと来たのだ。

 14条地図の基準点測量を行った場合は、1本のピンポールが前視と後視の役割を果たすよう
に2つのプリズムは相違する高さでそれぞれに設置されていた。

 観測しているTSの下にピンポールが設置され、相手からの視通線を塞がないように足元に注
意しながら同時に観測を行っていた。

 今回は、プリズムの数も揃わないと、本日の状況を予想していたらしい。

 後視用には水平角はピンポール中心を観測し、鉛直角はシールを目印にして観測してプリズム
の代用とする。

 よくも、こんなことを考え付くものだ。


逆打ち

 秘密兵器の説明も終わったが、1つの班が観測を行うY型トラバース点について観測図には同
一のアルファベットを使用し、アルファベット添え字の1〜6の6点の観測点で表示しているのだが
現地にはまだそれぞれのアルファベットの添え字4、5、6の観測点(新点、以下4番、5番、6番とい
う)が用意されていない。

        

 各班で各自の位置の逆打ちを行うことになる。

 防波堤に用意された各ステージの1番の場所からNo.1、もしくはNo.5を後視点としての逆打ちで
ある。

 すかさず1番の場所に調査士の先生達は集まったが、河川敷の4番、5番、6番にピンポールを
持った人影はなかった。

 遠慮深いのか、先生業務に慣れてしまったのか、それは解らない。

 邪魔になる車の大移動もあったが、何とか4番、5番、6番、3つの位置(新点)の逆打ちは終了し
た。

      

                        1番の観測位置


 この逆打ち作業に戦々恐々としていた人物がいた。
 今治支部の日下支部長である。

 前もってメールで配布された計画には、逆打ちの精度3センチ以内とあった。

 この逆打ちも講習内容であり、定められた厳しい制限内に入っているかどうか、後の観測によ
りチェックされるのではと恐怖におののいていた。

 確かに、迷惑おっさんの企画する今治支部の研修や個人の研修会では、あらゆる状態で罠が
張り巡らされている。

 それぞれの測量過程で細心の注意を払っていなければ、後でその原因を観測結果とともに指
摘される。
 最後の観測を行い、その観測結果でそのトリックが明らかにされるという推理小説もどきの罠
である。

 3センチの精度といっても安易に信用しようとしない。

 「河川敷で下に岩が多いし、観測の視通の邪魔にならない程度の位置に逆打ちが出来ればい
いから、10センチ程度でもええよ。」

 「ほうやろか。」なかなか信じようとしない。


観測開始

 日下支部長の不安は疑心暗鬼であったようで、各班の観測が開始される。

 100名の参加者で、30台以上のTSが同時に同じ場所に立っている様は壮観である。

 黄色い器械、黄緑の器械、グレーの器械と色とりどり。

 講師達も、「以前は〇〇の機械が多かったけど、今は▲△の機械が多いね。」とのんきな会話
をしていたのだが、悪く言えば芋の子を洗う状態での観測となり、事故があっては大変と慌てて担当の班に分散する。

 9つの班が下図観測図のとおり、一斉に観測を始めた。




三脚の据え方

 三脚の据え方も、これだけ大勢いると、千差万別である。

 思い切り高くすえる人。

 低く据え付ける人。

 大きく脚を開く人。

 小さく脚を開く人。

 思わず、危ないと手を添えてしまいたくなる三脚もある。

 特に、本日逆打ちした4番,6番の観測点位置は防波堤の根っこの部分で、先週準備の時に雑
草の草刈をしたといっても、草の根を引き抜いてはいないので草の根が多い場所である。

 三脚を踏み込む前に草の根が邪魔しないように草の根を切り、表土を削ってから据付を行わ
なければ、観測の途中でTSが浮き上がったりして観測に悪い影響があるのですが参加者はほ
とんど気にしていない。

 講習会前に迷惑おっさんから講師に、「講師の皆さんは、どのようなところに注意して観測すれ
ばよいのだろうと、実際に自分のレベルでご指導願います。」とメールが送られていた。

 迷惑おっさんのメールは、このような事も意識している。

 講師の責任である。

 準備の時点で、講師は自分の研修だと思えという言葉の意味でもあった。

 しかし、講師も、あの暑さで必死だったのです。

 参加者の皆様お許しください。


求心・水平の調節

 求心を行うにあたって、整準ねじだけで調整して、パッと見ても三つの整準ねじの高さがいびつ
に見えるほどにして水平を調整している。

 求心の調整が簡単だからという理由らしいのだが、最初に整準ねじを中間位置に調整しておき
求心するという基礎的なことがおろそかになっている。

 こちらの方が楽ですよ、とやんわり注意しても、今までの自分のやり方のほうが良いと、意地に
なって整準ねじを操作する参加者も・・。


斜距離

 あちこちで「〇▲メーカーのTSの操作がわかる人。」と大きな声が上がる。

 同じメーカーの機械を使用していても、型式が相違すると全く操作法が異なる。

 斜距離の観測をしたいだけなのだが、日ごろ水平距離の観測だけをおこなっているので
斜距離に切り替えて観測をする方法がわからないらしい。

 大声の原因は、すべてそれが理由らしい。

 走っていって対応するが、単純に操作ボタンの相違で斜距離の観測が簡単に出来るようになる
ものと、中には高度に設定されている機械もある。

 同一のメーカーの同一機種なのだが、購入時に設定しておくような設定からやり直す羽目にな
るとなかなか対応することが出来ない。

 この機械の持主は、データコレクターを使用している気配はなく、機械の性能を十分に活用して
いる設定なのだが、どこを探しても斜距離観測の設定が見つからない。

 設定するだけで悪戦苦闘して、他の観測の1回分の観測時間が無駄になったのだが、やっと
観測できるようになる。


観測差・倍角差

 水平角の観測では、参加者は正方向の場合は問題ないのだが、反転したとたんに調子が乱れる。

 TSを操作するねじが裏側にあり、水平微動ねじや鉛直微動ねじの位置は反対側にある。
いつも位置にはない。

 ついつい慣れた場所を探している。

 「真夜中、照明のついてない部屋で、照明スイッチを一生懸命探している様子」と題名のついた
パントマイムがいたるところで繰り広げられる。

        

                  TSの正での観測、余裕です。


 TSの下にピンポール、そこには前視用のプリズムと後視用のシールがある。

           

                TSが反転した状態で、窮屈そうな観測。

 1対回観測を終了しても、反転して2対回目に入るのを忘れる。

 2対回を開始の視準点が1対回目終了の時の視準点ではなく、1点前の視準点を観測してしま
う。日常業務で対回観測を行っていないことが、ありありとわかる。

 手簿者も、手簿づけに時間がかかっている。

 データコレクターや、TSの測量ソフトを使用しており、手簿づけは経験者もなかなか調子がでな
いようである。

 観測者が、角度を読み上げても「はい。」と言うだけで、角度の復唱はしていない。

 観測者が次の視準点を観測しようと動作を始めた頃に、「さっきの角度、何度でした。」と聞いて
いる。

 これでは、観測者も観測に集中することが出来ない。

 角度の観測が終わっても、第1方向の観測角と差し引きをして観測結果を計算する余裕もない
ようである。

 2対回観測が終了した時点から、結果を計算し始め、60進法の計算が暗算ですんなり出来ず
電卓をたたいての計算になり10分以上かかってしまう。

 同じ班の他の観測者にやっと終了の合図を出すのに30分以上かかってしまう。

 講師は、同一の観測者につき1点だけは辛抱強く待つようにと指示されているのだが、やがて
限度がやってくる。


高度定数

 鉛直角の観測は2方向以上で行って高度定数の点検を行い。さらにその較差の比較により
観測の良否を確認します。

 こちらが、観測手簿を覗き込み、「高度定数大丈夫ですか。」と言うと。

 「大丈夫です。」とすぐ返事が返ってくる。

 だが、手簿の鉛直角の欄を見ると、正の値、反の値は記載してあるのだが、升目を誤って記入
してあり、その合計を記載する欄がなくなっている。

 「これ正と反を合計しないと、高度定数わからないですよ。計算されましたか。この正と反の下
の太字線の下に合計を書くんですが、その位置には次の正の鉛直角が記載されているようです
が、計算大丈夫ですか。」

 「大丈夫です。」

 暗算した割には、合計欄の記載がないことにまだ気が付いていない。

 これは全く、意味が解っていないのだろう。

 手簿の記載を目で追い、暗算してみると高度定数は一方が360°0′10″で片方が
360°0′5″

 較差もOKだ。

 もう、説明は後日です。

 「はいっ。大丈夫ですね。」


どちらが後視

 講師の一人が駆け寄ってくる。

 「取り付け点の観測なんですが、観測図では観測点3番から観測する際に、6番を後視として
No.4を観測するようになっているのですが、No.4番を後視として6番を観測するのが本当じゃない
かと聞かれて困っているんですが。」

 「与点に取り付ける際に遠いほうを後視にするということで、本来はそうかもしれませんが
観測図で指示しているとおりに測ってください。点検計算の関係でそうしているはずですから。」

 いろんなレベルの参加者がいる。

 基準点の知識が豊富な者、そして観測に精一杯の参加者もいる。

 今回は、統一して観測してもらうしかない。


気になる事

 本日の与点(No.1、No.2、No.4、No.5、1番、2番、3番)については、GPSで観測・設置した後
TSでチェックを行い、かなりの精度で設置されていることが準備段階ですでに確認できている。

 その与点を利用しての結合(開放)トラバース測量であるから、精度については新点の4番
5番、6番の逆打ちの精度は全く関係がないものである。

 精度に影響するのは、観測の正確さ、ピンポールが正しく設置されているかである。

 ピンポールがまっすぐ立っていたか、参加者達はそれを確認しながら、観測されたのだろうか。

 「あのピンポール曲がっている」という声があったのだが、その後どのような処理をされていた
のか定かではない。

 講習会の場であり、先輩調査士に遠慮したのかもしれませんが、ピンポールを正しく設置する
ように指示することは、正確な観測を行う基本である。

 調査士が一人で測量をしている場合、ピンポールが少し斜めになっている。
ミニプリズムの方向がずれている。

 時間が惜しいので、そのまま観測してみたり、正しい位置を推定して観測したりということはある
かもしれない。

 だが、基準点測量(トラバース測量)の場合は自分の業務にも、他の調査士にも後日、大きく
影響を与える。信頼を失うことにもなりかねない。

 少しの手間と少しの時間を掛けるだけで、精度と信頼性を得られる。

 2対回観測の観測だけを行うのではなく、日常注意しなければならないような事は当然注意する。

 これらが一体となって始めて信頼性と高精度が得られるといっても過言ではないでしょう。


見本の手簿

 あらかじめ送付された手簿をみて、講師の一人が、「この手簿の記載は参考にならないですよ。」

 「どうして。」

     


     


 だって、観測差が2方向とも0になっていたら、参考にならないでしょう。」

 確かに、倍角差はあるのだが、観測差が2方向とも0になっている。

 R−Lと書かれていても、0ではちょっと意味が伝わりにくい。

 「実際の観測データじゃけん。しょうがないやろう。びしっと観測したんじゃけん。」

と迷惑おっさん。

 反論していいものやら、どうしょう。


観測図

 参加者には観測図をメールで送付してあるし、当日会場でも観測図を渡してあるのだが
ほとんどの参加者がそれを見ようともしない。

     

 この図をみれば、1番の位置であれば、どこを後視にするか。

 水平角を観測する方向。

 距離を観測する方向等。

 すべての指示がある。

 手簿者、観測者とも、自分の受け持ちの観測点で、どの点を後視にして前視の方向と距離
観測を、どの点で行うのか講師にいちいち確認しなくても、専門家ならばこの程度は確認して
おかなければならない。

 自分の業務の中において、どのような観測を行うのかあらかじめ計画しているはずなのだが
・・・・・。


秘密兵器2

 全員の観測が終了したのは午後5時10分。

 最初に集合した高速道路の橋の下に再び集合。

 コンクリート土手が、丁度階段教室の形状になっている。

 ハンドマイク片手に迷惑おっさんの講義が始まる。

 講義名は「何故、両方から鉛直角を観測するか」である。

 迷惑おっさんの車の上で「受付」の表示で活躍したダンボール製の三角柱が、今度は方向を
代え、ホワイトボードに変身した。

 工藤講師のTSを実際に使用して、一方向からの機械高と視準高0の位置への鉛直角と
斜距離を観測し、今度は反対方向からの機械高と視準高0への鉛直角を観測した。

 距離観測点の機械高1m259、視準高0m000,高度角―15度28分38秒、斜距離5m764。

 今度は視準点であった位置に機械を据え変えての観測を行う。

 移動した後の観測点の機械高1m546、視準高0m000,高度角―12度47分45秒であるとき
高度角について、比高を利用して図での説明がある。

 この頃になると、参加者も講師も猛暑にやられてふらふら状態。

満足に計算なんて出来るはずがない。


       

                    一応、ホワイトボード代わりです。


 本日の観測結果について各自が点検計算を行うことを宿題にして、午後6時講義終了。

 本日の講習会は解散となった。

計算は観測が出来るようになってから

 今回の講習会で、厳密網の計算や簡易網の計算方法について、問い合わせがあったらしい。

 講習会参加者の観測を見ていたのだが、観測終了後、参加者全員が早速計算が出来来る
状態であったかと聞かれれば、否定的な答えをせざるをえないであろう。

 まともに、TSが据わっていない。

 TSの操作法がわからない。

 水平角の正・反の観測がスムーズに行えたのか。

 鉛直角の観測・斜距離の観測が何故必要なのか。

 機械の高さ・ポールの高さを何故測る必要があるのか理解されている方は何人いたのだろ
うか。

 そして手簿者となったときに、手簿の記載が出来ましたか。

 観測差・倍角差の計算が行えたか。

 中数の計算まで、一人で計算出来たか。

 そして、観測者と手簿者でお互いにチェックすることが出来ましたか。

 これが全部出来て、観測が出来る。
 その良否の判断が出来るということなのです。
 そして、計算を行うということなのです。


最後に

 あえて、言う。

 今回の講習会は、街区基準点を使用するための講習ではない。

 それ以前の調査士業務中の測量業務について、自分の測量はどの程度の事を行えている
のか。

 今回の測量講習に参加し、他人と比較により自覚することにより、本来の測量業務と比較し
て自分の業務はどこが不足しているのかを自覚することが出来れば、おのずと測量業務の底
上げが図れ、結果的に街区基準点を使用するためにはどのような事をすれば良いのか各自の
立場で明確になるであろう。

 こういった判断の元に開催された講習会なのである。

 残念なことに、自分の業務に直結する大事な講習でありながら、測量の最中にタバコを吸い
ながら観測や手簿づけをしている参加者が多数いた。

 余裕で、今回の講習をこなしているとは思えない。

 その中に講習会を企画・実施する立場の責任者もいたことは残念でならない。

 本人達は嗜好品のタバコをちょいと一服と気軽に考えたのかもしれない。

 調査士の間に混じって参加していた補助者の方々が、測量の講習会でTS観測中に、堂々と
食えタバコで観測している。

 この事務所の補助者教育もさることながら、日常の業務の姿がここにある。

 自分達の業務の糧となる講習をしている。

 調査士は、禁煙しろと言っているのではない。

 これを真剣に考えているならば、皆が講習を受けている場所から離れ、目立たない場所で
タバコを吸うくらいの配慮が必要だろう。 


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